見出し画像

「考えてやります」「ボーイフレンド(官僚)」etc.…

 こんにちは、須恵村すえむらです。
 本日は、いわゆる「作業あるある」ではあるものの、ほかの方からは共感を得られにくいであろう内容となっておりますが、「ほー、こういうアホもこの世にはいるのね」程度に捉え、お気軽にお付き合いいただければ幸いです。


かな入力使用者

 30年以上前、就職先でワードプロセッサを初めて習い覚えたときの方式が「かな入力」だったので、それ以降もずっと「かな入力」を通しています。
 これを受け、日常的に打鍵している私はもちろん、あまりキーボード作業をしない旦那も「かな入力」派です。

 部署で先輩に個人指導を受けたときも、同期が集められて行われた講習でも「かな」でしたから、当時はそれが主流だったかどうかはともかくとして、かなり一般的だったのだと思います。

 逆に、あの状況を知っているため、現在なぜローマ字が主流なのかが理解できずにいます。キーの右下に平仮名が書かれている理由が分からないというヤングもいると聞きます。
 かなの方がタッチ数も少なくて楽なのにな……という考えも、ローマ字に慣れている方にはいまいちピンと来ないものなのかもしれませんね。

以前、ワイヤレスキーボードをタブレットとひもづけて使っていたとき、どう頑張っても濁点・半濁点の処理がうまくいかず、手間が二重・三重になっていたので、さすがにローマ字入力も練習し始めたのですが、いまだ「辛うじて打てる」レベルで、とても仕事には使える腕前ではありません。

ちょいと苦い思い出

 ワープロの集団研修は2回に分けて行われたのですが、私がたまたま使ったマシンを前日に使っていた人は、個人的に既にローマ字入力ができる状態で研修を受けていて、研修が終わった後も、モードをローマ字設定にしたまま帰ってしまったもようです。
 何なら、たまたま付き合いのある同期だったため、練習用に一時保存した内容から「あいつか!」と分かったというおまけつき。

 全く不慣れな私は、言われたとおりに入力しても正しい文字が出てこなかったため、困り果てて講師に声をかけました。
 すると、最初ローマ字モードになっていることに全く気付かず、10分くらいああでもないこうでもない状態に。

 当時は「仮にも講師なのだから、すぐに気づいてもよさそうなものなのに」と思いましたが、きっとワープロ黎明期ともいえる当時だったからこそ、「そんなもん」だったのでしょう。
 講師の指導を無視して「ローマ字のが慣れてるし」と勝手にモードをいじり、しょーもない雑文を残し、モードも直さずに去っていった同期ヤローは、今でいう陽キャパリピ属性だったこともあり、必要のない研修を受けて仕事サボろうって魂胆だったのかなと邪推していたら、休憩時間に仲間内ででかい声で話しているのを聞いて、「あ、邪推じゃなかったんだな」と知ったというおまけつき。

 自分よりずっと年配の速記士で、「息子の英文タイプで練習しているから、ローマ字入力が定着した」とおっしゃっていた方がいたので、ローマ字入力自体や、それが主流になった状況を責める気はありませんが、ごくごくごくたまーに、「かな入力wwいまどきwwww」とせせら笑う中途半端な方(**下記注)と出くわしたとき、あのパリピ君の「研修とか要らんけど、仕事しなくて済んでラッキー」という下品な笑い声を思い出します。

**
前述のように、今のヤングはほぼローマ字入力(PC操作ができない方が多い云々はまた別の話として)なので、そもそも「かな入力」の概念がありません。なのに「いまどき」という言葉で腐すあたり、いうほどヤングでもないだろあんた的なニュアンスで「中途半端」だなと思います。

AIの実力は未知数

 今さらですが、AIの音声認識で文字化する技術も上がってきているため、なぜこの時代に手入力をしているのか、まずそこが疑問という方もいると思いますが、それは多分、「まだ人間の方がAIに合わせた話し方をしないと、精度の悪いものになってしまう」からではないでしょうか。

