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2024ファジアーノ岡山にフォーカス24『 その大部分は私のミス~22日後の返信(返心)~ 』ルヴァンカップ 2回戦(H)vs横浜FC



1、あの敗戦からようやく時が進んだ~敗戦からの指針~


2024 ルヴァンカップ 2回戦 ファジアーノ岡山 vs 横浜FC
2024年4月24日(19:03kick off) シティライトスタジアム

 今季のJ2リーグ戦で、唯一負けたチーム。それが、横浜FCである。筆者は勝つことだけを考えて、この日を待った。結果は…結果は…。

 少し前の雨天の中での悪天候で行われたリーグ戦では、1-3での敗戦の将となった木山 隆之 監督は、試合後に「その大部分は私のミス」と、敗因の1つとして語っていた。先日のリーグ戦の時に18番 田上 大地 選手の「ホームで勝つから!」とは違い、責任を一身に背負うことで、ファジアーノ岡山ファミリーの負の感情を前へと強制的に切り替えたのだ。

 負けた時や辛いことがあった時は、どうしても色々と考えてしまうものだ。そういった時こそ気分転換できる何かが必要だが、もちろん簡単ではない。だからこその一言だったのではないだろうか。

 敗戦の後にどうしても付き纏う後悔の念。木山 隆之 監督にリーグ戦で、そういった悔しさや後悔の念はなかったのだろうか?と、考えると、「いや、そんなのあるに決まってるじゃん!」と、返ってきそうなぐらい木山 隆之 監督の勝負の一手一手が最善で大胆、そして前を見据えていたのが、この試合であった。

 その木山ファジの戦いの「記憶」とサポーターの「回答」を振り返る。

 悔しいけど、この試合を少しでも届けたい。それが現地で試合を観たレビュアーとして、1人のファジアーノサポーターとしての「回答」である。

 悔しいからこそドラマはある。だからこそ伝えないといけないでしょう。戦いの記憶と記録として!!

 いざ激闘の120分とPK戦へ!!

激闘の始まり。

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2、質の差が得点に~熱戦の予感~


岡山イレブン。

 立ち上がりの攻防を観て、なんとなく点の取り合いになりそうな予感があった。しばらく無失点で守れこそしていたが、サイドからのクロスを防げていなかったことと、シュート自体を防ぐ守備とシュートに対してのシュートもどこか不安定に映ったからである。

 一方で、岡山も横浜FCに対して、しっかり形を作れていたので、凄い試合になりそうな予感を1人感じていた。そんな中で試合を動かしたのは、7番 竹内 涼 選手の右足からであった。サイドの選手でも放つことができない絶妙すぎるクロス(見方によってはスルーパス)が配給されると、そのクロスに対して、完璧なタイミングと完璧な動き出しで抜け出した10番 田中 雄大 選手が、冷静に合わせて流し込んで先制点を決めた。


ベンチのメンバーを含めて先制ゴール喜ぶシーン。

 前半に存在感を魅せていたのが、44番 仙波 大志 選手。他の方が命名していた「仙波クルクル」が有名ではあるが、今季は「仙波スルスル」と、マークを振りほどくキープのターンではなく、1対1や1対2でスルスルと、ドリブルでそこを突破していくプレーが光っていた。先制点もまさにそういったプレーから始まった。

2024ファジ造語No.18
『 ≫≫仙波スルスル≪≪ 』

 他のサポーターの方が命名した「仙波クルクル」であるキープからのターンでだけではなく、愛媛戦で魅せたような1対1や1対2でもその間を緩急と高い技術の高速の持ち運びから間をスルスルとすり抜けていくドリブル突破は、高い成功率を誇る。開幕戦に出場できなかった悔しさは、彼のプレーの幅を広げた。「仙波クルクル」と「仙波スルスル」の2つのキープとドリブルを武器に、多くの得点を演出してくれるはずだ。「仙波クルクル」を命名された方へのリスペクトと仙波選手への期待を込めたファジ造語。

 その後も岡山も形を作っていたので、岡山がボールを持って主導権を握っていたようにも映ったが、嫌な予感が当たってしまうことになる。9番 櫻川 ソロモン 選手のパスを受けた34番 小倉 陽太 選手にミドルシュートを打たれてしまった。49番 スベンド・ブローダーセン 選手を普段観ているので大丈夫かなと観ていたら、決まってしまった。「あれ?」が正直な感想で、政田でのユース試合でも広島戦でみたGKの差と似たものを感じてしまった。ビルドアップでは、最終ラインに加わって、岡山の流れを掴んでいただけに、最後に49番 スベンド・ブローダーセン 選手の存在が、多くの無失点の試合を作っているんだという事を改めて感じた。


