2022ファジアーノ岡山にフォーカス31 J2:35節:岡山vs山形(H)『唯一無二の風』
2022 J2 第35節(Home)
ファジアーノ岡山 vs モンテディオ山形
『 唯一無二の風』
今季の対戦では、再試合やコロナでの欠場でベストメンバーが組めなかった岡山。この試合でもまた、ベストの状態では、山形と戦うことが出来なかった。試合当日に、またもや主軸選手にコロナ陽性者が出てしまった。前回の対戦時の内容を考えても、山形相手に、5柳 育崇の欠場は、かなりの痛手だが、これがどう勝負に左右することとなるのか。
また、今季は色々な条件や状況が重なり、冷静な人でも熱くなるカードとなっている。それが、今季の対戦チームとしての山形である。有馬 賢二前監督が、ジャッジに対して、熱く抗議していたことが、印象に残っている。35節の山形戦では、いつも冷静沈着な木山 隆之監督が珍しく熱くなっていた。冷静さが際立つのは、この試合の山形のスローインのときに、ボールを直ぐに渡さず、溜めに溜めた上に、手前までしか届かないボールをクールに渡す木山 隆之監督の動じない姿のようなイメージが強いが、この試合では違った。
それだけ今日の試合は、山形の方が優位に進めたように見えた試合であり、苦しい試合であった。
1、判断基準
何を以て、優勢と判断するのか、応援するクラブのサポーターによって、実は違う。よくSNSを見ていると、自分では応援するクラブが、有利に戦えていたと感じるが、相手クラブのサポーターも同じように、応援するクラブが有利に感じていたということがよくあるはずである。
特に、この試合の前半は、まさにそういった前半であったのではないかと思う。その理由は、やはり、山形のサッカーができていたことにある。前線まで、素早くボールを運び、人数が揃う前に、ゴールを決めるというのが、山形のサッカーである。実際に、開始早々の決定機や、山形がシュートまで行く形もしっかりできていたので、第三者が見ても、山形の優勢と見るだろう。
ただ、岡山サポーターの中には、雉プレスに嵌まる山形の選手がいた場面もあった事と、前回の対戦よりは、完全に崩されるシーンを少なく、ある程度対応できていたことで、手応えも感じていたサポーターもいた筈である。実際に、7チアゴ・アウベスの惜しい決定機のシーンも作れた。
崩されかけたシーンでは、岡山の方が圧倒的に多く、山形に攻められていたが、GKしか防げないシーンと言える決定機は、両チーム一度ずつであった。
試合への入りも縦に速くではなく、ロングパスを蹴らせるようにも見えていたので、巧く対処できているように感じたが、山形に決定機があった辺りから直ぐに山形のしたいボール運びに、印象が変わった。
ここの差は、山形のパスの内容が、浮き球の競り合いではなく、裏のスペースやフリーの選手に通る回数が増えたからである。細かい差だが、これだけ競った試合であれば大きな意味を持つ。
一方で、前半終盤辺りから裏のスペースやフリーで走りながら受けるのではなく、止まって受けるシーンが山形の方に増えてきた。ここで、岡山の雉プレスに、山形のパスワークが、引っかかるシーンが、僅かだが見られるようになった。その辺りの時間帯で、7チアゴ・アウベスの決定機があったのは、偶然ではなく、そういった兆候が実はあったのである。
こういった細かい要素が複雑に絡む中で、奇跡的に導きだされた結果によって、勝敗は決して行くのである。
よって、岡山サポーター的には、山形のやりたいサッカーを展開されている中でもボクシングのボディブローのように、細やかな反撃に出ていたので、決定機の数的にも有利とまではいかなくても粘り強く、岡山らしく戦えているという印象だった。
山形の指揮官であるピーター・クラモフスキー監督は、以下のように語っている。
やはり自分達のサッカーの良さを出せて、自分達のやりたいサッカーができて、試合の主導権を握っていたという印象であったことが伝わって来る。
