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今すべき時間の使い方

新人が「横一線」なのは、入社したその日まで。

仕事が始まれば…の前に、新人研修の時点から

 「実力を伸ばす人」「なかなか仕事ができない人」

の違いは現れはじめます。そしてそれは"才能""能力"の違いではなく、"行動"の違いで現れます。

研修内容の理解も同じです。

「プログラムやコンピューターの仕組みや理屈を理解する」のと
「プログラムの何を動かしたら、どう動くのかを理解する」のとでは、圧倒的に後者の方が楽です。業界用語を使うと、ホワイトボックスかブラックボックスかの違いでしかなく、どちらから始めても行きつく先は同じになります。

ホワイトボックス
 内部構造や動作原理、仕様などが公開されたり
 明らかになっている装置やソフトウェア、システムなどのこと。
 また、対象の内部構造などが分かることを前提にして、
 対象の内部構造や詳細な実装などに立ち入って検討する考え方。

ブラックボックス
 内部構造や動作原理が不明な装置やソフトウェア、システムなどのこと。
 また、対象の内部構造などが分からないことを前提として、
 入力と出力のみに着目する考え方。

まぁここではこんな感じで定義づけしたとしましょう(とりあえずテストのことは忘れてください)。

たとえば、「"A"と入力したら、"B"と返ってくる」プログラムがあったとします。「なぜ"A"を入れたら、"B"が返却されてくるのか…アルゴリズムはどうなっているのか?」と考えるのがホワイトボックス。「とりあえず使えればいいだけだから、"A"を入れたら"B"が必ず返ってくると言うことさえわかればいい」と考えるのがブラックボックス的な考え方だと思ってもらえればいいと思います。

さて少し横道にそれましたが、5年後に『優秀な若手』と呼ばれておきたいなら、自分の仕事は自分でコントロールできる癖を身につけておくのが先決です。

少なくともITの業界ではプログラミング以外にも数多くの業務がありますから、それだけにかまけて他を疎かにしていると、需要と供給がマッチした仕事以外はすべて「使えない」と言われてしまいかねません。

そこで重要なのは、一つひとつの「仕事」ができるようになることもそうですが、それ以上に

 仕事するために与えられた時間を有効的に使う技術を習得する

ことです。これをタイムマネジメント、あるいはスケジュールマネジメントと言います。タイム&タスクマネジメントと言うところもあります。

時間の使い方で基本となるのは、仕事には、

 ・重要かつ緊急な仕事
 ・重要だが緊急ではない仕事
 ・重要ではないが緊急な仕事
 ・重要でも緊急でもない仕事

の4つがあるという『認識』です。よく聞くマトリクスの話ですね。

まず、仕事にはかならずこの4つのいずれかに分類されるモノしかないと言う、認識から始めてみてください。これらは時間管理においてMECE(漏れなくダブリなく)構成されたマトリクスで説明できます。

図23

コンサルティングなどに精通していないと、こうした図解で説明する機会は少ないかも知れません。

エンジニアも含め、この業界は見やすさや読解力を重視した文書化をする気のある人が少なく、結果的にドキュメンテーション能力が欠落しやすい傾向があります。

しかし、将来的に抽象的なモデル化などを視野に入れたクリエイティブな設計等がしたいのであれば、様々な図解化能力を身に着けておくのは必須と言えます。


さて、話は戻って。

なんでもかんでも言われたモノから言われた順に仕事をしていたのでは、
本当に重要な仕事を見落としてしまうことになります。これを知らずに、振られた仕事を順番に全力でこなすだけでは効率が悪く、疲れてしまうだけです。

しかも、上司からは良くない評価をされることもしばしばです。

時間を効率的に使うための最初のカギは

 「重要でも緊急でもない仕事」を見極め、
 そこに費やす時間を減らすこと

です。どんな業種、どんな企業であっても、仕事にはこの種のタスクが一定の割合で含まれているものです。本来そういう無駄を見つけたら即座に解決すべき事案なのですが、なかなかそれができない組織もあったりします。

しかし組織が、あるいは他人がそうであったからと言って、自分までその堕落の中に溺れる必要はありません。「重要でも緊急でもない仕事」を多く抱えて疲弊することほど無駄な人生はありません。すぐにでも、自分のデキる範囲で解決、改善していくべきでしょう。

一方で、「重要でも緊急でもない仕事」を削って時間を生み出したとしても、その時間を有効に使えなければあまり意味がありません。

ポイントになるのは「重要だが緊急ではない仕事」の扱いです。

緊急ではないため「あとでやればいっかー」と後回しにしがちですが、緊急性がないだけで期日は必ずあります。ですから、放置しているとやがて「重要かつ緊急な仕事」に変わってしまい、猶予が無くなり、最後に慌てる羽目になるわけです。学生の頃に夏休みの宿題などで、何度も味わってきたと思います。これを"学生症候群"と言います。

図22

同じことを、社会人になっても成長することなく繰り返しますか?
いつまでも大人になり切れないままでいいのですか?

時間を効率的に使いこなす生産性の高い人は、この「重要だが緊急ではない仕事」をこなす"ための"時間を日々意識的につくっています。

緊急ではないから、より緊急なものを先に済ませるために後に回す…のではなく、重要かつ緊急なものを完了させるスケジュールを組み、さらに重要かつ緊急ではないものさえも消化、あるいは準備するスケジュールを組んで、精神的な余裕をもって期日に間に合わせる下ごしらえをしておくのです。

同時に、仕事を開始するタイミングも大切です。

たとえば、週に1度の報告会議があったとします。
ある会議で、次の会議までの「宿題(課題)」を言い渡されました。
1週間の猶予があるわけですが、いつやりますか?

当然、正解は「すぐ」です。

完了しきる必要はありませんが、取り掛かるのは早い方が良いのです。
会議の直後、まだ記憶が鮮明なうちに次の会議までにやることに手をつけておくと作業時間が短くて済み、成果物の質も高くなります。

 「会議後20~30分くらいの(記憶が鮮明な)間が勝負」

と思って実行すると、より質の高い成果が出来上がるようになります。
 
「時間だけはどんな人にも平等に与えられている」といわれていますが、その使い方ひとつで仕事の能力や知識量、学力などに大きな差がついてしまうものです。

仕事で「一流」と「二流以下」がはっきり分かれてしまう大きな原因は、ここにあると言っても過言ではありません。生産性の高い人間になるためにも、タスクの性質の見極めタスクをこなすタイミングについては身につけておくべきでしょう。

ちなみにこうした考え方は、プライベートな時間を有効活用する際にも大きく活きてきます。

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