2024ファジアーノ岡山にフォーカス24『 その大部分は私のミス~22日後の返信(返心)~ 』ルヴァンカップ 2回戦(H)vs横浜FC
1、あの敗戦からようやく時が進んだ~敗戦からの指針~
今季のJ2リーグ戦で、唯一負けたチーム。それが、横浜FCである。筆者は勝つことだけを考えて、この日を待った。結果は…結果は…。
少し前の雨天の中での悪天候で行われたリーグ戦では、1-3での敗戦の将となった木山 隆之 監督は、試合後に「その大部分は私のミス」と、敗因の1つとして語っていた。先日のリーグ戦の時に18番 田上 大地 選手の「ホームで勝つから!」とは違い、責任を一身に背負うことで、ファジアーノ岡山ファミリーの負の感情を前へと強制的に切り替えたのだ。
負けた時や辛いことがあった時は、どうしても色々と考えてしまうものだ。そういった時こそ気分転換できる何かが必要だが、もちろん簡単ではない。だからこその一言だったのではないだろうか。
敗戦の後にどうしても付き纏う後悔の念。木山 隆之 監督にリーグ戦で、そういった悔しさや後悔の念はなかったのだろうか?と、考えると、「いや、そんなのあるに決まってるじゃん!」と、返ってきそうなぐらい木山 隆之 監督の勝負の一手一手が最善で大胆、そして前を見据えていたのが、この試合であった。
その木山ファジの戦いの「記憶」とサポーターの「回答」を振り返る。
悔しいけど、この試合を少しでも届けたい。それが現地で試合を観たレビュアーとして、1人のファジアーノサポーターとしての「回答」である。
悔しいからこそドラマはある。だからこそ伝えないといけないでしょう。戦いの記憶と記録として!!
いざ激闘の120分とPK戦へ!!
2、質の差が得点に~熱戦の予感~
立ち上がりの攻防を観て、なんとなく点の取り合いになりそうな予感があった。しばらく無失点で守れこそしていたが、サイドからのクロスを防げていなかったことと、シュート自体を防ぐ守備とシュートに対してのシュートもどこか不安定に映ったからである。
一方で、岡山も横浜FCに対して、しっかり形を作れていたので、凄い試合になりそうな予感を1人感じていた。そんな中で試合を動かしたのは、7番 竹内 涼 選手の右足からであった。サイドの選手でも放つことができない絶妙すぎるクロス(見方によってはスルーパス)が配給されると、そのクロスに対して、完璧なタイミングと完璧な動き出しで抜け出した10番 田中 雄大 選手が、冷静に合わせて流し込んで先制点を決めた。
前半に存在感を魅せていたのが、44番 仙波 大志 選手。他の方が命名していた「仙波クルクル」が有名ではあるが、今季は「仙波スルスル」と、マークを振りほどくキープのターンではなく、1対1や1対2でスルスルと、ドリブルでそこを突破していくプレーが光っていた。先制点もまさにそういったプレーから始まった。
その後も岡山も形を作っていたので、岡山がボールを持って主導権を握っていたようにも映ったが、嫌な予感が当たってしまうことになる。9番 櫻川 ソロモン 選手のパスを受けた34番 小倉 陽太 選手にミドルシュートを打たれてしまった。49番 スベンド・ブローダーセン 選手を普段観ているので大丈夫かなと観ていたら、決まってしまった。「あれ?」が正直な感想で、政田でのユース試合でも広島戦でみたGKの差と似たものを感じてしまった。ビルドアップでは、最終ラインに加わって、岡山の流れを掴んでいただけに、最後に49番 スベンド・ブローダーセン 選手の存在が、多くの無失点の試合を作っているんだという事を改めて感じた。
注目していた65番 三木 ヴィトル 選手は、守備でいっぱいいっぱいで、連携も探り探りやっていた感じで、なかなか持ち味を前半に関しては、発揮できなかった。一方で、55番 藤井 葉大 選手は、前回のルヴァンカップから成長を見せて、安定感が光り、確かな成長を感じる堂々たるプレーぶりであった。
欲を言えば立ち上がりの29番 斎藤 恵太 選手や99番 ルカオ 選手のスプリントでの仕掛けが良かっただけに、そこでの先制点も欲しかったが、途中から少し疲れが見えた部分があっただけに、やはりその部分は感じた所ではある。