逆に前半や押し込まれている内容について、岡山の立場から35堀田 大暉は以下のように語っている。
守勢に回っていても、それで守れるのが岡山。決して岡山のサッカーができていない訳ではなかった。守り切れているからこそ、押されてもいても岡山らしく戦えていると言える。
だからこそ、人それぞれで、感じ方が全く違う事もあるが、少なくとも私は、山形やや優勢だが、岡山も戦えていたというのが、前半であった。山形が完全に主導権を握っていたように見えて、じつは接戦であったというのが私の見解。では、後半はどうであったのかについて、次項では展開していきたい。
2、勝負師の直感
後半は、両チームのやりたいサッカーの粗の部分が、時間帯を追うごとに出てくるようになった。
山形であれば、前線へのパスの正確性と受ける選手の動き出しのズレが、大きくなってきた。その結果、そのパスの先に4濱田 水樹や23ヨルディ・バイスが、直接クリアやボールを奪えるシーンも増えてきた。嫌なところを的確についてきた山形のサッカーの小さな変化だが、前半はあまり見られなかったシーンであった。
ただ、試合が動くこととなったセットプレーも、その守備対応のファールから生まれた。このシーンも4濱田 水樹が対応しにいけたが、その対応シーンの回数が多くなった中で、対応を誤り、ファールになってしまった。回数が多くなれば、守備も言わば読み合いや心理戦なので、回数が多くなれば、対応されることや裏をかけることもある。
考えるまでもなく、相手陣地でプレーする側の方が1対1では有利となるケースが多い。それは、ファールとなった場合に、攻撃側は、得点を決めることのできる可能性ある位置で、プレーが始まるからである。山形は、相手陣地でプレーする時間帯を増やして、混戦を生み出し、そのまま勝ち切ることにある。岩手戦では、徹底したサッカーで、同点に追いつくと、岩手の選手に退場者を出させて、そのまま逆転勝利した。それは、偶然ではなく、それが山形のサッカーのストロングポイントであり、山形のサッカーによって、生み出した4-1であったのだ。
そして、その山形のサッカーで得た山形のFK。キッカーは、25國分 伸太郎。岡山も背が高い選手を中心に壁を作る。足下を抜かれる可能性への対策もしっかりした。そして、ゴールライン上に移動できる位置に、41徳元 悠平が立った。キッカーの25國分 伸太郎は、GKの守備範囲を避けて、41徳元 悠平のサイドを狙って蹴られた。ここで、ライン上に戻った41徳元 悠平が、クリアできれば、岡山の守り勝ちであったが、僅かに山形が上回り、41徳元 悠平の頭上を越えて、岡山の守備の壁を破られてしまった。
ここで、観ている側としては、踏ん張っていた守備を破られたことで、そのまま敗れる事も覚悟したが、今の岡山は、違った。勢いが衰えるどころか、勝利への気持ちを再点灯させて、反撃にでる。しかし、そう簡単に同点から逆転へと流れにもっていくことはできない。7チアゴ・アウベスや15ミッチェル・デュークを下げて、雉プレスの強度の維持を図った前節とは違い、15ミッチェル・デュークと7チアゴ・アウベスに少し疲れが見える中でも個の力に賭けた木山 隆之監督。
木山 隆之監督は、この時のチームの様子を以下のように語っている。
やはり、負けるわけにはいかにという強い勝利への気持ちが湧いてきた、いやそういった気持ちにすぐになって、戦えたことが伝わって来る。
9ハン・イグォンと38永井 龍のコンビも試合を重ねる毎に良くなっているが、微妙にずれている感は拭えない現状であれば、この二人にシフトしても同点どころか、そのまま攻めきれず負ける可能性もあった。試合中盤に差し掛かっているが、ここで得点できなければ、岡山が苦しくなる。そういった状況であった。
