2022ファジアーノ岡山にフォーカス14「激闘後の再試合、岡山は前に進む」モンテディオ山形 vs ファジアーノ岡山

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 この試合に関しては、多くの方が納得する‘‘正解‘‘と言える判断は存在しなかったのではないか。それだけ難しい決断であった。しかし、再試合になった事で、両チームの選手の勝利を目指してのプレーは、公式記録にも残らない可能性もある。それだけは、岡山サポーター、そして、サッカーの一ファンとして、耐えがたいものがある。という事で、レビューというよりは、観戦記により比重をおき、前を向ける記事を書き上げたいという気持ちをここに綴って(つづって)いく。

 この試合では、なかなかここまで思う様な結果を残せていない山形が、浮上のきっかけにしたい山形のホームに4試合勝てていない岡山が乗り込み、両チームの流れを変えたい試合であった。山形は、4-4-2のパスを繋いでいくサッカーで、攻撃では、卓越した技術と発想力の10山田 康太と、フィジカルを武器にした11藤本 佳希の強力な2トップでの得点を目指して来る。中盤には、守備に定評のある15藤田 息吹。そして、DFラインには、岡山に育成型期限付き移籍で、新加入した24成瀬 峻平のライバルである3半田 陸。GKには、今回の再試合のきっかけとなった1後藤 雅明。リザーブには、同名の選手登録である20チアゴ・アウベスといったメンバーである。

 康太と聞くと、上田 康太を思い浮かべてしまう1人であり、11藤本 佳希が、岡山で初めてプレーした時に、活躍を期待していたが、結果を残せずに移籍していったことを残念に思っていた1人でもある。

 山形の選手についての途中だが、触れておかなければならないことがある。それは、岡山の24番が、下口 稚葉が赤嶺 真吾から受け継いだイメージがあっただけに、違う選手が24番を背負った事である。実は、赤嶺 真吾と下口 稚葉が、一緒に昼食を食べている姿を目撃したことがある自分からすると、24番を受け継いだのは、偶然とは思えず、そういった番号を違う選手が付ける事に違和感があり、残念な気持ちも抱いている。しかし、ここは、24成瀬 峻平が、今季限りで戻る約束。もしくは、残る場合は若い番号に移るという約束と、既に下口 稚葉に強化部からそういった意向が伝わり、了承を得て、24番を戻す流れになっている可能性もあるかもしれないと、良い方向に考えたい。この試合にも出ているが、その24番の成瀬 竣平のライバルである3半田 陸との対戦する機会があれば、どちらかが活躍するかという視点で見てみると面白いかもしれない。

 さて、岡山のメンバーは、39白井 陽斗が、今季が、初スタメン。後半に出てきた時に、なかなか持ち味を発揮できていなかった中で、スタメンで、どれだけ持ち味を発揮できるのか。そこが、注目ポイントの1つであった。結論から言えば、仕掛ける意識も高く、決断力もあり、チャンスメークや勝負するという部分で、WGとして可能性を感じた。他の選手が、いつものメンバーであっただけに、今後の活躍が楽しみである。情報を遮断しているが、Twitterのお勧めに出てきてしまったことで、目にしてしまったが、ファジスキーさんが仰る通り、最大の収穫というのには、間違いないだろう。何が良いかと言われれば、「感覚」というか判断のセンスがいい。ドリブルで突破してから、ドリブル・シュート・パス・クロスのいずれかの攻撃的アクションを起こすが、これを適切なタイミングと、適切な判断ができる選手であることが、個の試合では分かった。

 この結果、どういった効果ができるかは、岡山の目指す攻撃の形が増えた。マイナスのクロスにIHや浮き球のクロスに誰かを合わせて行く。そういった狙いが見て取れ、そういった回数も増えた。この判断の良さは、守備にも活きていた、しっかりチームとして、山形のポゼッションを制限することが出来ていた。解説者が何度も口にした``外切り‘‘が、形の再現性が高めていた。その結果、再試合の決断に繋がったバックパスが生まれてしまった訳ではあるが、相手DFラインに対して、偶発的や相手のミスであっても、それは、岡山のスタイルである4-3-3が生み出したミスやボール奪取であり、その延長線上で、この試合で、GKの退場になったシーンや、7チアゴ・アウベスの徳島戦でのゴールに繋がっている。

 このように、岡山は、岡山の3トップが、4バックであっても閉塞感のあるようなプレスの圧をかけることで、GK関係のアクシデントという事案が多くなっている。そして、これは自チームに言えて、岡山も中盤が薄くなることで、DFラインとGKからの選択肢が減り、似たようなトラブルが増えている。その影響を受けているのが、16河野 諒祐と41徳元 悠平である。通常であれば、SBは、パス成功率は、クロスでのパスミスが多いはずであるが、ビルドアップでのロストが目立っており、パス成功率は、厳しいことになっている印象がある。そこで、補強に動くことは自然であり、24番を希望あれば、受け入れざる得ないチーム状況であったことが窺い知れる。

