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2022ファジアーノ岡山にフォーカス33『 信頼と真心 』

2022 J2 第37節 シティライトスタジアム
ファジアーノ岡山 vs V・ファーレン長崎

 自分達のサッカーを信じることができるかどうか。徳島の突き詰めたサッカーの前に完敗した。ここで、勢いか止まるのか、それとも信じて一歩を踏み出すことができるかどうか。そういった位置づけの試合であったと、私は認識している。

 結果は、長崎に退場者が出たことで、雉プレスの圧力で長崎を押し切ったという試合であった。PKでの得点であったが、精神的支柱の23ヨルディ・バイスの大きな意味を持つ先制点から岡山のWエースの7チアゴ・アウベスと15ミッチェル・デュークが、決めての内容と結果が伴った完勝であった。

 その背景を、私の視点ではあるが、振り返っていきたい。

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2022 J2 第37節 ファジアーノ岡山 vs V・ファーレン長崎


1、ボールは友達


 徳島戦で感じたボールをなかなか持つことが出来ない辛さ。キックオフは、岡山ボールでスタートしたが、後ろに戻してからシンプルにロングパスを蹴るのでなく、5柳 育崇は中盤の選手の足下に通した。

 これは、準備していないと出来ない形で、ミスキックにも見えたぐらいで、その場にいる選手以外は、意表を突かれた方が大多数を占めるのではないだろうか。もしかすると、5柳 育崇が一人ピッチを見ながら考えていた可能性もあるが、工夫が功を奏して、その後の9ハン・イグォンミドルシュートが、相手選手にディフレクション(蹴ったボールに選手が当たること)により、バーに当たってゴールこそならなかったが、非常に惜しいシーンを開始早々(15秒)に 作れていたことから準備してきた形であることが予想される。

 このプレーで、今日はやれる。俺達は、やれる。そういった気持ちを感じた。細かい変化で、ちょっとした工夫ではあるもののボールを大事にする気持ちがなければ、こういったアイデアは浮かばない。ボールは友達であり、大事にしたい。

 長崎も29クレイソンを中心に高い個の力を武器にゴール迫るシーンも多く、アウェイで勝ち点3を持ち帰るという気持ちを感じられた。岡山の14田中 雄大や34輪笠 祐士といったボール奪取の上手い選手が、ボール奪取にチャレンジしたもののスピードのあるドリブルから切り返しやタッチで振り切る形からチャンスを作られるシーンが何度か続いた。

 自分達のやりたいことができてる中でも簡単ではないという印象で、試合が進んでいたが、前半27分に、それは起きた。次のプレーに向けて、ボールを再開位置に蹴ろうとした(少し強く蹴り過ぎてはいるが・・・)が、それが主審に当たってしまった。恐らく、意図していない(深く考えていない)プレーであったと思うが、審判への過剰な異議と捉えられたのか、一枚目もそういった抗議をしていたこともあり、印象が悪く2枚目のイエローカードが、掲示されて退場することとなった。

 一枚目のシーンも二枚目のシーンも対応次第では、掲示されなかった可能性もあり、軽率であり不用意であった部分は否定できず、そこに故意という悪質な要素や危険なプレーであるラフプレーがあった訳でもない(一枚目は避けようとしたように見えなくもない)ので、岡山サポーターの立場からしても気の毒であると感じた。

 しかし、岡山も退場者が出た試合もあり、1人少ない事での影響は大きい事は明らかであるが、そういったプレー(行為)をしてしまった。もしくは、そういった印象を持たれてしまったという点は、29クレイソンに落ち度があったと言わざる得ない。

 岡山が、人数の上では有利になったが、勝敗がそのままにならないのが、サッカーでもある。当然ながら岡山を保持できるが、長崎は、ゴール前を固めて、カウンターに狙いを絞ってくる。

 どちらが先制点を決めるかで、勝敗やその後の展開に大きな違いが生じてしまうという状況であったが、ボールを持つ岡山は、カウンターを警戒したパスの回し方をしていた。流石にスペースがない長崎相手にどう攻めるか迷っているのは明らかであったが、岡山の武器であるセットプレーで、18斎藤 和樹と23ヨルディ・バイスがそれぞれ決定機を作った。特に18斎藤 和樹のシュートは、強く打てていれば決まった可能性は高かっただけに、ここ数シーズンの決定力の低さは、18斎藤 和樹の課題と言える。一方で、23ヨルディ・バイスのシュートは、ほぼ完璧であったが、GKの1富澤 雅也のファインセーブに阻まれた。それにしても今季の23ヨルディ・バイスの得点は、全て足での得点で、頭での得点がないのは、意外ではある。

