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あの時の冷たいプールが最後だから。
久しぶりに隣町に出かけた。
でっかい無印良品ができて、そこがセールだったので、行ってみた。
いや、近くにもあるのよ、無印良品。ただ、毎日在宅でなんだか、鬱々としていたから、ドライブがてらに隣の町まで、30分のドライブ。
その途中に、プールはある。
屋外町民プールだ。
私は30代後半に子供を授かった。
40代は子育てに明け暮れ、毎年夏は子供2人を連れて、あっちのプール、こっちのプールと、毎週のように連れて行っていた。
40過ぎのプールは体力的にも体型的にも、結構大変。
お盆の最中に行った日にゃ、なぜ、私はこの日に来たのかと自分を恨んだくらい。見下ろす流れるプールの、人、人、人。芋洗い状態とはこのことだ。こりゃ溺れても足にぶつかるから、溺れることはないだろうというくらいの人の中に、入らないといけない。
子供たちは、家から水着を着て、車から降りるや否や、水泳帽子にゴーグルをつけて、秒で入れる状態でスタンバイしているのだから。帰るというカードはないのだ。
そんなこんなも数年経ち。子供も小学校高学年になると、友達と行くようになり、一緒に行く回数も減ってきた。
夏休みも終わりに近い日。あまりにも暇だったので、子供2人と3人で、この、屋外の町民プールに遊びに来た。
もうすぐ9月か、という日。プールには人もまばら、水は冷たい。
波の出るプールで、3人で波に揺られながらぶるぶる震えていた。
もう帰ろうか。
あの日が最後だった。
あれからこの屋外町民プールに行くことは無くなった。
プールの後のセブンティーンアイス。
浮き輪を膨らませるために汗だくで、並んだ列。
お昼に食べた、プールサイドのお店の野菜のない茶色焼きそば。
知らない子に手を繋がれてお互いびっくりした流れるプール。
息子を見失い焦ったら半泣きで泳いで来たちょっと深めのプール。
あの時は早く大きくなってと思っていたけど、その時期は意外とあっという間に過ぎて、もう同じ時間を過ごすことはない。
ちょっとセンチメンタルになりながら、大きな口を開けたクジラの滑り台を思い出した。
子育ては期間限定。
中学生と高校生の我が子とも、まだまだ遊び尽くそう、嫌がられるまでは。