7番 竹内 涼 選手の攻守の判断の安定感や1つ1つのプレーの正確性というのは、アシストをしたことを含めて違った。前半だけの交代となったが、リーグ戦への期待を膨らむパフォーマンスは、リーグ戦への期待を膨らませた。
3、明確な意思表示~勝ちたい~
後半頭から7番 竹内 涼 選手が下がった。怪我から復帰して初めての公式戦で、チームとしても離脱している選手が多いことからまずは、45分ということであると思いますが、ゲームとしては、15番 本山 遥 選手に代わったことで、守備強度も高くなるという意味では交代自体は悪くない。そして、7番 竹内 涼 選手にとっても45分間だけのプレーだけでしたが、次に向けて非常に期待できるパフォーマンスであったと思います。
しかし、試合の後半に先にスコアを動かしたのは、昨シーズンまで岡山にいた横浜FCの9番 櫻川 ソロモン 選手でした。6番 和田 拓也 選手のミドルシュートは、55番 藤井 葉大 選手が体に当てて防ぐことができたが、こぼれ球が9番 櫻川 ソロモン 選手の前へとこぼれた。逆を突かれて態勢が崩れた1番 堀田 大暉 選手が守備態勢が整う前に押し込まれてしまった。
岡山は、失点直後にすかさず、29番 斎藤 恵太 選手に代えて、27番 木村 太哉 選手を投入した。流れを何度も変えてきた選手。それが、27番 木村 太哉 選手という選手だ。この試合でも早速仕事をする。4番 阿部 海大 選手の一本のパスで裏へ抜け出すと、横浜FCの現役大学生の46番 佐藤 颯真 選手の前に出ると、迷わず右足を振りぬく、そのシュートはGK1番 永井 堅梧 選手に当たるもゴールネットを揺らして、同点に追いついた。27番 木村 太哉 選手がボールを持った時の色々な種類のドリブルは、岡山の武器であり、彼だけのドリブルである。まさに「世界に1つだけのドリブル」である。
岡山としては、勝ちたかった。しかし、今季の最大の目標は、リーグ戦でJ1昇格という結果を掴むことであり、そこに向けて難しい判断が迫られた。4番 阿部 海大 選手に代えて、6番 輪笠 祐士 選手を投入した。これは、どちらかと言えば、リーグ戦に向けて、4番 阿部 海大 選手と6番 輪笠 祐士 選手の疲労をできるだけ軽くする狙いが何割か含まれた交代である。
一方で、勝つために19番 岩渕 弘人 選手と交代した65番 三木 ヴィトル 選手。木山 隆之 監督のアドバイスを受けた直後からユース所属の選手とは思えないぐらい後半は持ち味の体幹の強さを活かした仕掛けで、左サイドから中に切り込んでクロスやパスという形を作れるようになっていた。ユースでも欠かせない選手でもあるが、離脱者の多い現状だと、トップのリーグ戦でも必要となってくる選手にも感じた。状況によっては、リーグ戦の出場もありえるというプレーができていた。これからの成長と活躍がとても楽しみな選手である。2005年の9月生まれなので、もしかすると状況によっては、トップチームが主戦場になる可能性もあるかもしれないですね。
横浜FCも一部の主軸選手と2種登録?の選手を何人か投入して、勝ちに来ていた。岡山も19番 岩渕 弘人 選手の何度の高いシュートが僅かに外れるシュートがあるなど、惜しいシーンも作っていたが、結局90分では決着が付かず、2-2で勝負は延長戦に突入した。
4、ご褒美は貰えなかった~力及ばず~
立ち上がりに10番 田中 雄大 選手が、19番 岩渕 弘人へのパスのこぼれ球に反応して、攣りながらシュートを放ったが、これが決まった。美味しい所を持っていく。勝負どころの決定力の高さを示した。リーグ戦は、ルヴァンカップでフル出場する可能性も感じていたが、この勝負強さが評価されてのメンバー入りも十分あるかもしれない。持っているものを全て出し切った10番 田中 雄大 選手は、66番 南 稜大 選手と交代した。
このまま逃げ切れると信じていたが、そうならなかった。10番 カプリーニ 選手が、10番 田中 雄大 選手同様に、十番の力示す同点ゴールを許してしまった。その後も、両チームは、勝ち越しを狙ったが、最後までゴールを割ることができずにPK戦に突入した。