 長崎も前半の45分の中で、元岡山の20大竹 洋平のシュートや1人少ない中でも、11エジカル・ジュニオのPA内の押し込むだけというシーンを作りかけるも、岡山の選手が僅かに触ったか、ブラインド(死角)になったことで、ミートできず1人少ない長崎に先制されることは避けることができた。

 長崎が善戦して事が感じられるファビオ・カリーレ監督の言葉。

ファビオ・カリーレ監督(長崎)
「前半に関してはすごく良いサッカーができていたと思います。1人が退場しても、良いサッカーを保つことができていたと思います。」

Jリーグ.jpより監督コメントより一部引

 長崎に先制されることを防げたことが、大きな試合の流れを作れたことは間違いない。

 後半に0-0で入ってしまえば、長崎に立て直す時間と、勇気を与えてしまうことで、難しいゲームになる可能性があった中で、ハンドからPKを獲得した。9ハン・イグォンは、蹴りたかったのか、23ヨルディ・バイスに近寄ったが、ボールをセットし集中力を高めて行く23ヨルディ・バイス。9ハン・イグォンもFWを任される時間があることを考えてもこの姿勢は、大事である。結果的に、23ヨルディ・バイスが、PKをしっかり決めて、岡山が先制して前半終えた。

 前半の印象について、木山 隆之監督と23ヨルディ・バイスは、次のように語っている。

木山 隆之監督(岡山)
「立ち上がりからアグレッシブに自分たちのプレーを出すことができた。長崎の選手が一人少なくなって、自分たちが有利になったが、前半に1点取れたことが勝利に近づく大きな要因となった。クロスを入れたりセカンドボールを拾ってボックスに入ったりしていたが、決定機は難しかったので1点取れたのが大きかった。」

ファジアーノ岡山公式HP 試合後コメントより一部引用

23ヨルディ・バイス(岡山)
「今日の試合は、最初から支配をできて、序盤で2ゴールくらい入っていてもおかしくなかった。そこで決められなかったが、その後PKを得られて、均衡を破る意味でも相手のメンタルを崩す意味でもいいタイミングだった。」

ファジアーノ岡山公式HP 試合後コメントより一部引用

 1人多い時間がある中でも、難しい前半であり、大きな意味を持った先制点であったことが伝わって来る。

2、1点以上の重み


 前半終了間際という終了間際の得点は、両チームにとって大きな意味を持った。1人で仕事ができる7チアゴ・アウベスと15ミッチェル・デュークが、リザーブメンバーに控えている事で、1人多いことで、こういった強力な個の力を持った選手が力を発揮し易い状況が生まれた。長崎は、逆に0-0であれば、7クリスティアーノと、27都倉 賢といった同じく1人でも仕事できる強力なストライカーで、何らからの形で、1点を得て、そのまま逃げ切るというゲームプランの達成も十分できた筈である。しかし、1点リードされたことで、こういった選手を投入しても、岡山がリスクを抑えつつ、カウンタ―を狙いに意識を置かれることで、逆襲を受けるリスクが1人少ない長崎にとっては、かなり重くのしかかった。

 後半は、HT後に18斎藤 和樹に代わり15ミッチェル・デュークを投入。長崎も同点から勝ち点1以上を手にするためにMF寄りの選手からFW寄りの7クリスティアーノを投入して打開を図る。チャンスを作るものの追加点を奪えない岡山は、後半20分に38永井 龍に代えて、7チアゴ・アウベス。前線の2選手を代えた岡山。1人少ない長崎は、岡山のように前線の切り札を入れて行く時間帯には、少し早い。

 形を変更していたと話すファビオ・カリーレ監督

ファビオ・カリーレ監督(長崎)
「後半に4枚の2ラインを作って、その前に1トップを置く形に変えました。」

Jリーグ.jp 監督コメントより一部引用

 この守り方は、松田 浩監督のゾーンディフェンスに近い。岡山のチームカラーが、ハードワークが岡山の色が濃いように、長崎にとって、ゾーンディフェンスは、一つの長崎のサッカーのアイデンティティ(拠り所)になる可能性もある。