この気持ちで得たFKでのキッカーは、16河野 諒祐。一度はクリアされるもその先には23ヨルディ・バイス。中へ頭で折り返す。再び山形の選手が折り返したボールをクリアするも、頭で折り返した球の力が弱い事で距離が出ずに、7チアゴ・アウベスの胸へと向かった。7チアゴ・アウベスは、胸トラップをすると、落ちる前に、迷わず左足を振り抜く。至近距離では、反則の強烈なシュートに、DFの間を通過すると、Gkは、一歩も動けず。僅か5分で追いついた岡山。
ただ、このタイミングのこの時間帯で、追いつていないと、この結果は手にすることができなかった。そこまで追い詰められていたのもまた事実である。ただ、この時間帯に追いつけたことで、1点を巡る攻防の駆け引きの土俵に持ち込むことができた。もし、追いつくことができなければ、得点を取りに来る岡山の背後を山形の高速カウンタ―で、仕留めて追加点という展開も考えられた。
そう、同点にできたことで、攻撃も意識させることができた。しかし、岡山もその山形の速い攻撃によって、フル出場の多い岡山の元気印14田中 雄大が、珍しく一番最初(未確認だが初めてかも?)に交代した。通常の雉プレスであれば、プレスバックして、中盤での混戦を作れるが、山形は、恐るべきスピードで、そのプレスのホットゾーンを離脱していく。そのため14田中 雄大は、その度に前からプレスに行った後に、戻って守備をする。しかも長い距離を短い間隔で何度も繰り返した。14田中 雄大だけ70分間シャトルランを繰り返していたのである。流石のスタミナを誇る14田中 雄大も持たなかった。
それは、山形としても同じことである。攻守の切り替えの速さが求められる中盤の2選手を交代して、攻撃のスピードを維持しようとするが、流石に前半と同じようにはできない。岡山の選手にも疲労が見え始めた所で、先手を打つ岡山。9ハン・イグォンをCFではなく、24成瀬 竣平と交代することで、左WBで、前に15ミッチェル・デュークを残した。7チアゴ・アウベスは、同点ゴールを決めて、走り切ったので、流石に38永井 龍と交代。
そして、この交代が直後に的中する。9ハン・イグォンが、フィジカルの強さとスピードを活かして、ロングスローとしての絶好の位置で、スローインの機会を得た。その41徳元 悠平の手から離れたロングスローは、FWとして残すと判断した15ミッチェル・デュークの元へピンポイントで向かって行く。圧倒的な高さと強烈なヘッディングシュートは、稲妻のようにゴールへと突き刺さった。
41徳元 悠平と15ミッチェル・デュークしかできないスペシャルなゴールだ。流れで崩せた訳ではなく、主導権も山形に握られていた。しかし、これは、岡山しかできない。正真正銘のファジアーノ岡山のゴールなのである。
試合後に15ミッチェル・デュークも以下のように語っている。
このコメントからも自分達の武器として認識していて、岡山の形であることが伝わって来る。
山形のピーター・クラモフスキー監督と、29ディサロ・燦シルヴァーノもセットプレーの失点について以下のように語っている。
山形の選手も岡山の武器として認識していて、警戒して対策もしていたことが伝わってくる。
チームの中で、攻守に奔走する選手もいれば、巧くバランスを図る選手もいる。27河井 陽介は、この試合、攻守の切り替えが、今季最も速く、全く息つく時間のない激しい試合であったが、27河井 陽介のボールが渡ると、チームが落ち着く。周りが台風でも、27河井 陽介の所は、台風の目のように穏やかなのである。岡山のサッカーのオアシス、癒しは、27河井 陽介である。表現の難しい魅力を持っている27河井 陽介。正確なボールコントロールや雰囲気は、小野 伸二と遠藤 保仁の中間のような選手と言えるかもしれない。
フル出場すると思われた27河井 陽介に代わり11宮崎 智彦を投入。更に、大きな勝ち越しゴールを決めた15ミッチェル・デュークに代わり、10宮崎 幾笑を投入した。ここで、9ハン・イグォンと38永井 龍の雰囲気のある2トップに変更。カウンターのシーンを作り、シュートも打てていたが、追加点は、この試合では奪えなかった。
