『かたあしだちょうのエルフ』のススメ
大人になってから、子どもの頃に読んだ本を読み直すと、感情移入する対象が変わったり、ストーリーの後ろにある、作者の深い意図に気づけたりして、嬉しい発見と喜びがあります。
この記事では、児童書担当の書店員が、大人になってから楽しむ子どもの本の素敵さを共有したい!どうしても!という偏愛から、子どもの本の中から「推し」を紹介しています。
初回は、こちら。
『かたあしだちょうのエルフ』
動物の住む世界に、大きくて強い、だちょうのエルフがいました。エルフは子どもが大好き。子どもたちにも好かれて、みんなに頼りにされていました。
ところがある日、ジャッカルがみんなを襲いにやってきます。エルフは得意のライオンの鳴き真似でジャッカルを追い払うのですが、次に本物のライオンが襲ってきて……。
昨日から、今日で、世界はまるで変わってしまって、昨日までの世界は無くなってしまった。
そんな風に感じる日があります。
大きな波が全てをさらってしまうように、激しい風が木々を薙ぎ倒してしまうように、強い何かが、信じていたものを破壊することがある。
それは突然で、暴力的で、不可逆な破壊です。
破壊される様を、茫然としたまま、見ていることしかできない。そんな時、人は己の無力さを感じて、心が押し潰されそうになります。
エルフは人気者でみんなに頼りにされていたのに、ライオンと戦って、片脚を失ってしまいます。
強いだちょうだったのに、もっと強いものに力を奪われたのです。
あなたは、この話を読んで、どのように感じるでしょうか。
この物語の結末をどのように捉えますか?
昨日読むのと、今日読むのでは、まるで感じ方が違うかもしれません。
今日という日に、読んでほしい本です。
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