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これぞ元祖納豆?「湿豆豉」
25もの少数民族が暮らす雲南省。以前も紹介した撒撇(サーピエ)(牛の腸液煮込み)で、その食文化は多彩である。
なにせ犬やヘビ、ネズミにとどまらず、イナゴやアリ、竹虫という蛾の幼虫まで食べる。
太古の昔からの暮らしが息づくこの地で、実は納豆の起源となった「淡豉(たんち)」と思しきものが今でも食べられている。
中国版「納豆」ともいうべき貴州や雲南の伝統食「湿豆豉(水豆豉)」——中国で一般的に調味料として料理に使われる「豆豉(トウチ)」に対して文字通り湿気ているのでそう呼ばれる。
蒸した大豆を発酵させて作るのだが、そのネバネバとした見た目は糸引き納豆そのもので、しかし彼らは味をよくするためにここにさらに塩や唐辛子粉末、白酒を加える。こうすることによって消毒効果もあるようだ。
新大陸の食べ物である唐辛子が伝わったのは時代的にもっと後だろうから、かつては日本のようにそのまま食べたこともあったのだろうか。
以前読んだ周達生氏の「中国の食文化」によれば、徳宏タイ族チンポー族自治州には現在のような有塩発酵の豆豉「塩豉」が広まる前の「淡豉」、つまり糸引き納豆が受け継がれていると聞いていたが、実際に動画サイトで製造過程を見てみてこれは確かに似ていると思った。
やはり今年中に雲南を訪れるべきかもしれない。
●おまけ:チンポー族は家を出入りするときにおっぱいの形の装飾を撫でる
雲南の少数民族の一つチンポー族(景颇族)。お隣のミャンマーに暮らす親戚関係のカチン族はキリスト教化したのだが、いまだに祖霊・精霊信仰を続ける彼らにはある奇妙な風習がある。
その他の民族が木製の仮面(水族の「呑口」)や水牛の骨などを家の入り口に飾る中で、チンポー族だけがなぜか乳房の形の装飾品を階段に飾り、家を出入りするときにそれを撫でて大いなる母への崇拝や亡くなった祖母を偲ぶ気持ちを表すらしい。
世界には本当にいろんな民族がいるんだなぁ。