コロナによって練習やリーグ戦で、連係を深め、チームとして完成度を高めることができなかった事がやや響いている。44仙波 大志を含めて、より爆発力を生み出される状態まで押し上げたい。プレーオフに回る可能性があることを考えると、この二人がチームのピースとして、きっちり嵌ることで、岡山は、もう一段回押し上げることができる。少しでも強くならなければ、プレーオフを勝ち上がり、決勝に勝つことでの昇格を、することはできない。もっと言うとプレーオフに回っても初戦で負ける可能性もある。1つでも多く、準備をして、備えていくことは、無駄になることはない。続けて行くしかないのである。
山形も最後の最後まで走り切り、岡山の背後やスペースを突こうと、何度も何度もゴール前にいて、トライしていたが、23ヨルディ・バイスと4濱田 水輝の二人のDFリーダーを中心に、来るしても一歩でも前に、少しでも高く、少しでも強く、少しでも冷静に、少しでも魂を込めて、気持ちで守った岡山。山形の猛攻に耐えきった岡山は、まさに辛勝と言える試合を物にすることで、4連勝することができた。
主導権を握られて、攻撃の形を何度も作られた岡山であったが、意外にもシュート数で、山形を上回り、大きな1勝を手にすることができた。苦しく厳しい試合であったが、一番欲しかった勝ち点3を手にすることができた。次節は、中三日で、負けない徳島。イメージ的には相性は良いが、J1に昇格した経験がある通り、ここ数シーズンは、大きく差をつけられて、近年の対戦では相性も逆転しつつある。引き分けの数がとても多く、今最も勝ち点3という結果を手にすることが難しい難敵と、中三日で戦うこととなる。今季最も近いアウェイではあるが、かなり厳しい試合となることは間違いない。少しでもリカバリーして、コロナに気をつけつつ、少しでも良い状態で、徳島戦に備えたい。
次項では、山形のサッカーに言及していく。
3、AIサッカー
終盤の山形の攻撃パターンに、山形のサッカーの真実が隠れている。それは、20チアゴ・アウベスの同じコースに同じ形でのノールックスルーパスの連打にある。対岡山だけかもしれないが、チームとして、あらゆる局面を想定して、綿密な戦術理解の共有。これが、山形のサッカーの正体である。これだけでは、分かり辛いと思いますので、具体例を上げつつ説明していきたい。
まず、パスの出し手は、予めパスを狙って行く場所を決めている。もちろん、状況に応じて違いはあるものの、チームとしてそこを徹底することで、通常では考えられないスピードのパスワークを可能としている。出し手として、状況把握の時間を極力短くすることで、ポゼッションサッカーでありながらカウンタ―のようなスピード感のあるサッカーと、この雉プレスの強度の高いプレスや、対人守備の強いDFラインを構築する前に、速攻で隙をついてきたのである。
更にパスの受け手は、こちらも動き出しの形も徹底している筈である。通常であれば、状況を把握して、選手の判断や方針で、クロスやパス、ドリブルを選択している。しかし、約束事を徹底することで、受け手もこの状況ならこのパスが出てくる。ここにポジションをとれば、隙を作れる。こういった対戦チームの綻びをどうすれば、生まれるのかという部分を的確かつ迅速に、受け手と出し手が共有することで、PA内に進入して、得点に繋げるのである。
イメージ的には通常であれば、「頭で考えてから体が動く」。しかし、山形のサッカーの場合は、「頭より体が速く反応する」。ヨーロッパのサッカーが美しいのは、恵まれたピッチコンディションや、プレーに適した気候ということも、もちろんあるが、戦術練習を本当に幼少の頃から徹底することで、頭で考えるまでに、頭で正確な判断を極めて速く導きだすことができるのである。
