![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/116754758/rectangle_large_type_2_7873252a8c26e792678151b49d0a28bc.png?width=1200)
愛したのは“その人”か“その人との記憶”か。【みなと商事コインランドリー2最終話感想】
みなと商事コインランドリー2、早くも最終話を迎えてしまった。
まず断っておくが本記事は最終話について語るものであり、ネタバレしかない。
まだ観ていない方は、しっかりと目に焼き付けてきてから戻ってきてほしい。
それでは本題に参ろう。
希望、そして欲望を全て詰め込んだ一話
最終話を総評するならば「素晴らしかった」の一言に尽きる。
season1から最終話に至るまで、各所に散りばめられた伏線を綺麗に回収しつつ、誰もが求めた美しい形で幕を閉じた。
湊さんとシンには幸せでいてほしい。
ただただ愛し合う2人を観ていたかった。
こんな些細な願いが、まるで世界を救うかのような希望へと姿を変えたのは“シンの記憶”だ。
2人の幸せな思い出の消失という絶望は、約3話に渡って我々を苦しめた。
しかし、その絶望は2人の愛の深さを改めて知らしめるものだった。
潜在意識に刻まれる湊晃への想い。
これ程までに愛していたんだと気付かされる慎太郎への想い。
そして、クライマックス直前の湊さんが出した答えが、2人の愛の深さを物語っていた。
最終話冒頭:“シンが好き”なのか“湊晃を好きなシンが好きなのか”
シン:でもアンタは結局…記憶のない俺のことなんかどうでもいいんじゃないですか!
ここのシーンで特に印象的だったセリフだ。
心を抉られた。
記憶が無いはずなのに、何故か魅かれていく。
思い出したいのに、写真を見ても思い出の場所を巡っても思い出せない。
湊さん:あんなに俺のこと好きって言ってたクセに…なんで…なんで忘れんだよ!!
ただ思い出してほしい故の言葉だが、今のシンには深く刺さる。
記憶を失ったことでの不安、愛されていたからこその罪悪感が心を締め付ける。
あんなに切望していた“合鍵”を返すシーンは涙無しでは見られなかった。
シン:いっそ、前の俺のことなんか綺麗さっぱり忘れてくださいよ
湊さん:いやだ…お前との思い出を忘れるなんて…そんなのいやだ…
子供のように吐き出した言葉は、あまりにも稚拙だが湊晃の想いがすべて込められている。シンと過ごした日々が如何に幸せだったかが手に取るようにわかる。
しかし、シンには尚更“記憶が大切なんだ”と思わせることになってしまう。
最終話は、至る所に過去シーンのオマージュが盛り込まれており、この作品の持つエモさ、感慨深さを引き立てている。
ここのシーンでは、開いていないコインランドリーと風邪気味の湊さん、「友達なんだから」というセリフ、閉められそうになる玄関を足で止める描写…我々視聴者も既視感を覚えるが、湊さんは尚のことだろう。
シン:いいですよね?俺たち友達なんだから
記憶はなくとも同じ道を通っていくのだろうか?
もしかしたら、記憶のないまま…と不安になった方も多いのでは?
ちなみに私もその1人だ…
しんどかった…
中盤:“思い出との別れ”と“記憶との再開”
1人になったシェアハウス。
2人で(ほぼ独断で)決めたルールを剥がし、思い出達を箱にしまっていく。
シンとの写真、シンの願い事を書いた短冊、シンにプレゼントしてもらった時計…
シンとの大切で愛おしい思い出達に別れを告げていく。
きっと、シンが記憶を取り戻すその時まで。
…
自分の部屋に1人。
手に取ったデジカメに映るのは、誕生日であろう自分と湊さんの幸せそうな記録。
(お前との思い出を忘れるなんて…そんなのいやだ…)
湊さんの言葉が、表情が脳裏に焼き付く。
記憶を取り戻せない罪悪感か、忘れろという無慈悲に放った言葉への後悔か。
お詫びに用意したのは、たっぷりのアジフライ。
わざと作りすぎていたことなんて忘れてるんだろ?
