水鏡しだれ桜の花手水 風に零るるうたかたの夢
【はなのうた】
神社の手水が使えなかったコロナ禍、あれはいったい何だったのだろうか。
境内の入口にはアルコール消毒液が置かれシュッシュとお清め。使用禁止の手水に花を飾る”花手水”がSNSで話題になり、映えを競う神社界隈に若干ひきつつ華やかな手水舎ウェルカムフラワーには心癒されていた。
今年の春、小さな神社にお花見に訪れると手水が解禁となっていた。映え用の花は一切飾っていない。清々しく潔く硬派。しかも粋なことに、しだれ桜が手水に映っている。
こんなにもさりげなく情緒あふれる花手水を見たことがありますか! 私の好みのタイプ、女心を鷲掴みなのである。エモいってこーゆ―ことだからね。サビ抜きの寿司ばっか食べてるから分かんなくなるんだよキミ。詫び寂びとは不要不急であり、同時に不要不急ではない。しらんけど。
とにかく。
春風のさざ波で消えてしまう程の儚さ。数枚の花びらの香りは指の間から零れ落ち余韻となる。
コロナ禍、あれはいったい何だったのだろうか。
憂さを隠すように上っ面を飾る軽薄さが目に付くようになった。余白なんてない、びっしりと一面に敷き詰められた花首だらけの”キレイ”。まるで靴の左右を履き違えたような違和感に気づかないふりをしているうちに、大切にしてきた綺麗なものが指の間から零れ落ちた。私は目的や意義を見失った。
水に映る桜のようだな。私の価値観や感性みたいなものは。
だけど。
好き嫌いじゃなく良し悪しだとか、子宮でモノを考えるなとかコスパタイパだとか言われても、それはちょっとできない相談ね(中森明菜か)
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やりたくないことはやらなくて良し。
やらなければいけないことはやったほうが良し。
やらなくてもいいことはやらなくて良し。
やりたいことはやれば良し。
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心のノートにメモッとけ。