山形のCFの29ディサロ・燦シルヴァーノの意識していた事は以下のプレーであったと語っている。
このコメントだけでは、流石に山形のサッカーの全貌こそ見えてこないが、どうやればDFラインや守備の壁を崩せるのか。こういった部分へのチームの一員として、高い戦術理解度のあるチームであることが、29ディサロ・燦シルヴァーノのコメントから伝わって来る。
恐らく、山形の練習は、映像で視覚的にプレーする姿を確認し、そこからこのケースはどう動くべきであったとか、こう出せばもっと良くなるとかの形への意識への擦り合わせと、練習でも反復的に様々なシーンで、その形を体で覚えさせることで、体を頭脳にできるまで練習しているのではないだろうか。
また、そういった戦術理解を深めるミーティングと、反復練習をチームとして、取り組む事で、ポジション関係なく、誰が出てもその状況に応じた、動き出しやパス出しができる。終盤戦に強いのは、キャンプに始まり、シーズンを通して、そういった練習を繰り返してくれば、攻撃の引き出しのパターンは増えて、後半戦で対戦するほど、対策が非常に難しいチームとなって強くなってきたと考えると、非常に説得力がでてくる。
そのため、再試合で多くの主軸が出ることが出来ていなかった時も、無効となった試合の様に一人少ない状況でも、自分達のサッカーができる。3試合対戦したことで、岡山がそうした強さを最も感じたクラブであり、結果的に3勝したとも言えるが、苦しみに苦しんだ3試合であった。このサッカーに、ルキアン、ウタカ、チアゴ・サンタナのような決定力の高いストライカーがいれば、もはや手を付けることはできない。そういったサッカーであると感じた。
これは、あくまで、私の仮説であるのだが、20チアゴ・アウベスの酷似したノールックパスの連打と、J2でもナンバー1の速すぎる高速のパスワーク。そして、外国籍選手の監督であることから、この仮説が、浮かび上がった。間違っているかもしれないが、こうしてレビューとして公開することで、意見を募りたい。
ただ、このサッカーの秘密が分かったとしても対山形のために対策できることは限られ、一年かけて鍛えてきたスピードに、対応できる訳では無い。他クラブへの対策をそっちのけで、詰め込めば別だが、勝ち点3を多く獲得するには、山形のAIサッカー(AIのように速くて正確な判断を連続できるサッカー)や、岡山の雉プレスのように独自スタイルを確立した方が、着実に勝ち点を伸ばせる。
もし、この仮説が、正しければ、日本サッカーの育成のヒントになる。このスピードがスタンダードになれば、世界でも戦えるサッカーができるかもしれない。ここまで、戦ってきた中で、このスタイルで、ここまでオーガナイズ(組織化)されたサッカーは、山形だけである。
言い換えて繰り返すが、ポゼッションサッカーやパスサッカーでも、「頭より体が判断して動くサッカー」ができるチームは、J2では、山形だけである。ただ、選択肢を少なくして、パターン化するという意味で、秋田のスタイルは近いものがあるかもしれないが、秋田は強度を重視していて、山形とは一線を画す。山形のスピード感とパターンの豊富なサッカーへの対策は、極めて難しいことも間違いない。
岡山は、編成上重視した外国籍選手の個性と、セットプレーという武器で、勝利を手繰り寄せたが、失点してからの5分間で、追いつくことができていないれば、高確率で山形の必勝系に入っていた。逆転勝利こそできたが、体感的にはかなり厳しい試合となった。そういった意味で、大きな勝ち点3だった。
4度目の対戦は、ない事を祈りたい。それぐらい強かった。生きた心地がしないという言葉があるが、勝った心地がしない。負けたような感覚で、試合終了を迎えた。それほど、タフなゲームであった。