人数が揃っていただけに防ぎたかった失点。

 注目していた65番 三木 ヴィトル 選手は、守備でいっぱいいっぱいで、連携も探り探りやっていた感じで、なかなか持ち味を前半に関しては、発揮できなかった。一方で、55番 藤井 葉大 選手は、前回のルヴァンカップから成長を見せて、安定感が光り、確かな成長を感じる堂々たるプレーぶりであった。

 欲を言えば立ち上がりの29番 斎藤 恵太 選手や99番 ルカオ 選手のスプリントでの仕掛けが良かっただけに、そこでの先制点も欲しかったが、途中から少し疲れが見えた部分があっただけに、やはりその部分は感じた所ではある。

 7番 竹内 涼 選手の攻守の判断の安定感や1つ1つのプレーの正確性というのは、アシストをしたことを含めて違った。前半だけの交代となったが、リーグ戦への期待を膨らむパフォーマンスは、リーグ戦への期待を膨らませた。


3、明確な意思表示~勝ちたい~


横浜FCイレブン。

 後半頭から7番 竹内 涼 選手が下がった。怪我から復帰して初めての公式戦で、チームとしても離脱している選手が多いことからまずは、45分ということであると思いますが、ゲームとしては、15番 本山 遥 選手に代わったことで、守備強度も高くなるという意味では交代自体は悪くない。そして、7番 竹内 涼 選手にとっても45分間だけのプレーだけでしたが、次に向けて非常に期待できるパフォーマンスであったと思います。

 しかし、試合の後半に先にスコアを動かしたのは、昨シーズンまで岡山にいた横浜FCの9番 櫻川 ソロモン 選手でした。6番 和田 拓也 選手のミドルシュートは、55番 藤井 葉大 選手が体に当てて防ぐことができたが、こぼれ球が9番 櫻川 ソロモン 選手の前へとこぼれた。逆を突かれて態勢が崩れた1番 堀田 大暉 選手が守備態勢が整う前に押し込まれてしまった。


ソロモンに許した悔しい逆転の失点。

 岡山は、失点直後にすかさず、29番 斎藤 恵太 選手に代えて、27番 木村 太哉 選手を投入した。流れを何度も変えてきた選手。それが、27番 木村 太哉 選手という選手だ。この試合でも早速仕事をする。4番 阿部 海大 選手の一本のパスで裏へ抜け出すと、横浜FCの現役大学生の46番 佐藤 颯真 選手の前に出ると、迷わず右足を振りぬく、そのシュートはGK1番 永井 堅梧 選手に当たるもゴールネットを揺らして、同点に追いついた。27番 木村 太哉 選手がボールを持った時の色々な種類のドリブルは、岡山の武器であり、彼だけのドリブルである。まさに「世界に1つだけのドリブル」である。

2024ファジ造語No.19
『 ≫≫世界に1つだけのドリブル≪≪ 』

 もちろん、解散したあのアイドルグループの名曲から来ている。みんな違ってみんな良い。愛称が「キムタカ」である27番 木村 太哉 選手のドリブルも彼の個性で、彼にしかない武器である。確かに球離れの悪さや持ちすぎたりゴールから離れてしまうこともあるが、予測不可だからこそ対応が難しく、全力プレーの中に紛れる直感や技術を織り込んだドリブルで、チームに得点だけではなく、勢いを生み出せる。「世界に1つだけのドリブル」で、岡山に勝利に近づける彼の魅力や凄さを表現したファジ造語。


27番木村 太哉 選手の同点ゴール直後。

 岡山としては、勝ちたかった。しかし、今季の最大の目標は、リーグ戦でJ1昇格という結果を掴むことであり、そこに向けて難しい判断が迫られた。4番 阿部 海大 選手に代えて、6番 輪笠 祐士 選手を投入した。これは、どちらかと言えば、リーグ戦に向けて、4番 阿部 海大 選手と6番 輪笠 祐士 選手の疲労をできるだけ軽くする狙いが何割か含まれた交代である。