 ただ、7チアゴ・アウベスの投入の効果がでる。5柳 育崇のクリアボールが、スペースへのロングパスのような形となり、CBの25櫛引 一紀が先に落下点に入るも、ボールに注意が行っている所を7チアゴ・アウベスが、審判から見えない様に手でプッシュしたことで、25櫛引 一紀のポジションに7チアゴ・アウベスが入り、GKの位置を見て、バウンドして落下してきたボールをループシュートでGKの頭上を越えて行き、ゴールネットを揺らした。

 恐らく、VARがあれば、ファールをとられてノーゴールの可能性もある。直後のシーンのオンサイドに見えた14田中 雄大の得点は、オフサイドとなったことを含めて、J2には、VARがなく、絶対こういったシーンが起きてしまう。再試合を経験した岡山のサポーターとしては、ジャッジに喜怒哀楽の感情が入って受け入れられなくても、こういったことは起きうることであるものとして、ある程度までは消化できるであろう。むしろ、VARがあっても覆らない判定もあり、人間が判定する以上にどうしても主観が入るのは致し方ない。それでも、一つの判定やプレーに対して、客観的視点によって、対戦するチームに対しても、私が応援する岡山に対しても、しっかり言及していきたい。

 そして、1人少ない長崎にとって、決定的とも言える2点目は、長崎に心理的なダメージを与えた。その5分後には、41徳元 悠平の左サイドからのクロスに15ミッチェル・デュークが、頭で合わせて、追加点。この時、GKの1富澤 雅也が、パンチングしようとするも予測を誤ったことで触れず、15ミッチェル・デュークが高さもあり、無人のゴールにへとヘッディングシュートは、吸い込まれた。ゴールで待ち構えていれば防げたかもしれないが、そういった判断と対応ができるほど、長崎には、心理的余裕がなかったことが感じられる。

 この失点を含めて、この試合の3失点への形に関しては、監督のファビオ・カリーレ監督も次のように語っている。

ファビオ・カリーレ監督(長崎)
「最後まで戦う姿勢を見せてくれたと思います。そこの部分に関してはたたえました。ただ、失点をしていて失点の仕方も良くない。」

Jリーグ.jp 監督コメントより一部引用

 全ての失点とも仮の話をすれば、防げた可能性もあっただけに、長崎としては、数的不利だったとしても悔やまれる失点であったことは間違いない。

 その後も追加点のチャンスがあったものの得失点差を3点積み上げることができたのは、今後に繋がる可能性もある。次に向けて、岡山の選手や監督は、次のように語っている。

15ミッチェル・デューク(岡山)
「ファン・サポーターからのサポートはシーズンを通して素晴らしいと感じているし、12番目の選手だと思っている。次の仙台戦でも皆さんの力が必要になる。スタジアムではオーストラリアの国旗も掲げてくれていて、それを見るたびに、代表に選ばれるためにはこのクラブでしっかり結果を残さないといけないと感じている。これからワールドカップ前最後の代表戦に行くので、いいコンディションをキープしてワールドカップ本大会のメンバーに選ばれるように頑張りたい。
代表戦のためにチームを離れることにはなるが、ファジアーノは誰が出てもチームのためにプレーができて、チームを勝たせることができると信じているし、それだけの層の厚さがある。それがシーズンを戦い抜くために重要なことだと思っている」

ファジアーノ岡山公式HP 試合後コメントより一部引用

 ファン・サポーターへの感謝を語る15ミッチェル・デューク。また、ワールドカップへの想いとチームへの想いも語る。また、チームへの絶大な信頼も感じる。代表で一時的に岡山から離脱する事になるが、22佐野 航大も戻って来るので、15ミッチェルデュークが戻って来た時のためにもチームには、しっかり勝って欲しい。

木山 隆之(監督)
「前節、痛い星を落としてしまい、僕自身も試合に対しての準備や見積もりを誤ったと思っていたし、選手たちも自分たちの力を出せなかった思いもあったと思う。今年ずっとそうだが、負けた後のリアクションは常に強く、すぐに立ち上がろうと言ってきた。7回負けているが常にそれを言ってきたので、今日もそれを出せて勝てて良かった。
連休にもかかわらずファジアーノの観戦を選んでくれて、8,000人以上の方に来ていただき後押ししてもらい、いい雰囲気でやらせてもらって感謝をしている。次の仙台との試合もホームであるので、全力で頑張りたい。」