Twitterでも書いたが、「山形強し」という印象が、深く心に刻まれた試合となった。本当に、厳しい試合であった。それでも貴重な勝ち点3を得た。難しい試合が続くが、少しでも上を目指せる様に、1戦1戦できることをして行く中で、上を目指していきたい。
また、現状は、山形もプレーオフ圏外ではあるが、とても可能性を感じるサッカーができている。完成度やチームカラーとしては、突風のような勢いを感じた。最後の最後まで山形は、走り切りやり抜くであろう。岡山として、次も負けないように、今季の戦いをプレーオフで戦う可能性があるが、全ての2試合(3試合)を消化して、岡山は刺激と衝撃を受けた山形のカードであったが、同時に強くなれた試合でもあった。
強いチームとの一戦は、チームを強くする。ギリギリの試合や特殊な条件下の試合は、チームとしての大きな経験となる。両チームの結果と内容は、対称的であったが、この結果と内容を次の勝ち点3に繋げて行くことで、岡山も山形も前進していくしかない。厳しい試合は、まだまだ続く。最後までやりきりたい。
そして、レビュータイトル『 唯一無二の風 』の由来であるが、「雉プレス」ですら、山形のパスワークには触ることすら許さない最大瞬間風速を誇る山形の風のようなスピード感のあるサッカーへのリスペクトからこのタイトルとした。「雉プレス」と山形の「AIサッカー」にどちらかに軍配が上がったかと言えば、山形という試合であったかもしれない。ただ、スペシャルな外国籍選手の個の力とチームの一体感で、辛うじて勝利することできたが、山形のサッカーもまた唯一無二のスタイルで、これから更にどういった進化を遂げるのか、今季でもまだ対戦する可能性もあるとはいえ、今後どういった道を歩んで行くのは気になるチームの1つとなった。
4、写真コーナー
気持ちの赴くままに撮影した写真達。オンプレー中は、プレーを見る事に集中しているので、それ以外のシーンの写真がメインです。スタジアムの雰囲気などが少しでも伝わると幸いです。
位置によって、姿は全く違うものとなる。サッカーにおいてもポジションや選手によって、見えるものは違うことは、間違いない。
この様に時間帯でも全く違うものに感じる。サッカーの90分の時間帯でも同じ現象が起きている事は間違いない。
こうした1つ1つの演出で、その背景を考えると、少し涙が出そうになる。経験を重ねていく事で、分かる事も増えて行く。そして、その感情に感化され易くなる。10年と1年という月日の違いで、感じるものが違うが、勝利は嬉しく、敗戦は悔しいこと共通である。色々な部分で、同じことは多くある。そして、各サポーターが、サポーターの歴史を積み重ねて行く中で、ファジアーノ岡山の一員として、独自のスタイルを確立していく。そうした1人の1人のサポーターの力は、微力かもしれないが、スタジアムの雰囲気、岡山のうねりを作り出し、選手の力となる。全ての経験、全ての声が、選手を後押ししている。ファジアーノ岡山は、多くのスタッフやボランティアも含めた全てのファジアーノ岡山ファミリーとして、毎試合戦っている。こういった意識は、ブラウブリッツ秋田が、非常に高いイメージがある。岡山もそういったクラブに負けないよう、強く意識して、選手とと共に戦いたい。
シーズンも佳境に入って行く中でも、無理をしてスタジアムに足を運ぶサポーターも増えてきた。この1人1人の力は大きい。そして、現地観戦、リアルタイムで視聴もできない方の気持ちは、選手に届いている。だからこそできた4連勝。それぞれが出来ることを続けることで、夢は叶うと信じて最後まで応援していきたい。
チームの置かれている状況。心臓を高まりを抑えられない。勝負の試合が続くのである。
自信と気合いに満ち溢れている。
どこか結束力を感じて、心強く感じる。
今回はじめて、このコイントスのシーンを撮影した。23ヨルディ・バイスの動きを追っていくと、ここに辿り着いた。ここに向かうだけでも気合いが溢れていて、もう臨戦対戦であることが、かなり伝わって来た。
