2023ファジアーノ岡山にフォーカス16『 抗えない運命と切り開く道~開運~ 』J2第6節(A)vsジェフユナイテッド千葉
岡山にとって抗えない運命とは、リーグ戦においてのフクアリで勝利できないことである。毎年、今シーズンこそは、鬼門突破と意気込んで、フクアリに乗り込むが、やはり勝てないという歴史を繰り返してきたが、今季もまた鬼門突破とはならなかった。
まるでそういった定めにあるかのようだ。内容が悪い事も多く、この試合では、勝機こそあった試合だが、それでも劣勢と言える内容であった。
しかし、運命を切り開く準備をして、木山ファジは、フクアリに乗り込んだ。その激闘を振り返っていきたい。
試合後コメント引用元紹介
ファジアーノ岡山公式HP
2023 J2 第6節 ジェフユナイテッド千葉戦 監督・選手コメント
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J2 第6節 岡山 vs 千葉(23/03/25)試合後コメント(選手)
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J2 第6節 岡山 vs 千葉(23/03/25)試合後コメント(監督)
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1、苦しかった前半~辛抱~
今季の序盤の岡山としては、相手の勢いが落ちてきた来た時間に、反攻にでるという”受け”の概念が、今季のサッカーのエッセンスとして、加わっている。22シーズンは、前から奪いに行くという自ら動かすという”攻め“のスタイルが、色濃かった。
しかし、ここ数試合は、自分達の時間というのが、少なくなってきている。それは、この試合にも当て嵌まった。特に前半は、厳しい内容となった。
岡山がボールを持つ時間は、前半は、ほぼなかった。22シーズンで鍛えられた運動量というのは、落ちる事がなかった。前半をどう戦うか。特に立ち上がりでも負けない戦い方が求められる。
見方をかえれば、立ち上がりは、守勢に回り、攻勢に回る時間帯が多く、この点が木山 隆之 監督にとっての不満であり、勢いに乗り切れない岡山の現状に繋がっているかもしれない。
繰り返しになるが、岡山が、勝ち点を伸ばせない理由として、前半0~15分の間に、対戦チームに主導権を渡す事で、「今日はやれる」という手応えを相手選手に持たせてしまっていることにあるのではないか。
ただ、横綱サッカーのように、敢えて受け止めて盛り返すことができれば、それこそ岡山の自信へと繋がり強さにも繋がる。この辺りを、木山 隆之 監督が、どう考えるかだが、現状維持を良しとはせず、革新的な木山 隆之 監督であれば、8ステファン・ムークののFW(1.5列目)起用のような木山マジックを打ち出すかもしれない。
2、流れを呼び戻す一手~光明~
ここ数試合は、どちらかと言えば、内容が悪い試合が続いている。U-20で抜けた選手がいて、怪我の選手も多いが、そういった状況でも、22シーズンの岡山は勝利を重ねていた時期もあった。多くの主軸選手が抜けていたので、チームとして大幅な戦力ダウンであったとはいえ、確かな前進があったとはいえ、”頂“を目指すチームとしては物足りない。
町田や甲府、東京V、大分と連勝を含むチームがある中で、岡山はやや乗り遅れた感はある。上位(6位以内)は、最低限維持するためにも、昇格組であるいわきFCに対して、ホームで勝ち点を譲る訳にはいかない。
失うものがないチームは強い。プレーオフの山形戦やシーズン終盤戦の残留や昇格を目指すという重圧から解き放たれたチームの前に粉砕した岡山。その苦い経験から受け止めるサッカーを志向してきた岡山。
一定の守備の安定感と得点力を点にするも爆発力や安定感はやはり、物足りない。
この千葉戦の前半は、千葉の選手や監督に理想的な戦いができたという趣旨のコメントが残っている通り。苦しいものであった。
そこで、木山 隆之 監督は、動いた。木山式の3-4-2-1だ。
直接的に形を変えたことに触れていないが、スタメン+リザーブメンバーで、修正して途中から入った選手が流れを呼び込む。この試合では、その交代策が後少しという内容まで盛り返すことができた。
千葉相手に、盛り返せたという事で、次節以降の戦い方のヒントにもなった。明確に形を変えたと言っても、岡山としては、選手によって絶妙に立ち位置や役割が違い、状況に応じては戻せる戦い方ができる。
ここを森保ジャパンのように選手間でも修正できるような戦術理解度にもっていけば、もう少し内容が良くなって、勝ち点をもっと稼げて、連勝に繋げる事もできる。
若い選手も多いので、色々なサッカーを経験させつつ、選手や監督が、チームの中で伸びて行く中で、強いチームになってくれると信じたい。
この部分に対して、鈴木 喜丈 選手は、心強いコメントを残してくれている。
サッカー自体は違うものの目指す成功例は、ワールドカップの森保ジャパンの自発性であると感じた。個を最大限活かすサッカーは、個でできる裁量も比較的自由であるので、”組織的に“と、評価される動きをチームとして、個でしっかりやれるか。そこを岡山式、木山式で、目指している。一つの理想系としてあることは間違いないだろう。
3、明確な形の構築~理想~
一方で、千葉は、90分で考えた時に、理想的なサッカーができたと言える。では、何故勝てなかったのか?