 ただ、39白井 陽斗が、判断の良さが、16河野 諒祐の攻撃参加を加速させて、翼を得たかのように攻撃に関与できた。こうした攻守における連携プレーの形を創出ができた。この試合でも、山形のビルドアップを嵌めて、バックパスに対して、オウンゴールになりかけて、手で触って退場という誤審(ルール上は、間接FKのみで警告対象ではない)が生まれてしまうシーンのような形を再試合となってしまったが、チームの狙いの1つの成果として良い形を作ることができている。

 1人少なくなった山形であったが、やはりビルドアップに力を入れているチームであったので、影響は必要最低限に留まっていた。いや、そう見えていた。何故かというと、一番スピードが求められるゴール前でのスピードが落ちていた。解説の方が0トップといった通り、ゴール前に選手がいないことで、待つ必要があり、そこでスピードダウンするシーンが多かったため、山形のゴールは遠くなっていた。それでも試合終盤に向かって行く中で、岡山の方も1人少ないことで、勝ちたいという気持ちと、岡山の選手の疲労からスペースが空き、オープンな展開となっていた。

 もちろん、山形側も20チアゴ・アウベスのような存在感のある選手を投入することで、13金山 隼樹のファインセーブがなければ、1人少ない岡山が敗れる展開も考えられた。ただ、試合の方は、足が攣った26本山 遥の執念のクロスに22佐野 航大のヘッディングシュートこそ、ファインセーブに阻まれたが、その後に得たスローインのチャンスに、再び26本山 遥が、足を気にしながらロングスロー。攣りかけていて、ボールも飛距離が出なかったが、ニアで待っていた5柳 育崇が、後方へすらす。ロングスローの距離が出な方た事で、山形の選手もボールに寄っていたことで、その後ろのゴール前にスペースが出来た。そのゴール正面の一番空けてはいけない位置に19木村 太哉が待っていて、体を投げうて、執念のゴールを決めて、この試合終了時点では、劇的勝利を掴んだ。

 しかし、この試合では、山形の選手が退場する前でも、岡山に明らかな変化が見られていた。それは、ビルドアップの浮き球の活用である。今までの岡山は、パスコースが無くなれば、ロングパスを第一の選択肢となっていた。ところが、23ヨルディ・バイスの所で、浮き球のパスをSBである41徳元 悠平に通すというシーンを何度も見る事ができた。このプレーの強みは、SBの選手が、高い位置が取り易い点にあり、ビルドアップの選択肢や幅が広がる。これは、小さな変化ではなく、大きな変化で、成長ではなく、進化と言える点である。

 もう1点ある。それは、意思疎通がスムーズになっている点である。開幕戦では、ラインを上げるか、上げないかの判断で、噛み合わずお互いに主張するシーンが有った中で、そういったシーンが必要最低限となっている。この試合では、後から繋ぐのをやめて、長いボールを蹴るという判断をGKがすると、自然とラインが上がった。これは、公式戦だけではなく、練習でも自己主張が練習でもしっかり行われる中で、お互いにやりたい事や意思疎通が、巧く行っている証拠であると思う。その中で、自分のやりたいプレーや、蹴りたいとか、選手が勝つために自己主張や意思疎通を図って、ジェスチャーや言葉を交わすシーンがあり、チームになっていると強く感じた。

 チームとしての変化、成長、進化が見える中で、再試合が決まった時には、この試合以上の結果で勝利すると信じている。その時には、要注意と感じたのが、10山田 康太である。10番に相応しく柔らかいボールタッチと、切れ味鋭いドリブルで、岡山の選手がボールを奪えないというシーンが多かった。元岡山の11藤本 佳希や20チアゴ・アウベスも要注意選手である。11藤本 佳希は、相変わらずフィジカルが強く、20チアゴ・アウベスのシュート意識の高さは脅威であった。こういった山形のスペシャルな選手達を、11対11でも抑えて、今度の正真正銘の勝利を掴みたい。

 雑感としては、19木村 太哉の良さを改めて考えた時に、ここに辿り着いて欲しいというプレースタイルがある。それはやはり、純粋なFW化。19木村 太哉は、自分は考えてプレーすることが苦手と語っていたが、もうゴールだけ狙えばいいのではないかと思う。アシストを狙ってタイミングを図ったりしているけど、持ちすぎたりしてカットされるシーンが多い。実は、アシストの方が、ゴール以上に難しい事を考えると、もう対戦チームの選手に簡単に奪われないドリブルを前面に出し手、ゴールだけを目掛けて、猪突猛進しても良いのではないかと感じている。マーク引き付けて、もうシュート打てないなら、その時だけマイナスのパスや空いている所にパスを出せば、勝手にアシスト記録できる可能性もあり、岩手戦でも魅せたようなゴールに向かって行くプレー。これだけを狙って、本能でプレーしたら一皮向ける予感がする、相手チームもそれが怖いのでは?既に、信じられないぐらいボールキープ出来ていて、もし、そのドリブルのベクトルと意識がゴールに向かったら、ゴールとアシスト量産できるのではないか?そういった期待がここ数試合で高まっていて、19木村 太哉の覚醒の兆しが見え始めているのは、今後の楽しみで、この試合のゴールを完全に忘れる事ができなくても、気にならないくらい得点を量産して、今後は活躍して欲しい。

