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結婚後の就業継続意思確認

ちょっと親戚の子の就活生くん(さん?)にそんな質問をされたので、珍しく頼られた的な状況がうれしくなって、「ヨーシ、オジサンガンバッチャウゾー」と張り切って真剣に考えてみました。


で。

今も昔も、意味がよくわからないんですよね。私が男だからかもしれません。もしそうだったらハラスメントみたいでゴメンナサイ。

今までの会社でもたまにする人がいましたけど、女性が結婚(出産?)などのあとに寿退社するのか、それとも継続して働くのか。なぜか女性に対してだけ、この質問をする企業があるんですよ。

何故なんでしょうか。

私が法律を見落としているだけかもしれませんが、私個人の意見を言わせてもらうならば、

 「進退なんて、個人の勝手じゃん?」

としか思えないんです。業務に対して行動が拘束されたり、労働場所が特定されたり、成果の達成未達成に関係なく、ただただ所定労働時間を拘束されたり…そういうのは労働契約を結ぶ際に納得して入社する以上、仕方のないことだと思います。

けれども、「入社するかしないか」「退社するかしないか」は個人の自由ですよね。もし、そうである以上、あらかじめ企業の中では

 「いつ」
 「だれが」
 「どのような理由で」

退職してもいいように、組織内の仕事は日々回っていなければなりません。

そもそも『結婚』なんて、しない人が増えた現代でも、やはり多くの人がするし、する可能性があるものですから、採用前に女性に対してだけ「結婚後、働く意思があるか」を本人確認するのは何か間違っているのではないでしょうか。

いや、別に男性にも聞けって話ではなく。

それ以前に、企業体質として

 「結婚後に(出産等で)働けなくなる可能性」

を大前提として、それでも事業に一切影響が出ないような組織マネジメントや、ビジネスモデルをあらかじめ構築しておくべきじゃないの?…と思ってしまうんです。それこそが骨太な組織と言うんじゃないの?と思ってしまうんです。

だいたい、事故や病気等で

 「今まで通り働けない社員が出る可能性」

だってあるわけなんですから、結婚とか、出産とか、親の介護とか、理由の如何に関係なく、どのような状況でも対応できる仕組みってあってしかるべきです。

まぁ、今は新型コロナのおかげ(?)で、リモートワークがものすごい勢いで市民権を得てきているので、今後、そういった対応も可能になるかもしれませんね。


どちらにしても、企業が疎かにしている「属人性の排除」を無視して、個人に全部負担を押し付けるような体質はどうしても納得ができません。

しかも、この質問を行い、本人の意識確認を明確化すると言うことは、「結婚後、働く意思があるか」と聞いて「イイエ」と答えると、採用に不利となってしまうってことですよね。

もし、「ハイ」でも「イイエ」でも同じ処遇になるなら、ただの自己満足で聞いていると言うことになります。それは面接の目的からは外れます。


そもそも、「判断や決断を迫られる」ような重責を担う業務以外の、主に身体を動かす作業の多くは、

 ・ガイドライン化、マニュアル化
 ・一目見たらある程度理解できてしまう視認性の高い様式やフォーマット
 ・用語や用字の統一
 ・日頃からのジョブローテーション
 ・一人ひとりの負荷の見える化

などを徹底することで、労働バランスへの配慮が簡単になり、属人化した風土の醸成を防ぐことが可能になります。さらにいうなら、「判断や決断」すらも、その思考から「条件」と「優先度」を言語化することで、アルゴリズムと化し、

 「その人でなければできない仕事」

である必要性もなくなってきます(まぁ、そういう作業はいずれAIにとって替わられるんでしょうけど)。

そうなれば、あとは豊富な経験値によって微に入り細を穿つ「職人」のようなスキルや、長い人生で構築された「コミュニケーション」スキル、あるいは言語化の難しい「センス」と言った能力を要求されない限り、たいていのことが簡単に引き継げるようになっているはずです。


別に、女性を擁護しようとかそういうことではなく、こと『ビジネス』に限っていえば、男性より女性、女性より男性みたいな差別というものがあってはならないと思っているのです。

もちろん、職場での役割や責任の差によって、夫婦の役割分担に差ができるのは仕方がないことかもしれません。私も部長職の身なので、自分がいないと始まらない…なんて重要な会議等が増えると、多少体調が悪くても休めないことだって出てきます。

ですが、そういった事情のある日以外は、もっとフラットな公平性ってあってもいいと思うのです。

そりゃまぁ、夫婦間でどんな関係性を構築しているのかはわからないので、夫婦の間ではお互いに合意を得ているのであれば、好きにすればいいと思いますよ。でも、企業まで夫婦間の差別を助長するような制度や仕組みを作り、応対するのはなんか間違っていると思うんですよね。

 「男性は働くもの。稼いでくるもの。一家の大黒柱」
 「女性は結婚したら辞めるもの。家事・育児は女性がするもの」

たぶん、企業もそう思ってますよね。そして、そう押し付けていますよね。じゃなかったら、あんな質問するはずないですから。


その証拠に、結婚後の「同一就業継続」の割合はおよそ半数。
男性がほぼ100%であろうことを考えると、圧倒的に低い数字です。

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いつまでそんな価値観を他人に押し付けたまま、この社会は進んでいくのでしょう。別に価値観そのものは人それぞれですし、本人たちがそうしたいと言っているのであれば、どう選択してもいいと思いますけど、他人に押し付けるのはダメでしょう。

こう…なんていうか、「互いを尊重しあった関係性」とは全く逆を行っている気がしませんか。それは男女間だけでなく、「企業と個人」「社会と個人」の間でも存在しているべきだ、と私は思います。


最近では男性の育児休暇も増え(…増えてるのかな?)、育児における男女の負担差も少しずつながら埋まってきているのかもしれません。いや、家庭を持ったことが無いから知りませんけど。

しかし、会社が変わろうとしない限り、社会全体もやはり大きく変わってくれないと思います。だからルールだけ作っても、早々に形骸化して、なかなか変わらないってこと多いですよね。当然です。

 「会社は、社会の写し鏡」

なんですから。

だからこそ、会社はもっと変わっていくべきですし、そのために知恵を絞るべきなんですよ。

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Takashi Suda / かんた
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