勝負は時の運と言えば、それまでだが、面白いのは、岡山は、チームの中で、個としてどうであったのかという視点で語っているが、千葉は”自分達=チーム“で語っている。
また、岡山に対しての質問に対して、岡山が〇〇ではなく、自分はチームの中で、こうすべきであったという事に主眼が置かれている。内容が良かったからそれで良いかもしれないが、岡山が形を変えた事に対しての言及もなかった。
チームとしての狙いをぼかす意図もあり、こういった場で全て語るのも良くなく、そういった部分を隠しているとも解釈できるが、どちらかと言えば、チームスタイルの違いである方が、大きい。
岡山は、チームとして個でどう戦うか。千葉は、チームでどう意思統一して戦うか。ここが、サッカーの根底にあるように感じた。
そのため、千葉は、チームとして良いか悪いか。岡山は、チームの中で個としてどれだけできたか。どうすべきであったか。その結果チームとしてどうであったのか。こういった考えの違いがある。
これは、どちらが良いか悪いかの話ではなく、岡山が千葉の意思統一されたサッカーの前に、個で対応できる範疇を越えるサッカーを、この試合では、千葉がやり遂げて、岡山として難しい試合となった。
木山 隆之 監督の指示や交代策によって、岡山が1点を返す事ができて、流れを引き戻したが、やはり、チーム単位で考えた時には、千葉のゲームであったと結論づけられる。
4、切り開いた道(未知)~開運~
切り開いた道の先には、未知の世界が待っている。その結果、幸運であったのか不運であったのか。開いた人だけが”うん”と納得する結果を得る事ができる。
千葉は、開幕戦で採用していた3-1-4-2(去年の岡山のスタイル)から決別し、4-2-3-1の形にトライした。
岡山は、試合の中で、様々な策を用いて、4-2-3-1への対抗策を講じた。
言い換えると、サッカーの主体が自分達にある「攻め」の千葉に対して、サッカーの主体が相手にある「受け」の岡山が、対策を講じて引き分けに持ち込んだ。
攻めか受けかではなく、岡山も攻めに転じるサッカーを展開することもでき、千葉も受けに回る事もある。
ただ、岡山としては、受けの時間が長くなっている中で、失点が増えて、得点で相手を上回れない試合も増えてきた。この原因が、どこにあるのか。岡山は、木山 隆之 監督を中心に、分析から入り、修正して行く中で、1週間準備して、ホームのいわき戦を迎えることとなる。
千葉も岡山戦で手応えを掴んだ中で、次戦も再現できるように、形の反復や修正により、練度を上げて、突然覚醒した(物事には当然理由はあるが、サッカーで言語化するのは簡単ではない。)金沢の地に乗り込んで、勝利を目指す。
両チームは、既に次戦に照準を合わせている。それが、勝負の世界だ。
千葉の公式のコメントからは、次戦への言及こそないが、この試合でできたサッカーをより、進化させて行く中で、次戦に繋げたいという気持ちを強く感じた。
一方で、岡山は鬼門で引き分けたことで、一定の成果があり、次戦までしっかり言及している。最後にそこを紹介して、今回のレビューを終えたい。
文章=杉野 雅昭
text=Masaaki Sugino
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