え、老化ってなんだっけ?
専門性 ★
・ポイント
老化とはどのようなものか。
生物の色んな老い方
事前知識 特になし
現代の人々は、老化を忌み嫌う。
老化は怖くて、誰も避けられなくて、どんなに生きながらえても、すべての生物に共通に訪れる現象であると。
しかし、私たちが老化と呼んでいるものは、我々の遺伝子がそうなるように仕組んだ筋書きに過ぎないのである。
意味がよくわからないと思われるので、簡単に説明しよう。
老化は生物によって、まちまちである。
いくつか例をあげる。
ヒトのように成長期を終え、時間がたつと、少しずつ、体が弱り、死に至りやすくなる種が身近である。
しかし、老化という方法で死なない種もいる。
タコは生殖活動後、食欲が消える。そして、餓死するまで、自分の卵を守り続ける。(しかし、環境が子供にとって悪いと判断すると、卵を食べて活動を再開する。)
鮭は生殖時に、自分の生体内にホルモンを分泌し、体を内部から破壊する。
カゲロウの成虫はまず口も消化器もない。栄養の補給なしにただ生殖活動だけに勤しみ、一日で死ぬ。
これらの種は、自分自身で死ぬので老化する間もなく死んでしまう。
更には、老化がない種もいる
無性生殖を繰り返す単細胞生物は老化するという高度な活動はせず、ただ環境が許す限り分裂をし、自己のクローンを増やし続ける。
大樹のように、大きくなり続け、数百年生きる生物もいる。
ハダカデバネズミという、シワシワの変なネズミは老いがない。ほっとくと何年も生き続ける。(仲間同士で殺しあうので長生きはなかなかできない。)
ベニクラゲは不老不死のクラゲと呼ばれ、自己の卵を産んだ後、自分も赤ちゃんに戻るような生き方をする。
かなり例をあげたが、死に方が多種多様であることは理解できたと思う。
そして、このようなことが言えてしまう。
死に方は生物自体が生物自身で自由に定めることができる。
ある生物が特定の死に方を選び、その死に方が自然界に有利に働くと、その種は存続していく。
そうなれば、老化というのは死に方の一つの方法であり、ヒトがそれを選んだともいえる。
では、我々の先祖が選んだ老化という方法は実際どんなものなんだろうか。
老化は自分自身の体がそうなろうとして、老化する。車のように乗りすぎて、ボロボロになり動かなくなるのとは似ているようで違う。
車の老朽化は、外部の影響でボロボロになるが、老化は、内部がそのようにプログラムされているからボロボロになる。
しかし、その老化の仕組みは緻密で時間をかけて浸食し、体が少しずつ機能低下できるように努め、様々な病気をおこしやすくさせる。そして、少しずつ少しずつ個体を死に至りやすくさせていく。
その内部から促される老化の仕組みは恐ろしくも美しいが、それは別の記事に書くとする。
その仕組みが完全に理解し、先手を打つことができれば、老化を回避することができるかもしれない。なぜなら、老化という手段を選んでない生物はたくさんいるし、老化をしないことは特別なことではないからである。
しかし、我々ヒトは老化をするという手段を選んで、自然淘汰を耐え忍んできた。つまり、老化は価値があるものである。いつかその方法を手放せるときがきたら、本当に手放すべきかを考えなければならない。
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