静かな闘志が溢れ出している。
さぁ、運命の90分間が始まる。
セットプレーの旗が、激増した。他クラブの旗に数や動きの迫力に刺激を受けたことは間違いない。クラブとサポーターが協力して、コロナのため制限されている声を出しての応援以外でも応援を形にする努力を続けた結果が出始めている。声出し応援が解禁されて、岡山サポーターが一体となった時に、どういった応援や雰囲気を作れるのか。スタジアム全体の拍手や思わず漏れ出す心の声に呼応する選手達。いつか専スタが出来て、声での応援や拍手が反響の効果が大きくなった時のスタジアムの雰囲気を想像すると身震いは止まらない。そのためには、一歩ずつ上を目指して、着実に進んでいくしかない。
ゴールを決めた選手は、22佐野 航大がカッコいいと思っていて、自分もその立場に立てて嬉しいと語っていたが、本当にカッコいい7チアゴ・アウベス。そして、23ヨルディ・バイスは、同点に追いついたことを戻りながらでも体で表現。逆転に向けて、気持ちを前面に出すことで、同点に追いついたという浮ついた気持ちを消化して、再度気持ちを入れ直しているのかもしれない。
ピッチが逆であったことで、喜びを伝える対象が遠かった。しかし、少しでも岡山サポーターの近くで喜びを共有した。そういった気持ちは、サポーターの気持ちを熱くする。
ピッチ内の遠くの選手達と共に喜び、選手を鼓舞する選手やコーチや監督。喜怒哀楽をファジアーノ岡山ファミリーで共有することで、結束力が高まり、チームは前進し、強くなっていく。
勝利のガッツポーズが見れて嬉しい。しかし、どこか次に向いている雰囲気を感じる。
岡山に、実質三度敗れた山形。しかし、その内容は限りなく勝利に近く、下を向く必要はない。岡山サポーターであるが、最大級の賛辞を送りたい。そして、もう今季は戦いたくない。それだけ素晴らしいサッカーで、岡山として苦しい2試合(3試合)であった。色々な感情も入り混じり負の部分が見えた事で、サッカー好きの1人として、そういった言葉を目にすることが辛い部分と、そういった感情に対して、そういった言葉で選手やサポーターに寄り添えない自分の心情との葛藤があった。結果的に岡山が勝利こそしたが、本当に辛かった。一度冷静になる意味で、今季は、もう戦いたくない。時がそういった関係を修復し、勝ち点3を目指すライバルチームの1人のサポーターとして、サッカーの勝敗以外の感情が、そこに入らない事で、純粋にサッカーを楽しめる事で、サッカーの部分で、勝って負けて、喜怒哀楽の感情を出せる対戦カードになる日がまた来て欲しい。
画質が悪いせいかもしれないが、手を繋いでいる様に見える。いや、それはどうでもいいことかもしれない。大切なことは、そう見える雰囲気、つまり結束力を感じる点である。きっと7チアゴ・アウベスは、出場機会の少なかった9ハン・イグォンを同じFWとして気を遣っていた。同じ助っ人外国籍選手としての孤独。J1で苦しんだ7チアゴ・アウベスだからこそ、9ハン・イグォンを誰よりも気遣っているのかもしれない。勝負の世界に生きる選手達にとって、厳しい世界ではあるが、こういった結束力は、チームを一つして、粘り強さや勝負強さに繋がっているのかもしれない。
出場機会の少なかった11宮崎 智彦も胸に当てている様にチームの選手の1人として、勝利のために最善を尽くし、どういった状況でも勝利を誇りに思っている事を感じ取れる。本当に頼りになるベテラン選手。
ただ、この寄せ付けない雰囲気もストライカーの武器になるかもしれない。しかし、いつか勝負所で得点を決めて、岡山の選手の歓喜の輪に入る事で、孤高のストライカーは、手を繋いで挨拶して歩くようになるかもしれない。
微妙なタイミングでの写真となってしまった。しかし、サポーターとの勝利を共有する姿と、サポーターに混じる知り合いや自分のユニフォームを着たサポーターを探す選手達。こうしたサポーターの姿を観る経験は、選ばれた選手しかできない。