 そして、チームの守備も13金山 隼樹を中心にまとまりを感じる。GKとしての試合勘も戻って来ていて、DFとの連携も悪い様に見えないので、やはり、開幕からチームとして、同じ方向と意識を共有して、練習して試合に向けて準備していると強く感じた。何より、キャプテンとして、チームを統率できていると感じたので、1人多く、再試合となった試合ではあるが、無失点に抑えたのも偶然ではないと感じた。

 こういった様々な観点から見ても、着実に強くなっているチームが、再試合という過密日程になってくる中での、厳しいアウェーでもしっかり戦って、負けることとなっても、もう戦いたくないと思わせるような強さを発揮してくれると信じている。もちろん、岡山サポーター目線では、2点差以上で勝ちたいという気持ちも強く、一度は負けている山形が、チーム状態を立て直して、失うものないという感じで、11人でゴールに迫って、ゴールを死守しようと、凄まじい士気で向かってくことは考えられるが、過去に打ち勝ち、最高の試合にしてくると、両チームのイレブンには期待したい。

文章=杉野 雅昭
text=Masaaki Sugino

ファジ造語

チアゴタイム
 7チアゴ・アウベスのプレーの一つ一つにサッカーを楽しむという遊び心があり、そこに技術が伴った左足の凄さを称えて「悪魔の左足」と、呼ばれている。その左足を活かして、何処からでも何時でも狙っていて、7チアゴ・アウベスが出場している時間帯は、岡山の大きな得点源と言える。

本山丸(イメージは真田丸)
 大阪の陣で、大阪城に迫る徳川の軍勢に対して、真田丸は、大阪城の弱点を補う出城として築かれた。23ヨルディ・バイスと5柳 育崇の弱点は、釣り出されたときや、スピードであるが、26本山 遥かが主に、そういった守備対応をすることで、3選手の良さをお互い引き出すことで、守備が安定して、堅守を構築に繋がっている。

参考
2022ファジにデータでフォーカス2
「中盤の真田丸(本山丸)」
2022 J2第2節 岡山 1-1 徳島 レビュー

は、こちら(別サイト:SPORTERIA)。
URL:https://sporteria.jp/blog/sugi8823/6905499896963403777

ヤバス要塞
 語呂を意識して、5柳 育崇の「ヤ」と、23ヨルディ・バイスの「バとス」の二文字を抽出して、「ヤバス要塞」と、表現した。防衛において重要な地点の砦。砲台もある砦のことも指す。高い対人守備だけではなく、ロングパスの精度やセットプレーの得点力があり、まさしく要塞と言える。攻守で強みを発揮できる「ヤバス要塞」として、難攻不落を目指す。

梅田アウォール
 ファジの最後の壁。ファイアウォールに比喩した表現。戦術や個の力、連動性といった攻撃で、ゴールを狙ってくる様々な攻撃をシャットアウトする。そして、バックパスの受け手として、フィードや組み立てる一人として、パス交換(情報通信)。後方からの冷静なコーチング(情報の発信)。多くの情報を整理し、最的確な決断ができるGKである1梅田 透吾の良さを表現したファジ造語。

0バックシステム
 攻撃的で積極的なオーバーラップや得点力のあるCBである5柳 育崇や23ヨルディ・バイスのCBの2選手と、SBが本職である26本山 遥といった流動性のあるDFラインを形成することで、攻守において、自由に動くことで、攻守での手厚い状態を作り、数的不利になりがちな局面で、数的有利の攻撃シーンを演出し、守備でも積極的なアクションで、事前にピンチの芽を摘み、流動性から生じる集中力と緊張感から、カバー&フォローで、リズムを作り出す戦術システムのファジ造語。

筆者紹介
 某ゲームから野球派からサッカー派へと移籍。当時チーム名が、ジェフユナイテッド市原であった現ジェフユナイテッド千葉に興味を持つ。オシム(監督)と阿部 勇樹(選手)を中心にJリーグと代表をチェックしてきた。2008年より地元クラブであるファジアーノ岡山のサポーターデビュー。そこから、多くのファジの試合を見てきた。忘れることのできないエピソードが年々増え、シーズンを重ねる毎に想いは強く深くなり、2021シーズンは、初めて号泣。心からサッカー好きで、戦術の奥深さや、プレーの凄さなど、サッカーの本質での攻防にフォーカスを当てて、客観性と冷静さを意識した文章を投稿している。そのレビューへと突き動かす原動力は、サッカーへの情熱。熱さと冷静さを兼ね備えたフォーカスを今後も目指して、投稿を目指していくことで、サッカーの魅力の発信と、サッカーを通じた交流による、感動の共有と縁の繋がりが、楽しみ。ただ、たまに調子に乗り過ぎて失敗する悪癖もあるので、治したいとは思っている。そんな私ですが、noteやSNS、スタジアム等で、交流できたら嬉しく思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。

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