PK戦は、6番 輪笠 祐士 選手が、GK1番 永井 堅梧 選手に止められたのに対して、横浜FC戦に全て決められて、先行の横浜FCが、5-3で、PK戦を制した。この結果を受けて、岡山は、2回戦敗退となった。
とコメントを残された通り、後は結果だけという試合は、残念ながらご褒美はついてこなかった。悔しいが、120分では負けない全てを出し切れっ多試合ができたということを誇りにリーグ戦に繋げていくしかない。
5、未来への延長戦~サポーターの返信(返心)~
120分とPK戦の激闘の末に岡山は敗れた。直後のファジアーノコールはとても小さかった。やはり、ショックな敗戦であった。辛い敗戦であった。受け入れがたい敗戦であった。そして、悔しい悔しい敗戦で、勝ちたかった。率直にそう思った試合であった。
しかし、同時にチームの頑張りをとても感じることができた試合であった。リーグ戦での雨天の中でのホームでの1-3の敗戦の時に
というコメントを残している。ここに対して、木山 隆之 監督が、どういった「応え(答え)」を用意して、どういった戦いを見せてくれるのか。離脱者が多くでてしまっている状況の中で、ユース選手を2名起用した中での総力戦。迷いなく選手に戦いの方針を示し、選手の良さを引き出して、戦いきった。リーグ戦での清水戦を控える中で、ギリギリの判断もあった。その中で、最後まで勝ちに行く攻めの姿勢を貫いた。しかし、勝ち進むには、力が及ばなかった。
具体的には、足が攣る99番 ルカオ 選手に代わる走れるストライカーがもう1人いれば、と強く感じた状況の激闘の試合であった。そして、64番 藤田 成充 選手も準備していたが、恐らく交代回数を使い切っていたので、投入できなかったという誤算があったのではないかと思うが、まだリードしていた状況であったので、投入できていればという感じで、もし投入可能で、躊躇ったのであれば、それはそれで唯一の心残りだったかもしれない。
しかし、真偽はともかく、この試合の木山ファジは、できることをやり切った試合であったのではないかと思う。対戦相手が存在するのが勝負事である以上、自分たちのやりたいことをやり切れる試合は少ない。その中で、今持っているもの今出せるもの。全てを総動員して戦った試合であった。
それは、試合でチームを見守り、チームを応援していたサポーターが一番良く分かっている。両チーム合わせて、2,827人とリーグ戦と比べると少ない人数であったが、両チームともサポーターとしても出来る限りサポーターとした試合であった。それだけの迫力と声量があった試合であった。
改めて、応援とは数だけじゃない戦う気持ちも大事なんだとそう感じた試合であった。敗戦後にサポーターの小さい声から始まったファジアーノコールは、選手が引き上げるまで、徐々に大きくなっていき、選手の健闘を称えた。
チームもサポーターも辛く悔しい敗戦。そういう時だからこそ、この声援をチームに届ける。そういった心意気を感じた。
そして、この戦いは、ここで終わりではない。この敗戦の中でのチームとサポーターの一体感を肌で感じたユースの選手たちは、きっと感じたはずだ。「自分もいつかファジアーノ岡山でJリーガーになって、ファジアーノ岡山の(正式なトップチームの)選手としてプレーしたい。そして、チームを勝たせたい。」と。
試合にこそ負けたが、チームとして得難いものを得た試合になったのではないかと信じたい。
リーグ戦の横浜FC戦での敗戦に対する木山 隆之 監督の22日後の応え(答え)に、サポーターの返信(返心)は、最大限の「ファジアーノ岡山コール」であった。
いつかは、ファジアーノ岡山ファミリーの夢が成就することを信じて、リーグ戦。そして、天皇杯でもまたチームを応援したい。そう想えた試合でした。
有難うございました。
文章・図・写真=杉野 雅昭
text・figure・photo=Masaaki Sugino
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