ファジアーノ岡山公式HP 試合後コメントより一部引用

 木山監督もホームの雰囲気に感謝、勝負の10月は、アウェイが多いが、ホームでアウェーでも拍手(声援)で、チームを後押ししたい。徳島戦のような悔しい敗戦もあったが、チームは前を向いている。それを改めて感じることができた試合であった。

23ヨルディ・バイス(岡山)
「3週間の中で6試合あるタフな日程だったが、それに対して我々は言い訳を一切しない。徳島戦は残念な結果とはなったが、今日はしっかりと自分たちの戦いを見せて、レールの上にしっかり戻って勝てたことは嬉しい。6試合の中で勝点15を取れたことはすごいことで、まだ3位にいれている。さらに上に行くためにハードワークを続けているし、今日またレールに戻れたので、そこから外れないように止まらないようにやっていきたい。
~一部省略~
我々は個人個人でみるとJ2の中で一番クオリティがあるチームではないかもしれないが、チームでみると一番クオリティの高いチーム。どの相手からしてもファジアーノと戦うことは難しいと感じているだろうし、自分たちは相手にフォーカスを当てず、常に自分たちに焦点を当てるようにしている。
台風が来る中での試合でも、これだけ多くのファン・サポーターの皆さんが来てくださることはすごいこと。嬉しいし、皆さんが自分たちを後押しをしてくれている。その恩返しを今日はできた。ファン・サポーターの皆さんとのつながりも個人的にすごく感じているし、後ろで見守ってくれているときは、より強いプレーができる。
もう一つ付け加えたいのは、今日、J2の中でトップ2のファン・サポーターがそろっていた。1つはファジアーノ岡山で、1つはV・ファーレン長崎。それが1つのスタジアムに集まれたことも、素晴らしいことだった。」

 徳島戦でこそ敗戦したが、自分達に今勢いがあること。また、チームとして強くなってきている事。そして、ファン・サポーターの後足しがあることへの感謝。そして、古巣のV・ファーレン長崎への想いも語った熱いメッセージ。

3、OKAYAMA STYLE


 ここ中盤戦から終盤戦にかけて顕著であるのが、ファジアーノ岡山が、可変式とシステム変更を織り交ぜる戦術的な幅が広がっているという点である。確かにフィジカル重視のサッカーであるかもしれないが、ただ選手を並べるだけでは、機能しない。岡山が、如何に選手の良さを組み合わせや戦い方で、選手の潜在能力を最大限引き出せているかを改めて感じる終盤戦となっている。

 今の岡山は、4-4-2(4-2-3-1)、3-1-4-2(5-3-2)といった主な2パターンのシステムを採用することができる。更に3-4-2-1(5-4-1)や4-3-1-2などの形を採用することもある。攻撃と守備でも形が違う事もあり、私達レビュアーにとっても、システムを間違えているのではないだろうか?もしくは、どういった形を採用しているのか把握するのが難しい事もある。また、選手によっても少し形や役割を変化させることもあり、同じWBであってもSBのような16河野 諒祐やWBとWGのような22佐野 航大。

 このように岡山は、フォーメーションやポジションの概念に捉われない自由な「OKAYAMA STYLE」を明確に確立しつつある。「This is 岡山」なのである。ある意味「KIYAMA STYLE」なのかもしれないが、岡山の選手編成とチームカラーをしっかり分析した上で、岡山に寄り添ったチーム作りをしているからこそ、今のスタイルに辿りつけたと考えたい。

「OKAYAMA STYLE」は、『ハードワーク・堅守・デュエル』の3本柱をベースとしたサッカーに、選手の個の力を戦術の幅の広さで100%以上発揮させていくことにある。考えてみて欲しい。歴代の岡山で、これだけシステムをスムーズにチームに落とし込み、ここまで自由に使いこなせているのは、歴代の岡山で見ても木山ファジのみである。

 今季の岡山の最大の強みは、個の力や縦に一本のパスで効率的に攻めることを挙げたくなるかもしれないが、それ以上にシステムの柔軟さが最大の武器であると思っている。1試合1試合や練習を活かす事で、効率的に戦術理解度を高めつつ、選手を適材適所にすることで、システム理解度を飛躍的に高めることで、選手の個がより輝く。例えるなら「マリオネットシステム」。

