<世界中コロナで不安な時だからこそ、自分の大好きな事に少し時間を使ってみた。その時間で得た熱いギフトを誰かに伝えたい!>
ニューヨークも今もまだコロナパンデミックスの真っ最中です。
だけど私はこういう時だからこそ、自分が大好きな事に少しでもいいから時間を使いたい。。それを意識して限られた自分の時間の使い方を考えています。
コロナ感染者が出る前でも今でも、私の普段の生活は2歳児の息子の育児と家事、犬と猫の世話に追われています。
息子を夜寝かしつけてからの数時間だけが私一人で使える時間です。
私はつい最近、息子を寝かしつけた後、youtubeで大好きな岡本太郎さんの人生のドキュメンタリーをたまたま見ることになりました。
15年以上前に、太朗さんの『自分の中に毒を持て』という本に出会って以来、私は彼の大ファンです。
日本にいる実家の母にこの本を読んで興奮気味にこの本の素晴らしさをを伝えた時、
『あんた、それ以上毒もってどうすんの?!』という言葉が返ってきたのを今でも覚えています。笑
国際結婚が決まって渡米する時は迷わずこの本をトランクに入れてニューヨークに持ってきたほどです。
私にとって(この本は必ず私の人生の助けになる。)と思わせる一冊だったからです。
ここ数日、私は本当にライターとして子供をここニューヨークで育てていけるのかとても不安になっていました。
そのタイミングで太朗さんのドキュメンタリーをたまたま見る事が出来ました。
私は太朗さんの本を長い間読んでいなかった。
特に妊娠してから読んだ記憶がなかった。
親になり、人生を慎重に選び始めている私に太朗さんは再び大きなメッセージをくれたように思えます。
彼が色んな著書やインタビューでも一環として語っているのが
『命を燃やせ!命は逆光に立たされれば立たされるほど燃え上がる。だから私は世間が進む逆を行く。』
といった内容の言葉。
その言葉の重みは今も昔も変わりません。
ところが、今母になった私に響くのは太朗さんと女流作家の母親、かのさんとの強烈な関係です。
かのさんは太朗さんを産んで母親になった後も、いわゆる日本の世間一般常識的な生き方は一切できない女性でした。
世間は彼女を最低の母親として批判しました。
それが原因で彼女は苦しみ、心を病んでいくのです。
彼女自身が持つ激情の苦しみの中ですら、かのさんはひたすら書き続けます。
そんな母親の苦しさをまっすぐに見つめ受け止めながら太朗さんは育ちました。
太朗さんがフランスに留学していた時、かのさんは一平さん(太朗さんの父)と会いに行きますが、別れ際には彼女は子供のように泣いたと言います。
そして、手紙で太朗さんに『会いたい。会いたい。』と伝えていました。
ところが彼女は太朗さんが留学中に亡くなってしまうのです。
太朗さんの著書の中にもかのさんは何度も登場します。
太朗さんは、かのさん、一平さん、太朗さんを描いた『森の家族』という絵も残しています。
太朗さんは自分の両親のことを
『私はあんなに命いっぱい純粋に生きた人たちを他に知らない。』
とまで言っているのです。
一人の人間にとって母親という存在はここまで絶大な影響を与えるのかとまざまざと見せつけられた気がしました。
その母親が一般的に正しい母親ではなかったとしてもです。
私の一方的な思いですが、かのさんは太朗さんに溢れんばかりの愛情を注いだ母親です。
財産、物、名誉ではなくて壮大な愛情を太朗さんに残したのです。
そしてその愛情を全て受け入れた太朗さんは世間のルールーに背を向けNOと叫び続けつように、自分を表現し、ぶつける事に命を燃やしました。
そんな彼が作り出す芸術作品は世界でも絶賛される作品です。
かのさんのように子供を育てられる親は世界中にどれだけいるでしょうか?
愛情の証に物やお金を与える親はたくさんいます。
(子供に充分なお金や物を与えれないからすまないと感じてしまう。)
(自分の子供にはお金をたくさん稼げるようになってほしいい。それがこの子の幸せにつながる。)
と心から信じる親もたくさんいます。
私は他人の親をジャッジする気は一切ありません。それは自分が親になってはっきりと決めたことです。
一人の子供にとって、どういった親が良いか悪いかなど、私には答えを見つけることはできません。
ただ、今夜私はとても熱いギフトをこの親子から頂いたような気がするのです。
心の中にメラメラとした熱いものを灯してもらったのです。
『捨てれば捨てるほど命は分厚く膨らんでくる。』という太朗さんの言葉。
この言葉はここニューヨークで今、お金や物や仕事を失っている私たちのココロに大きく響きわたります。
上手にキレイに生きる理想の母親の姿より、不器用でも精一杯これからの時代を生きる母親の姿が子育てには必要ということかもしれません。
忘れないように心に刻んでおきます。