あなたにとって豊かさとは何ですか?
表題は、POOLOの最終アンケートで出てきた質問である。
POOLOではこのテーマをひたすらに学び、考え続けてきたけれど、しっくり来る正解ってなかなか難しい。お気に入りのカフェで、美味しいコーヒーを飲む瞬間は私にとって大変豊かなのだけれど、じゃあそれはなぜ豊かだと感じるんだろう??
あなたにとって豊かさとはなんですか?という質問は、つまり、あなたが人生で求めることはなんですか?ということだと捉えている。
私は少なくとも、人生を「豊かなもの」にしたいと思っている。豊かさ、という言葉でなんとなく言語化することは簡単だ。けれどそれが具体的になんなのかは、本当に人によるし、もっと言うと人によって定義を持たなければならないんだろうと思う。
経済的な豊かさ?
豊かさと聞くと、経済学を学んでいたわたしは経済的な豊かさを思い浮かべる。資本主義のこの世界では、お金がたくさんある状態は、やっぱり直接的に「豊か」そうである。
私はどうしても途上国の状況と比較してしまうけれど、お金があれば、1日1ドル以下で生活している人と比べてお腹いっぱい好きなご飯を食べられる。他にも、お金があれば時間も買えるし、物質的に豊かな日本なら大概のものは手に入るだろう。お金があれば選択肢が増えるという言い方もできる。
けれど、年収3000万あったらそれは幸せなんだろうか? そうでもないような気がする。
全く努力しないで年収は上がっていかないのでまず苦労があるだろう。そして年収は上がれば上がるほど生活水準が上がって、お金を浪費してしまうので貯まらないというのも良く聞く話だ。
他にも色々語ることはできそうだけれど、私は結論として、お金があるだけでは豊かとは言えないと考えている。
時間軸で考える「豊かさ」
お金があるだけでは本当に「豊か」ではなさそうだ。というか、自分の幸せをお金だけに委ねたくない。そんなのなんだか悲しいじゃないか。
ふと浮かんだのは、「明日死んでもいいと毎日思える状態」ということ。明日死んでもいいくらい幸せ!が毎日続けば、それは豊かな暮らしのように思える。
うーん。でもこれもしっくり来ない。
明日死んでもいいくらい幸せ!は毎日は続かないんじゃないだろうか。人間なのでその状態には慣れてしまう。慣れというのは怖いもので、幸せも普通の状態になってしまえばそれは感動が薄れそうである。
第一、わたしは今、それなりに豊かに幸せな状態だと思うが、明日死んでもいいとは思わない。ここで、わたしは少なくとも数年間の未来が楽しみなので、豊かであると感じているんだと気づいた。
ジンバブエでの2年間が楽しみである。どんな人と出会い、どんな仕事をするのだろう。どんな不便な生活が待っているんだろう。
ジンバブエから帰ってくるわたしはどんな選択をするんだろう。結婚したい相手が見つかっているかしら。どんなキャリアを選ぶかな。
ここに一つヒントがあると思った。楽しみな未来が待ち構えているとき、それは豊かな状態そうだ。それなら、ずっと楽しみな未来を選び取れるようにする人生こそ、豊かなのではないだろうか。私は【今→未来】という、時間軸で語る豊かさの方が、お金よりはしっくりくる。
未来を豊かにするために
そのためには、今を二つの視点で努力することが必要なのかもしれない。
・今を全力で楽しみ続けること。
・右に行っても左に行っても楽しみな状況を続けられるように準備すること。
ある程度のお金や時間は必要そうだ。そして一緒に生きていくパートナーや友人がいれば、楽しみな未来の選択肢を増やしてくれるのではないだろうか。
豊かさとは、選びたい未来が存在していて、自分で未来を選べることなのかもしれない。
豊かに生きるための私なり3ステップ
選択肢が豊かである状態と、選びたい未来を選ぶ行為はまた別であると考えているので、豊かさを手に入れるためにはどうすればいいか、という方法論を3つのステップに分けて考えてみることにする。
①選びたい未来のオプションをリサーチする
なりたいものがない、とか、やりたいことがない、とかいうのは、今までの経験上、ただのリサーチ不足の場合が多い。服も雑誌やなんかで情報を入れれば自然と欲しいものが見つかるように、選びたい未来も情報収集から始まる。やりたいことがないなら作る努力は必要なんじゃないだろうか。
私は帰国後の進路を考え中であるけれど、協力隊の2年間を使って様々な人脈を作り、情報を集め、その上で今後人生をかけてやりたいことが見つかればいいなあと思っている。
ちなみに、キャリアに関しては今の状態でも、この3つくらいかなあという選択肢は見えている。紹介すると、下記の3つ。
1. JPO派遣制度を利用して国連で数年間働いてみる
2. 日系の開発コンサルに入り、途上国開発事業の経験を積む
