124*ごめん、いま猫でいそがしい(クロきび2019)洗濯ネット王子
この夏いちばんの楽しみにしていたフィギュアスケートのアイスショーを観る旅から帰ると、冷蔵庫が壊れてしまった。急に冷えなくなって、それでも、なにかのまちがいかもしれないと一日待ったが、開けると外気より冷蔵庫内のほうが、もあっとぬるい。それで諦めた。十なん年かは使っているし、大きくて入口をふさいでいるのが気になっていたから、次は小さい冷蔵庫を買おうと思っていたので、あまり吟味することもなくYダ電気で購入。いざとなったら、いきあたりばったりで、ざっくり決めてしまいがちな私である。晩年には家の中が空っぽなくらいが、はた迷惑にならないだろうと、ぼんやり考えているのは、ゴミ屋敷をきれいにする番組が大好きな影響もあるだろう。こんまりメソッドが世界的に流通して、近藤麻理恵さんがハリウッドスターみたいなアジアンビューティー感あふれる独特の雰囲気の人に変わっていたのをテレビで観て驚いた、それは関係ない。
冷蔵庫の中に入れていたものをすべて取り出し、恥ずかしくない程度に、ざっと掃除をして、玄関手前のクロきびエリアまで、押して移動させた。(処分するに当たって初めて気づいたのだが、冷蔵庫の下にはコロがついていた)クロちゃんは、さっそく冷蔵庫の上で寝そべっていた。素材的に、ひんやりして気持ちいいのだろう。
翌日、新しい、こじんまりした冷蔵庫が届き、大型冷蔵庫は無事に処分できた。その間、およそ二十分ほど。クロきびには、三畳のクロきび部屋にいてもらった。業者の人たちが帰ったあと、やれやれと思いながら、クロきび部屋をみると、クロちゃんは棚に寝そべっていたが、知らない人が苦手なので、カーテンの中に隠れていたらしい、きびちゃんの様子が変だ。さかんに口で息をしている。これは、熱中症かもと、キッチンペーパーを水で浸して水分を繰り返し取らせたり、カリカリを浸した水を飲ませたりして(これは、ごくごく飲んだ)、濡れタオルでくるみ、全身をふいたあと、病院につれていった。
病院で、きびちゃんは怒りの声をあげながら暴れまくって、逃げた。機器の下に隠れたのを看護師さんが洗濯ネットに入れてくれたのだが、それでも大暴れだ。私は見たこともない、きびちゃんの様子に唖然とするばかりで、ただただ役立たずであった。結局、診察は無理と言われ、洗濯ネットに入ったままのきびちゃんをキャリーに入れて、つれ帰った。あんなにも猫って暴れるんだと呆然としたまま。家につくと、きびちゃんは、けろっと、いつもの、きびちゃんに戻った。我が家では特別なとき用の乳酸菌入りウエットフード二袋をぺろりと食べて、眠たそうにした。
「なんのことか、わからない」すっとぼける↑きび
「おいらは、すべて知っている」↑クロ
「くねっちゃうぞ」↑手をくねらせる、きび