ファジ丸もキャプテンシーをアピール。それにしても34輪笠の雰囲気や佇まいは、試合後も気持ちが切れていないというか、集中力が表情に滲み出ている。心身の強さがまるでオーラとして包まれているようだ。
旗やアクションで勝利にアクションができるゲート10は、メインサポーターとしては、寂しくも感じるが、SNSでイイネなどのリアクションが貰えるように、喜怒哀楽がストレートに帰って来るゲート10が、選手にとっても特別であることは間違いない。
しかし、メインにはメインの良さがあり、バックスタンドにはバックスタンドの良さがある。全てを求めても良い事はない。自分らしく岡山らしくで良いのである。
今は、映像をSNSで公開してくれるファジアーノの広報のスタッフの方々。岡山のサポーターが喜ぶ姿を観て、嬉しくないサポーターはいない。しかし、何事にも喜怒哀楽はある。そういった部分を、どう発信していくのかという部分は考えなければいけないが、プラスになる形で、そういった部分を共有することで、ファジアーノ岡山ファミリーとして、ファジアーノ岡山として、少しずつ足をつけて前進していって欲しい。
アウェイの徳島戦がその前に待っている。勝利で岡山に希望と共に勝ち点3を持ち帰って、この試合を迎えることを信じたい。
5、徳島戦に向けて
次節に向けて、選手や監督のコメントを紹介して、レビューを終えたい。ファジ造語に「木山マジック」と「岡山一体」を追加してますので、是非そちらもチェックして頂けたらと思います。
シンプルに応援したくなるストレートな言葉。
確かな岡山のサッカーへの自信と、1つでも上への順位を意識したコメント。まずは、目の前の一勝が大事だが、上を目指す気持ちがあって、初めて勝利に近づける。最後まで諦めない気持ちを強く感じた。
選手として応援が力になっている事をストレートにサポーターに発信してくれる守護神。試合ではシュートを受けて、防ぐ守護神35堀田 大暉。何度も絶体絶命のピンチを防いできた。サポーターの気持ちを心で受ける事で、大きなGKとして、ゴールを守ってくれている。そして、その心には、梅田 透吾の魂が、そこにある。残り7試合。もしかするとプレーオフの3試合。きっと、透吾と大暉が守ってくれる。サポーターとして、勝利への気持ちを選手に最後まで送り続けたい。
最後まで読んで下さり有難うございました。
文章・図・写真=杉野 雅昭
text・figure・Photo=Masaaki Sugino
2022ファジにデータでフォーカス12
『ポゼッションサッカーとは?』
2022 J2第35節 岡山 2-1 山形 レビュー
は、こちら(別サイト:SPORTERIA)。
URL:https://sporteria.jp/blog/sugi8823/6975093119100391425
試合後コメント引用元リンク紹介
アディショナルタイム(おまけ)
ファジ造語
参考
2022ファジにデータでフォーカス2
「中盤の真田丸(本山丸)」
2022 J2第2節 岡山 1-1 徳島 レビュー
は、こちら(別サイト:SPORTERIA)。
URL:https://sporteria.jp/blog/sugi8823/6905499896963403777
代表作
2021ファジアーノ岡山にフォーカス46
J2:第42節:ファジアーノ岡山 vs ジェフユナイテッド千葉
「有難う有馬さん、有難う椎名さん、有難うファジ」
は、こちら(別記事)。
URL:https://note.com/suginote/n/n511a1b501907
筆者紹介
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自分の感じた事を大事にしつつ、サッカーを中心に記事を投稿しています。今後とも、よろしくお願いいたします。