 一方で、勝つために19番 岩渕 弘人 選手と交代した65番 三木 ヴィトル 選手。木山 隆之 監督のアドバイスを受けた直後からユース所属の選手とは思えないぐらい後半は持ち味の体幹の強さを活かした仕掛けで、左サイドから中に切り込んでクロスやパスという形を作れるようになっていた。ユースでも欠かせない選手でもあるが、離脱者の多い現状だと、トップのリーグ戦でも必要となってくる選手にも感じた。状況によっては、リーグ戦の出場もありえるというプレーができていた。これからの成長と活躍がとても楽しみな選手である。2005年の9月生まれなので、もしかすると状況によっては、トップチームが主戦場になる可能性もあるかもしれないですね。

 横浜FCも一部の主軸選手と2種登録?の選手を何人か投入して、勝ちに来ていた。岡山も19番 岩渕 弘人 選手の何度の高いシュートが僅かに外れるシュートがあるなど、惜しいシーンも作っていたが、結局90分では決着が付かず、2-2で勝負は延長戦に突入した。


4、ご褒美は貰えなかった~力及ばず~


延長に向けてココロヒトツニ。

 立ち上がりに10番 田中 雄大 選手が、19番 岩渕 弘人へのパスのこぼれ球に反応して、攣りながらシュートを放ったが、これが決まった。美味しい所を持っていく。勝負どころの決定力の高さを示した。リーグ戦は、ルヴァンカップでフル出場する可能性も感じていたが、この勝負強さが評価されてのメンバー入りも十分あるかもしれない。持っているものを全て出し切った10番 田中 雄大 選手は、66番 南 稜大 選手と交代した。


足を攣りながらの得点直後に交代した10番 田中 雄大 選手。

 このまま逃げ切れると信じていたが、そうならなかった。10番 カプリーニ 選手が、10番 田中 雄大 選手同様に、十番の力示す同点ゴールを許してしまった。その後も、両チームは、勝ち越しを狙ったが、最後までゴールを割ることができずにPK戦に突入した。


決着後の写真は、ショックで撮り逃したが、初めてみたかもしれない。

 PK戦は、6番 輪笠 祐士 選手が、GK1番 永井 堅梧 選手に止められたのに対して、横浜FC戦に全て決められて、先行の横浜FCが、5-3で、PK戦を制した。この結果を受けて、岡山は、2回戦敗退となった。

『 木山隆之監督 』
平日で天気もあまり良くなかった中、応援に来ていただいた方々に感謝を申し上げたい。
試合に関しては120分間、頑張りきったが、そのご褒美はもらえなかった。ただ、非常に良く戦った。結果がついてこなかっただけで、選手たちのプレーは本当に良かった。
しっかりと切り替えて、次の清水戦に向かいたい。

ファジアーノ岡山公式HP
2024JリーグYBCルヴァンカップ 1stラウンド2回戦 監督・選手コメント
より一部引用
URL:https://www.fagiano-okayama.com/news/202404242230/

 とコメントを残された通り、後は結果だけという試合は、残念ながらご褒美はついてこなかった。悔しいが、120分では負けない全てを出し切れっ多試合ができたということを誇りにリーグ戦に繋げていくしかない。


5、未来への延長戦~サポーターの返信(返心)~


人数以上の大声援で盛り上がった熱戦。

 120分とPK戦の激闘の末に岡山は敗れた。直後のファジアーノコールはとても小さかった。やはり、ショックな敗戦であった。辛い敗戦であった。受け入れがたい敗戦であった。そして、悔しい悔しい敗戦で、勝ちたかった。率直にそう思った試合であった。

 しかし、同時にチームの頑張りをとても感じることができた試合であった。リーグ戦での雨天の中でのホームでの1-3の敗戦の時に
 

『 木山隆之監督 』
「非常に悪天候の中、たくさんの方に来ていただき、背中を押していただいた。感謝を申し上げます。
試合に関しては、セットプレーで3失点し、後半に1点は返したが、2点差のゲームなので結果的には完敗だった。
セットプレーは止めるのが難しいボールだったが、3点目のコーナーキックに関しては少し自分たちにズレがあった。
でも、そこに至るまでの過程で言うと、相手チームの勢いを受けてしまい、それを我々が押し返せない中、自陣でセットプレーを与えてしまっているので、そこは負けだと思う。
ただ、選手たちにも話したが、その大部分は私のミス。今日に関しては、ピッチや雨の状況も含めて、どのくらい水が溜まるかを読み切れなかったし、もう少しパワーのある選手をスタメンでおくべきだったと反省している。
また切り替えて、頑張りたい。」

