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(←なぜか変換できない)

  こんにちは、須恵村です。
 趣味で小説を書きながら、音声書き起こし(反訳)の内職をしています。
 こちら「note」では、言葉や仕事術についての雑文を公開しています。


 ネット歴がそこそこ長い人なら、一度は目にしたことがあるかもしれない、こんな書き込み。

ふいんき (←なぜか変換できない)

 この初出は約20年前、2003年11月だと言われています。

 ほかにも「そのとり」「くつ」「ぜいいん」「はな」など、バリエーション豊富に(なぜか・・・変換できない)が付される表記があります。
 入力主も分かっていてわざとやっているので、「なぜかも何も、読み方間違ってんじゃん」というツッコミは野暮なのでしょう。

 一応お節介解説をしますと、以下のとおりです。
「×ふいんき 〇ふんいき→雰囲気」
「×そのとうり 〇そのとおり→その通り」
「×すくつ 〇そうくつ → 巣窟」
「×ぜいいん 〇ぜんいん → 全員」
「×はなじ 〇はなぢ → 鼻血」

 麻生太郎さんが首相だった頃、「未曾有みぞう」を「みぞ(う)ゆう」、踏襲とうしゅうを「ふしゅう」などと誤読したことが話題になりましたが、麻生さんのキャラも相まって、個人的には「惜しい、あと一歩」感があり、憎めない気がしました。
 正しく読めるに越したことはないし、どうしたってツッコミポイントにはなりますわね。
 だから、しゃかりきになって麻生氏をかばう気もないけれど、そこだけ・・執拗に突っ込む(主に野党やそのシンパの)人たちを、「そういうのもういいよ」と思って見ていました。


 それはそれとして、妙な音便を勝手に適用させたような「言い誤り・入力ミス」を見ると、どうしてもモヤモヤがおさまりません。
(最近は自分でも大分丸くなったと自負していますが、昔は「さびしい」を「さみしい」、「すみません」を「すいません」というのもひっかかる方でした。)

 「ふいんき」もそれにカウントしていいと思いますが、例えば体育を「たいく」、全員を「ぜいいん」、店員を「ていいん」と発音するような例です。
 口語でとどまれば、「意味は分かるし」で済む話ですし、手書きなら、正しい漢字表記さえできていれば問題はありません。ただ、これをワープロ入力する、ネットで検索するという場合に不都合が生じます。

 「いやいや、今どき手入力とかしないでしょ」って方のために、Googleの音声認識でいろいろと試してみたところ、次のような結果になりました。

【ふいんき】
もしかして:「雰囲気」
音声ガイダンス「ふいんきとは 《《ふんいき》》の誤り」

【たいく】
注釈なしで“体育”と変換
※いやいや待て待て、本当に「体躯たいく」という言葉を想定していたらどうする気なの?

【ぜいいん】
注釈なしで“全員”と変換
※「税印ぜいいん」等の可能性無視かーい。

【ていいん】
入力直後は「店員」と認識したらしい形跡
検索窓には「10 in(そして10インチの意味で認識された検索結果の数々…)」
※Google先生の世界には「定員」という言葉はないのか心配になる。ちなみに「てんいん」とかなり意識的に強調して言っても、なぜか「10 in」と表示されます。

 ひょっとして、音声入力を利用する人の語彙力を、安く見積もり過ぎなのでは?と心配になる結果ばかりです。

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