 マリオネットは、操り人形で直接的な意味としてはあまり良くないが、ポイントは、糸で繋がっているという事であり、監督の采配や選手交代で、選手がタスクを正確に実行することで、チームが機能するという意味もあるが、糸で繋がっている事で、選手の1人の意図が、チームの意図してしっかり繋がっている。つまりリンクしているという事である。岡山のマリオネットシステムは、マリオネットは、本当は糸を操る人に主体があるが、マリオネットシステムには、選手にも主体がある。

 加えて、このシステムが機能すれば「試合をコントロールできるシステム≒マリオネットシステム」という意味で、岡山のサッカーが、対戦チームのサッカーを飲み込むこともできるという意味も込めている。以上からマリオネットシステムと評したい。

  また、この説明をより砕いて説明すると、「岡山の土俵で勝負し易いサッカー」で、有利な時の表現では、「岡山の土俵に持ち込み易いサッカー」と表現できる。

 よって、岡山の縦ポンのサッカーや荒いサッカーという表現をされた時は、岡山の強みを出せて戦えている証左であり、むしろ自信を持って、誇りに思っても良い。テクニックに特徴がある選手が、テクニックで勝負するように、フィジカルに特徴がある選手が、フィジカルで勝負できているのではあれば、それは、持ち味を出せているのであって、自分達の土俵で戦えている事も意味する。

 ただ、断っていくが、非紳士的なプレーやラフプレーといったプレーを許容する意味ではなく、デュエルやハードワークといった運動量や強さで、勝負している分については、対戦チームのスタイルによっては、同じサッカーと思えない異質なものと感じるかもしれないが、繰り返しになるが、それは、岡山の土俵で戦えている。そして、そういった批判があるのは、岡山が勝てている今の状況そのものである。

4、試合写真


おかやま信用金庫さんからの300万円進呈

 サポーターとスポンサーの力は大きい。ファジには、多くの人の想いで成り立っている。

長崎サポーター

 遠路はるばるお越しいただきありがとうございます。錨のエンブレムの旗が印象的でした。多くの長崎サポーター。本当に嬉しい。

入場シーン

 いつもこの瞬間に、気持ちが熱くなる。

柳選手のセレモニー
長崎のイレブン

 コロナ対策か立っての撮影。規律と一体感のようなものを感じる。

岡山のイレブン
岡山の選手が円陣を組む所。

長崎の円陣の方は、間に合わなかった。

キックオフ!

キックオフの笛の音がなる瞬間は、好き。

PK。キッカーは23バイス選手。
決めて喜ぶシーン。

奇跡的に23バイスにピントがあった。この時は、23ヨルディ・バイスを中心に動いている。

選手が・・・
集まって来て23バイスのゴールを一緒に喜ぶ。
長崎の円陣

コロナ対策で、ここも肩を組まない。かなり徹底されている。

岡山の円陣

岡山もよく見ると、姿勢だけ円陣。

セットプレーの旗のシーン

 見えないという事で、ブラインドになって試合を見辛いという声もあるらしい。声出し応援ができないことで、初めての方や普段声出しをされていなかった層がゲート10に増えていることを考えると、仕方ないかもしれない。

 声を出せる日常が戻ってくれば、声を出す事で選手を後押ししたいサポーターが集まり、また同志が結集することになる。グループでない方、グループも方も話をすることで、結束となり、選手を戦う一体感を作っていくことになるだろう。

 しかし、声を出せない中でもしっかり、選手を後押しする。エリアに関わらず、それぞれの形で、ファジを応援している。応援スタイルに適したエリアに違いこそがあっても、チームの勝利を願う気持ちは、どのエリアのサポーターも同じ気持ちである。

 サポーターも心ひとつにして、最後まで岡山を応援していきたい。

7チアゴがでる!

 7チアゴ・アウベスは、7チアゴ・アウベスである。オンリーワンを強く感じる。こういった選手が、日本で誕生すれば人気がでそう。

キッカー7チアゴ!