ファジアーノ岡山公式HP
J2第8節 横浜FC戦 監督・選手コメント
より一部引用
URL:https://www.fagiano-okayama.com/news/202404032230/

 というコメントを残している。ここに対して、木山 隆之 監督が、どういった「応え(答え)」を用意して、どういった戦いを見せてくれるのか。離脱者が多くでてしまっている状況の中で、ユース選手を2名起用した中での総力戦。迷いなく選手に戦いの方針を示し、選手の良さを引き出して、戦いきった。リーグ戦での清水戦を控える中で、ギリギリの判断もあった。その中で、最後まで勝ちに行く攻めの姿勢を貫いた。しかし、勝ち進むには、力が及ばなかった。

 具体的には、足が攣る99番 ルカオ 選手に代わる走れるストライカーがもう1人いれば、と強く感じた状況の激闘の試合であった。そして、64番 藤田 成充 選手も準備していたが、恐らく交代回数を使い切っていたので、投入できなかったという誤算があったのではないかと思うが、まだリードしていた状況であったので、投入できていればという感じで、もし投入可能で、躊躇ったのであれば、それはそれで唯一の心残りだったかもしれない。

 しかし、真偽はともかく、この試合の木山ファジは、できることをやり切った試合であったのではないかと思う。対戦相手が存在するのが勝負事である以上、自分たちのやりたいことをやり切れる試合は少ない。その中で、今持っているもの今出せるもの。全てを総動員して戦った試合であった。

 それは、試合でチームを見守り、チームを応援していたサポーターが一番良く分かっている。両チーム合わせて、2,827人とリーグ戦と比べると少ない人数であったが、両チームともサポーターとしても出来る限りサポーターとした試合であった。それだけの迫力と声量があった試合であった。


PK戦の時にゴール裏に回って、選手と共に戦いきったファジアーノ岡山サポーター

 改めて、応援とは数だけじゃない戦う気持ちも大事なんだとそう感じた試合であった。敗戦後にサポーターの小さい声から始まったファジアーノコールは、選手が引き上げるまで、徐々に大きくなっていき、選手の健闘を称えた。

 チームもサポーターも辛く悔しい敗戦。そういう時だからこそ、この声援をチームに届ける。そういった心意気を感じた。

 そして、この戦いは、ここで終わりではない。この敗戦の中でのチームとサポーターの一体感を肌で感じたユースの選手たちは、きっと感じたはずだ。「自分もいつかファジアーノ岡山でJリーガーになって、ファジアーノ岡山の(正式なトップチームの)選手としてプレーしたい。そして、チームを勝たせたい。」と。

 試合にこそ負けたが、チームとして得難いものを得た試合になったのではないかと信じたい。


120分戦った疲れと悔しさを隠せないチームの健闘を称えるファジアーノ岡山サポーター

 リーグ戦の横浜FC戦での敗戦に対する木山 隆之 監督の22日後の応え(答え)に、サポーターの返信(返心)は、最大限の「ファジアーノ岡山コール」であった。

 いつかは、ファジアーノ岡山ファミリーの夢が成就することを信じて、リーグ戦。そして、天皇杯でもまたチームを応援したい。そう想えた試合でした。

 有難うございました。

次の横浜FC戦のヒーローは岡山の選手であると信じて、ここからの上位との戦う選手を後押ししたい。

文章・図・写真=杉野 雅昭
text・figure・photo=Masaaki Sugino

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筆者紹介
 冷静さと熱さを両立した上で、自分の感じた事を自分の言葉で表現することを大事にしている。ハイライトやテキスト速報をレビューを書くために確認するが、極力SNSは、情報を遮断して、レビューを執筆している。流石に通知や開いた時などに、偶然に目にすることもあるが、綿密に分析するというよりは、サッカーというスポーツの魅力を発信することを一番大事にしており、ファジアーノ岡山だけではなく、対戦クラブにも最大限のリスペクトの気持ちで言葉にしている。同時に、サポーターとの交流や魅力を語り合うことも好きで、レビューを書き始めて、中断期間や書けなかった試合もあるが、10年以上、ファジアーノ岡山を中心にサッカーのある生活をエンジョイしつつ、応援してきた。同時に、数少ないから岡山問わず、交流のできたサポーターもいて、「趣味」という「生活」の一部になっていて、サッカー観戦を心より楽しんでいる。


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