形容詞を使わずに伝える「夏」「仕事終わりに見る星」

「夏」
頬と鼻が痛い。
今日は30分も外出していない。
ピリピリする肌が気になり
帰宅したばかりの自分の姿を鏡で確認すると
じんわりと赤くなっていた。
「日焼け止め、塗ったのになぁ」
と、思わず呟く。

隠した言葉「暑い」


「仕事終わりに見る星」
外の空気を吸うのは何時間ぶりだろう。
今日も暑くなりそうな気配を纏う
朝の日差しに別れを告げ
私は毎朝地上50階にもなる巨大なビルに
吸い込まれてゆく。
そして夏の太陽が残した
不快な暑さを迎えるように
暗くなった世界に吐き出される。

都会の狭い空を見上げ
ふと星が見えることに気づく。
遠く遠く遠く
絵の具の筆からわずかに飛び散った
しぶきのような
その小さな点を見て
無意識に大きく息を吸い込んだ

隠した言葉「きれい」「美しい」

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