 ゴールシーンは、興奮して撮影チャンスを逃しがちだが、セットプレーは止まるので、良く撮影できる。

 試合展開に余裕があったことで、7チアゴが、今日は蹴っていた。思い切り蹴るのでなかなか枠に飛ばない。壁を越えて枠に行ったら決まりそう。それだけの破壊力がある悪魔の左足。

感慨深い・・・

 このシーンの見方によって、大きく意味は、異なる。26本山 遥。ターンオーバーとしてもスタメンから押し出された選手と捉えるのか。仙台戦では、スタメンに戻る可能性があってもレギュラー争いの真っ只中にいる。

 それとも激しい競争の中でも、出場機会を得る事ができている選手であると捉えるのか。何を主体と見るか、視点を見るか。写真をみているだけも色々と考えてしまうことはある。

前半戦は厳しかった8000人越え

 勝ち続けることで、サポーターも頑張れる。チームとして最後まで走り抜けて欲しい。

激闘の証

 試合後に倒れ込む長崎のDF陣。負けたことより、岡山の攻守での圧力を受け続けたことで、心身共にかなりダメージがあったことを感じられる。タンカーで、運ばれる選手もいたぐらい。スコアこそ3-0で、岡山の勝利だが、長崎の選手の勝利への執念というのは、犇々(ひしひし)と伝わって来た。

ホームは、岡山のスタッフも多い。

 ホームは、総力戦。全てにおいてホームを感じられる。

サポーターに挨拶に行く長崎の選手

 悔しさと同時に、戦い抜いた。出しきった。そういったものを感じる。

サポーターに挨拶する長崎の選手

 どこのクラブのサポーターも最後まで可能性がある限り、最後まで信じて、選手を応援する。お互いにリスペクトしあうことで、良い関係を築いていきたいと、アウェイサポーターを見てもいつも思う。

ヒーローインタビューは、15デューク。

 ファジからもWカップに出場する代表選手が出て欲しい!

ベンチに引き上げる長崎の選手

 対戦チーム(この試合では長崎)のサポーターもいるかもしれないが、勝っても負けても対戦チームの選手(長崎の選手)にもしっかり拍手する光景は、素敵。これからも対戦相手にもしっかりリスペクトできるファジのサポーターであって欲しいと願うばかりであり、誇りにも思う。

いつも熱いけど、クールに見える5柳。

 我が強かった選手達が、我慢ではなく、気持ちを抑える事ができる。コントロールすることができるようになった点が、岡山の強さの源泉のように感じる。

勝利しても腰に手を当てる選手達。

 疲れている時に、腰に手を当たる事が多い。多少は、涼しくなってきたとはいえ、1人多かったとはいえ、90分間攻守で走り切ればプロの選手でもかなり疲れる。ましてや、3点差になっても1点でも返すという気持ちで、岡山に向かって来る。多少運動量をセーブする事があっても手は抜けない。それでもサポーターの元へ来て、挨拶に来てくれる。当たり前に感じていることかもしれないが、よく考えると有難くて、嬉しい。

勝利は嬉しい。

 いつものことながら、やっぱり嬉しい。勝ち続けることができる幸せ。足も軽い。

引き上げる選手達

 明日(仙台戦前夜に記事公開)もお願いします。

明日の仙台戦

 仙台戦前にみるレビューは、どうでしょうか?総合型レビュアーとして、記事を書いていますが、前日に読んでみて、気持ちが高盛るものが少しでもあると嬉しい。

 最後まで読んで下さり有難うございました。

文章・図・写真=杉野 雅昭
text・figure・Photo=Masaaki Sugino

ファジ造語に、
「OKAYAMA STYLE」と、
「マリオネットシステム」を追加。

試合後コメントの引用元のリンク

アディショナルタイム(おまけ)

ファジ造語

チアゴ・タイム
 7チアゴ・アウベスのプレーの一つ一つにサッカーを楽しむという遊び心があり、そこに技術が伴った左足の凄さを称えて「悪魔の左足」と、呼ばれている。その左足を活かして、何処からでも何時でも狙っていて、7チアゴ・アウベスが出場している時間帯は、岡山の大きな得点源と言える。

本山丸(イメージは真田丸)
 大阪の陣で、大阪城に迫る徳川の軍勢に対して、真田丸は、大阪城の弱点を補う出城として築かれた。23ヨルディ・バイスと5柳 育崇の弱点は、釣り出されたときや、スピードであるが、26本山 遥かが主に、そういった守備対応をすることで、3選手の良さをお互い引き出すことで、守備が安定して、堅守を構築に繋がっている。

参考
2022ファジにデータでフォーカス2
「中盤の真田丸(本山丸)」
2022 J2第2節 岡山 1-1 徳島 レビュー
は、こちら(別サイト:SPORTERIA)。
URL:https://sporteria.jp/blog/sugi8823/6905499896963403777