そんなお詫びを携えてやってきたのは、コインランドリー。
しかし、湊さんの姿はそこにはない。
仕方なしにと置手紙を書き始める。
ペンを走らせた時、止まっていた時間が動き始める。
記憶の歯車が噛み合う音がする。
ー アイキュウオクウ -
記憶の引き出しを開けるカギはこの言葉だった。
シンの脳裏によぎったのは、我々の脳裏に深く刻まれている美しい記憶の断片だった。
クロスワードの空欄が埋まるように、失われた記憶が少しずつ戻り始める。
そんな時、ふと別の記憶が過ぎる。
コミックジーンの下には、記憶の通り手紙が隠してあった。
湊晃の意気地の無さに、これだけ救われたことは他にないだろう。
”シンへの文句をしたためた”手紙は、渡せないままで本人に届いてしまった。
自分に宛てた手紙を読み進めていく。
シン:ほんとに文句しか書いてねぇ…
シンへの文句はある種の“仕返し”だった。
皆も記憶にあるだろう。
シン:俺の好きなところ10個言ってください。勿論、好きなら言えますよね?(超絶早口)
湊さん:っとにめんどくせーこと…ってかお前こそ言えんのかよ?
シン:言えますよ(キッパリ)
笑顔が可愛い、泣き顔が可愛い、声がエロイ、瞳が綺麗、思いやりがある、面倒見が良い、隙が多いのにガードは固い、誰にでも愛想が良い、クルクル表情が変わる、躊躇なく人を助けられる、その癖自分は1人で頑張ろうとする。
…あ、すいません。勢い余って11個も言ってしまいましたね。(キレ気味)
手紙には、この時言えなかったシンの好きなところが10個では収まりきらずに記されている。
今でも直接言葉に乗せては言えないはずの言葉達、シンへの想い。
いつか渡そうと温めていた気持ちがシンの中に流れ込む。
湊さん:あのときは言えなくてごめんな。お前の好きなところ、いっぱいあるよ。
シンは涙を浮かべながらコインランドリーを飛び出す。
シン:湊さん!!
シェアハウスのドアを叩きながら名前を叫ぶ声色は、どこか違うように感じる。
しかし湊さんの姿はなく、最終的に行き着いたのは思い出の海岸。
偶然か必然か、はたまた運命か、待ち合わせをしたかのように海岸を通りかかる湊さん。
シン:湊さん!俺、湊さんに伝えたいことが…
湊さん:待った。悪いけど…俺から言わせてくれ…
このシーンは、湊晃と香月慎太郎の今後の運命を、そして我々視聴者の今後のメンタルを決めるものだ。モチベーションで言ったら受験の合否判定より高いかもしれない。
シンの記憶は戻ったのか?
万が一戻らなかった場合、2人はどんな選択をするのか?
固唾を呑んで見守る中、湊さんは辿り着いた答えをシンにぶつける。
湊さん:シン…また俺と…付き合ってください。
お前の記憶がなくたっていいよ。そんなのどうでもいい!
そう、湊さんが選んだのは“香月慎太郎という男”を愛するという道。
あくまで記憶ではなく、自分に対する重たすぎる好意でもなく、ただその人が好きだということ。
記憶が消えても尚、愛していた者を愛し続けるという決断は簡単に出来るものではない。
これまで積み重ねてきた思い出や記憶、愛情が大きくなるほど難しくなるはずだ。
記憶を取り戻すために必死だった。
時に期待し、その度に絶望し、どこか「諦める」という感情にも似たものを抱いたに違いない。
しかし、最終的な決断はそんなものではない。
シンへの想いと向き合ったからこそ、自分の気持ちに正直になったからこそ、ようやく導き出された答えだと思う。
自分の想いを告げ、一緒に新しく思い出を築いていきたいと、シンに改めて答えを問う。
シン:俺、湊さんも…コインランドリーの屋根にとまってるカラスも…この海も…全部愛おしいです。
こういうの、なんて言うか覚えてますか?
この瞬間の血が沸き立つ感覚を忘れない。
感情が昂ぶり、自然と涙が流れる。
没入感とはまさにこのことだろう。
湊さんの感情に溺れてしまう。
喜び、安堵、感動、この一瞬にどれだけの感情を抱いたのだろうか。
シン:もう二度と、死ぬまで…いや、死んだ後も忘れません。
夕日に照らされた美しい二人と涙。
本当に幸せでいてほしいと心から願っている。
中盤の伏線回収の凄まじさには脱帽した。
湊さんが渡せずにいた手紙がこんな形でストーリーに深く影響するとは思ってもみなかった。湊晃の意気地の無さ万歳!
そして、ここで視聴者の心を打ったのは「アイキュウオクウ」という言葉が鍵になった瞬間だろう。
シンの湊さんに対する、重たくてねっとりとした愛が際立つシーンだ。
あの時、クロスワードを解いていなかったら、湊さんが解けていなかったら、シンが書いていなかったら。点と点が結ばれていく感覚は身震いするほどだった。
この演出を考えた方には、思いつく限りの名誉ある賞を与えたい。ありがとうございました(?)