 時々、音声認識で生成した文章を「整える」仕事が回ってくることがありますが、「ああ、ここまで話し方崩れちゃうと、さすがにAIには無理か」などとマウントを取りつつ、修正したり、整文したりします。
 あ、「マウントを取る」のは別に作業に含まれていませんが、趣味兼憂さ晴らしでやっています。

 AbemaやYou Tubeの生成AIの字幕を見ていると、「人間の話し言葉がきちんと整ってさえいれば」漢字変換ミスはあまりないのですが、人名などの固有名詞を強引に漢字変換したり、ごく普通の漢語に置き換えていたりという迷いのない作業ぶりには、変な話感心さえしてしまいます。
 また、ちょっとした文字や言葉の聞き漏らしが割と多く、結果的に意味不明な文章になっていることもありますし、何よりも「話者の区別」をつけずにだだーっと……という原稿は、見ているだけでげんなりします。

 どれだけ言葉数を大量にインプットされていたとしても、「人間の耳」と「微妙で独特な判断」は、まだ生きた人間が「補完」するしかないようで、だからこそ我々文字起こシストにお座敷がかかるという現実があります。

ナマケモノの単語登録

 結構マジメに語ってしまいましたが、それはそれとして。
 私が根本的に勤勉とは言い難い人間なので、常時5,000程度の言葉やフレーズをIMEユーザー辞書ツールに単語登録することで、さらにスピードアップを図っています。
 逆に言うと、タッチ数を減らすためなら、どんな苦労もいとわないという覚悟を持っております(キリッ

 しかしこれ、時々とんでもない間違いをやらかすことがあります。

 かなだと「お」と「や」のキーは隣同士です。
 それぞれ「お+変換→おります」「や+変換→やります」と登録してあります。
 「おて+→おりまして」というバリエーションも含め、頻出の言い回しなので、これ自体は便利なのですが、「考えて(かんて+変換)おります(お+変換)」と入力したつもりが、“お”と“や”のミスタッチで「考えてやります」になっていることがあります。
 すぐ気付き、いかんいかんと修正するのまでがセットですが、クライアントに大急ぎでメッセージを送る際、「考えてります」をやらかす可能性はゼロではありません。こんな偉そうな作業者に未来はないでしょう。

 また、自治体や事業会社の計画案のタイトルの語尾に(案)(仮)などがつく場合。
 私は「あん」と入力して変換すると、「案(その他、“アン”と読む漢字)/お答え(answerからの連想)」などが出てくるように登録してあります。

 この程度なので、「あん」は特に問題ありませんが、「かり」の場合、「仮/借り/官僚/下流/改良/火力/管理」など、バラエティーに富んだ登録がされています。

 かつて配信されていたスマホゲームアプリで「ボーイフレンド(仮)」というものがありました。豪華声優陣にによるイケメンキャラ満載の、俗にいう乙女ゲームですが、「かり」を仮に・・私が変換ミスしてしまうと、次のようになります。

●ボーイフレンド(官僚)仮どころか結婚ガチ勢
●ボーイフレンド(下流)ディスってんの?
●ボーイフレンド(借り)レンタル彼氏か、NTR案件か
●ボーイフレンド(改良)こわっ
●ボーイフレンド(管理)こわっ その2
●ボーイフレンド(火力)単純に意味不明



 もちろんただの冗談というか、遊びみたいなものです。
 普段の案件で「ボーイフレンド(仮)」なんてコンテンツ名が登場することはほぼありません。
 出てくるにしても、1、2度なら慎重に入力するし、頻出なら「ボーイフレンド(仮)」を丸ごと登録してしかるべきだし、多分辞書ツールではなく、Wordの文書パーツオーガナイザーの方を使うでしょう。
 このあたりは後ほど気が向いたら詳記します。
(ちなみにATOKはどうも相性が悪いため、使っておりません)

 いずれにしても、この手の事例はほかにもあります。
 また思い出すか思いつくかしたら、トピックとして取り上げたいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?