ヤバス要塞
 語呂を意識して、5柳 育崇の「ヤ」と、23ヨルディ・バイスの「バとス」の二文字を抽出して、「ヤバス要塞」と、表現した。防衛において重要な地点の砦。砲台もある砦のことも指す。高い対人守備だけではなく、ロングパスの精度やセットプレーの得点力があり、まさしく要塞と言える。攻守で強みを発揮できる「ヤバス要塞」として、難攻不落を目指す。

梅田アウォール
 ファジの最後の壁。ファイアウォールに比喩した表現。戦術や個の力、連動性といった攻撃で、ゴールを狙ってくる様々な攻撃をシャットアウトする。そして、バックパスの受け手として、フィードや組み立てる一人として、パス交換(情報通信)。後方からの冷静なコーチング(情報の発信)。多くの情報を整理し、最的確な決断ができるGKである1梅田 透吾の良さを表現したファジ造語。

0バックシステム
 攻撃的で積極的なオーバーラップや得点力のあるCBである5柳 育崇や23ヨルディ・バイスのCBの2選手と、SBが本職である26本山 遥といった流動性のあるDFラインを形成することで、攻守において、自由に動くことで、攻守での手厚い状態を作り、数的不利になりがちな局面で、数的有利の攻撃シーンを演出し、守備でも積極的なアクションで、事前にピンチの芽を摘み、流動性から生じる集中力と緊張感から、カバー&フォローで、リズムを作り出す戦術システムのファジ造語。

木山ファジVer1
 2022シーズンの開幕からトライした新システムの4-3-3。超攻撃的なサッカーで、7チアゴ・アウベスを軸とした、自由と個の力を前面に展開していく。選手のコンバートやルーキーの積極起用で、勢いと爆発力があった。攻撃だけではなく、前からの守備でも効果的で、嵌める・奪うから得点に繋げることのできた試合もあった。ただ、対戦チームの対策が進む中で、勝ち点3が遠く、順位を下げて行く中で、4-3-3の戦術的アップデートの一時中断からの路線変更を余儀なくされた。

木山ファジVer2
 10節という節目で採用された4-4-2。4-2-2-1-1とも言える形で、4-2-3-1とも言えるが、ダブルボランチを採用することで、攻守での安定感が高まった。有馬ファジの4-4-2とは違い攻撃的な選手と、ロングパスの得意な選手が多く、速攻を主体として、速さ・強さ・高さを前面に出して、ゴールに出したことで、今季のメンバーに寄せた4-4-2。効果的なサイド攻撃やカウンター攻撃は切れ味鋭く、中央ラインの強固さで、J2屈指の堅守となった。

ヤバスギタ山城
 柳の「ヤ」、バイスの「バ」と「ス」、喜山の「キ(’’)」、堀田と梅田の「タ」、そして本山と喜山の「山」。まさしく攻略の難しい山城。そしてセットプレー=飛び道具が効果的な組み合わせとして、岩政 大樹時代を彷彿させる高さと強さを感じる。今後も色々な選手や形を試して行く中で、より強固にして欲しい。

木山ファジVer2.5α
 現状の個の力に赴きをおいたサッカーに組織力を強化することで、攻守でのより高みを目指す。特に重視するのが、「主導権を握るサッカー」。ただ、現状は、後で回すだけに留まり、プレスを受けてしまうことやパスコースが限定される中で、前線の選手の自由が制限されてしまうことで、パスがカットされたり、ゴールに向かってシュートに行く前に奪われたりと、逆にカウンターを受ける事が多くなってしまっている。もしかすると、別の形を模索することとなるかもしれないが、現状は明確な方向性のサッカーを体現できていない。

木山ファジver3
 前半は、15ミッチェル・デュークを軸としたサッカーを展開し、7チアゴ・アウベスの投入を皮切りに、パスに赴きを置くサッカーに展開して行く中で、22佐野 航大のプレーの変化や15デュークと7チアゴの連携、SBの関与、セットプレーの回数を増やす事で、ゴールに迫るスパークをかけることで、90分間での得点機会増に繋がっている。ただ、自分達が主導権を握るサッカーという点では、依然として課題が残っている。そこを残り約10試合で、カバーできるかどうか。

雉プレス(ファジアーノプレス)
 90分間のフルタイムの間、岡山式のハイプレスを続けること。2トップ、2列目、アンカーの7選手が積極的に、前からプレスをかけて、相手の組み立てを大きく牽制し、ボールを奪えれば、強力な2トップと2列目の選手が襲いかかる。そのプレス網を抜けても最終ラインの選手が、前に出て対応し、プレスバックで、自由を与えない攻守一体の岡山式プレス。