3. 途上国関連のビジネスをおこなっているIT企業を見つけて入る
基本的に国際協力、途上国開発という文脈に沿った仕事をしていきたいと考えているので、上記の3つあたりがぼんやりと見えている感じである。
他にも、めちゃめちゃやりたいことが見つかったら起業するかもしれないし、パートナーが見つかって結婚・出産することがあればまた話が変わるかもしれない。
②選択肢を選べるように準備する
選びたいオプションがあっても、選べる状況であるかどうかはまた別の話である。
例えば、こんな服が欲しい!と思ったとして、十分な資金がなければ欲しいクオリティの服を買うことができないかもしれない。
例えば、世界一周に行きたければ、お金と時間を確保しなければならない。また健康で、十分な体力があることも条件の一つだろう。
キャリアに例えるならば、この人みたいになりたい!ここで働きたい!という選択肢があっても、キャリアは積んでいくものなので、その選択に向かって自分の経験を積んでいかなければならない。
私のキャリアに関して書くと、特に上の選択肢の1に関しては準備が必要な選択肢だと思う。そんなにすぐに国連で働けるわけではないのである。
けれど現時点で、着々と準備を進めてきている状態である。どうにかこうにか修士をとり、英語とフランス語を勉強した。今度協力隊に行けば、それが2年間の海外経験とみなされて、帰国後、とりあえずApplyはできる状況になる。まだ英語力が足りない気がするけれど、2年間ジンバブエで英語にまみれたらIELTSやTOEFLの点数も取れるような気がする。
この辺りの準備は、正直、JPOだけを狙っていたわけではない。私は楽観主義だがリアリストだ。計画は苦手で、将来のルートが見えないからこそ選択肢を減らさないように、というのは考え続けた。その結果語学の勉強をしたり、修士に行くという選択になった。これは私の高校・大学時代のリサーチの結果に他ならない。
③豊富な選択肢の中からつかみたい未来を選ぶこと
選ぶにも、勇気が必要なときがある。例えば、他の選択肢を捨てなければならないとき。自分の身の丈以上の選択肢を選びたいとき。自分の予算以上のお金がかかるとき。不安は尽きないし、これでいいのかなと思うこともあるだろう。怖くなってしまうときがあるかもしれない。
けれど、本来自由に選べるのってワクワクすることではないだろうか。バイキングにワクワクするように、服屋さん、本屋さんでワクワクするように、自分の未来もワクワクしながら選びとっていきたいと思う。それが私にとって豊かに生きることだから。
豊かに生きるということ
もちろんキャリア以外にも豊かさを表す視点はたくさんあって、POOLOのみんなの最終発表を見て、みんなの考えに共感した。
心ときめくものに触れ、深い感情を感じられることも豊かさだろうし、幸せな家族を持つことも、常に感謝の気持ちを持てることも、高い自己肯定感や自信を持つ状態も、豊かさといえるだろう。
私に置き換えるならば、私はこれからも自然と触れ合いながら生きていきたいし、家族が欲しい。自己肯定感は今特に高めなのでこれを維持していきたい。
自己肯定感に関連して、豊かに生きるための私の価値観として「どんなときもあっけらかんとしていたい」というのが大きいというのに最近気づいた。
あっけらかん、という、言葉の響きも好きである。辞書を見ると「けろりとした」という意味がある。力が抜ける感じで、まさに私を表す気がしている。最近できた友人は、私を表すのに、「意外とくだらなくて根明」という言葉を使ってくれた。くだらなくて明るい、あっけらかんとした人間。まさに私を表している!笑
この性質のおかげで、私は高い自己肯定感を保っていられているんだと思う。何かストレスフルな出来事があっても、「めでてえな!」と呟いて次にいくことができる。
さすがにジンバブエでは苦労もするだろうけれど、私らしく、あっけらかんと、物事を進めていきたいと考えている。
途上国での「豊かさ」
私はこれから、ジンバブエというかなり貧しい国に派遣され、JICA海外協力隊として活動することになる。そのとき、大事なのは自分の中にビジョンを持って目標設定をすること。そうしないとフワッと2年間が終わってしまいそうだ。
ビジョンとして、彼らの生活を豊かにするために活動したいと思っているけれど、じゃあそれは具体的にどんな状態なんだろう。インフレで経済が崩壊している国で、彼らの給料の価値は毎日下がる一方。そんな場所で私にできることはなんなんだろう。その答えは2年間では見つからないかもしれない。
少なくとも私には時間がたくさんあるので、ジンバブエにおける「豊かさの研究」という視点を持って2年間を有意義に過ごしてきたいと思う。