また、ここでも冒頭同様にオマージュされたシーンが視聴者の心に刺さる。
season1の最終回では、シンから湊さんへ宛てた手紙だったが、立場が逆転しているのである。
最終話で同様の演出を持ってくるのは流石としか言いようがない。
更には「文句をしたためた手紙」という走り出し、感極まって走り出す2人、行き着く先の思い出の海岸。
一つ一つの演出がシリーズを通して繋がっているのがファン心をつかんで離さない。
シンが記憶を取り戻すシーンは本当に美しい。
夕日に照らされる2人、海、そして涙。
感動と喜びを詰め込むだけ詰め込んだ最高のシーンだ。
湊さんが報われてよかった、シンが解放されてよかった。
そして、2人が幸せでいてくれて本当によかった。
エンディング:“待望の初夜”そして“本当の幸せの始まり”
シーンが切り替わると、遂にその時を迎えていた。
我々が切望していた“初夜”だ。
しかし、ここは直前のシーンから打って変わりコミカルに描かれる。
感極まってがっつくシン、そしてやはり恥ずかしさに耐えられない湊さん。
2人の可愛いで溢れている。
ようやく湊さんが腹を決めた時、シンのスマホに通知が入る。
明日香からの心配LINEだ。
幸せのあまり、まだ周囲に連絡をしていないのだろう。
通知の多さに耐えきれず、湊さんがLINEを返す。
シン:なんて打ったんですか?
湊さん:い、今取り込み中…
そのままの勢いでシンをベッドに押し倒す。
ここからは妄想で楽しむとしよう。
…
翌朝、朝日が差し込むベッドの上。
そう、朝チュンだ。
人類よ、これが朝チュンだ。
愛を確かめ合った2人は、朝からイチャイチャのラブラブだった。
腕枕、バックハグ、もうどうなってるんだ?(激怒)
怒涛の幸福感に思考が追いつかないまま、彼らの日常は進んでいく。
朝食から乾杯する奴らがいるだろうか?
そう、彼らは浮かれている。浮かれまくっている。
お揃いのコップに、お揃いのお茶碗、そしてお揃いのブレスレット。
もう、絵に書いたような幸せ絶頂カップルである。
極めつけは、ラストのお見送りシーンだ。
これは、心して掛からないと意識を持っていかれそうになる。
いつものように、シンは自分への愛を問う。
シン:湊さん、俺のこと好きですか?
湊さん:愛してるよ、シン
シン:……え?!
湊さん:なんて言うかよ、ばーーーか
大丈夫、気は確かだ。
まさか、あの湊晃が「愛してる」なんて言葉を発する時が来ると誰が予想しただろうか。そりゃシンも驚くはずだ。
色んなものから逃げてきて、自分の気持ちにも正直になれずに、恋愛に臆病だった人間がここまで自分を曝け出せるのは、きっと愛故だろう。
シンを想う、その気持ちがあるからだろう。
照れ隠しの「ばーか」も板についたものだ。
ほんっっっっっとに可愛い。
最終回、その最後は美しくも可愛らしいシーンで幕を閉じる。
湊さんからの不意打ちの口づけ。
そして…
湊さん:忘れ物
きっとこれは幸せの始まりに過ぎない。
これからどれだけ素敵な日々が待っていることだろうか。妄想の域を出ない。
ようやく手に入れた“当たり前の幸せ”。
どうか二度と手放してほしくはない。
忘れられない夏よ永遠に。
今回は“みなと商事コインランドリー2”の最終話である12話をピックアップした記事を書かせていただきました。(ただ感想を書き殴っただけですが)
私はドラマを熱心に観たことがなく、ここまでドハマりしたのは人生で初めてです。
こんなに笑って、ニヤけて、アホみたいに泣くなんて思ってもみませんでした。
それ程素敵で素晴らしい作品に出会えたことを嬉しく思います。
制作に関わった全ての方、そしてこの作品に巡り合わせてくれた妻には本当に感謝しております。
こんなに素晴らしい作品です。ここで終わってほしくない!というのはファンとしての思いです。
イベントの開催は決まっているようですが、強欲な私は「映画化」「season3」なんかも期待してしまいます。
シン:映画化するって言って。言ったら本当になるかもしれねぇから。
もうそんな気持ちです。
本当によろしくお願いします!(切実)
こんな拙い記事ですが、色んな人の目に留まってくれたらうれしい限りです。
この感動を共感できれば素敵なことだと思います。
円盤やグッズ、イベントなどなど。
まだまだみなしょーの夏は終わりません。
この感動よ永遠に。
みなしょーの夏よ、いつまでも。
それでは、今回はこの辺で。
ごひいきに!