木山ファジBEST Ver1
 木山ファジの完成形。岡山が採用してきた3バック、4バック、5バックを1つのサッカースタイルとして体現。時間帯によって形を変える事で、対戦チームの対策を許さない。個性豊か選手を巧く起用することで、個の力を最大限引き出す。チアゴタイム、本山丸、ヤバス要塞、雉プレスと組織と個を融合した攻守にアグレッシブな完成形の1つ。

木山マジック
 あらゆる選択肢と可能性にセオリーや絶対はない。挑戦から修正、そして正解に近づいて行く中で、サッカーの完成度、総合力を高めていく。チームとしての戦術の幅は広がり、対応できないサッカーにより近づく。徹底した個人戦術と、組織的に戦術を兼備。予測不可かつ大胆な起用や策は、実は最適格。正攻法もしっかり採用し、その本質を見抜く慧眼と決断する豪胆さを持った勝負師でありながらリアリスト。その一手で、勝利を手繰り寄せる。

岡山一体
 輪笠 祐士が「秋田一体」のDNAを岡山に持ち込んだ。その時と同時にチームは、コロナで主軸に陽性者が続出の危機的状況に陥った。ただ、「秋田一体」のようにチームの総力戦で、新加入の輪笠を含め、横浜FCにこそ敗れたが、結束して2勝1敗に乗り越えた。こうした経験がチームを一つにし、粘り強さと勝負強さを兼ね備えた結束力が、今の岡山にはある。

「岡山一体」のファジ造語の由来は、もちろんブラウブリッツ秋田の「秋田一体」

OKAYAMA STYLE
 「ハードワーク・堅守・デュエル」の3本柱をベースに4バックと3バックのメインシステムを軸にしつつ、攻守や状況に応じて変化する可変式を採用しつつも、システム自体も変更できる点が武器で、戦術の幅が広い。自由な発想をベースに個の力も躍動。自由と組織が一体となった新しいKIYAMA STYLEとも言える2022シーズンのファジアーノ岡山のサッカースタイル。

マリオネットシステム
 操り人形という意味ではなく、操り人形の構造をイメージしたファジ造語。選手と監督が意図(糸)で繋がっているが、選手と監督に主体性が存在して引っ張り合っても、切れない意図(糸)。それが、絶妙な組織力として強さに繋がっている。2022シーズンのJ2においては、試合の意図したように操る。つまり、岡山の土俵だ戦える術を岡山は、持っている。対戦チームには、異質(別の競技)のサッカースタイルに映るかもしれないが、これが、OKAYAMA STYLEに繋げるマリオネットシステムである。

代表作


2021ファジアーノ岡山にフォーカス46
J2:第42節:ファジアーノ岡山 vs ジェフユナイテッド千葉
「有難う有馬さん、有難う椎名さん、有難うファジ」
は、こちら(別記事)。
URL:https://note.com/suginote/n/n511a1b501907

筆者紹介

筆者紹介
 某ゲームから野球派からサッカー派へと移籍。当時チーム名が、ジェフユナイテッド市原であった現ジェフユナイテッド千葉に興味を持つ。オシム(監督)と阿部 勇樹(選手)を中心にJリーグと代表をチェックしてきた。2008年より地元クラブであるファジアーノ岡山のサポーターデビュー。そこから、多くのファジの試合を見てきた。忘れることのできないエピソードが年々増え、シーズンを重ねる毎に想いは強く深くなり、2021シーズンは、初めて号泣。心からサッカー好きで、戦術の奥深さや、プレーの凄さなど、サッカーの本質での攻防にフォーカスを当てて、客観性と冷静さを意識した文章を投稿している。そのレビューへと突き動かす原動力は、サッカーへの情熱。熱さと冷静さを兼ね備えたフォーカスを今後も目指して、投稿を目指していくことで、サッカーの魅力の発信と、サッカーを通じた交流による、感動の共有と縁の繋がりが、楽しみ。ただ、たまに調子に乗り過ぎて失敗する悪癖もあるので、治したいとは思っている。そんな私ですが、noteやSNS、スタジアム等で、交流できたら嬉しく思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。

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自分の感じた事を大事にしつつ、サッカーを中心に記事を投稿しています。今後とも、よろしくお願いいたします。