
求められるアウトプットを出す
ビジネスで「自分ではいいと思っている」は通用しません。
問題は、その時に要求されている水準をクリアできているかどうかです。
なぜ、自分では納得がいくものであっても、相手からは
『そうじゃない』
と言われてしまうのでしょう。そのことに思いが至らないうちはいつまで経っても、何歳になっても半人前のままです。
仕事に対していい加減な姿勢であたる人に、"誰も期待しない"のは当たり前です。しかし、決していい加減にやっているわけではないけれど、どうもピントがずれているせいでアウトプットがうまくいかない人もいます。
それは、
質にこだわりすぎてアウトプットが少なかったり
精一杯速くこなそうとした結果やその内容が薄くミスだらけだったり
仕事の目的を考慮せず「言われたことを言われた通りにやること」を仕事だと思っている人たちです。
目的から逆算して仕事をするということは、顧客や上司から「何が求められていて、何が求められていないのか」を見極めることです。ここを客観的に認識できていないとどんなに上手くいっても期待値ギリギリです。だから大抵の場合はパーフェクトにこなせず、期待を下回る仕事しかできなくなってしまうのです。
デキる人のアウトプットには相手の期待値と結果の差分が圧倒的に少ないものです。それは成果物において、「質」と「速さ」と「量」が求められるレベルで均衡しているからです。
たとえばアウトプットの「質」が、顧客や上司などに求められるレベルに達しているとはどういうことでしょうか。
社外文書なら、
正確で間違いがないことはもちろん
ビジネスマナーに則った恥ずかしくない体裁が整っていること。
営業なら、
顧客の課題解決に役立ち、
かつ他社に引けを取らない提案ができること。
上司に頼まれた仕事なら、
上司の意図を正確に読み取り、
上司が手直しをしなくていいレベルまで仕上げてもっていくこと。
少なくともビジネス常識から外れていたら完全にアウトなのは言うまでもありませんね。
また、前にもいったように、時間があるならプラスαの付加価値をつけられれば仕事の質はより高くなります(形だけの意味がないことをする必要はありません、念のため)。
なかでも以下の3つはどれも必須であり、欠かすことはできませんが、優先度は仕事の目的によって変わってきます。
求められる『質』
・性格で、ビジネスマナーに則った体裁が整っている
・相手の目線に立ち、相手の問題や課題解決に寄与している
・同業他社(他者)よりも高い水準を維持している
求められる『速さ(時間)』
・すべてのアウトプットを期限に間に合わせる
・期限より前に仕上げて、見直す時間をつくる
(「速さ」によって「質」を担保する)
求められる『量』
・成果を出すために必要最低限なアウトプット量
これら「質」「速さ」「量」を相手が求めるバランスで成立させることこそが、ビジネスの本質です。自分勝手な想いだけで成立するものではありません。どんなに自分自身が「質こそが正義!」と思っていても、相手が「質よりもまず速さ」と言えば、速さを優先しなければなりません。
イマイチわかっていない人は、そこが理解できていないのです。
「速さ」についても同様のことを考えてみましょう。
「仕事が速い」とは、一つひとつのアウトプットを求められるレベルで素早く出すことです。その上で、依頼された納期までに確実に間に合わせます。できればどれも納期より前に仕上がっていると、万一修正や新たな課題が見つかった場合にそれを見直す時間的猶予を持つことができます(これは速さによって質を担保することに意味があるわけですから、速いだけで質が低いと「仕事がいい加減な人」ということになってしまいます)。
もちろん、質と速さの両立は簡単ではありません。人の努力に依存している組織ではそもそも両立すること自体が不可能かもしれません。この両立には古くから「仕組み」の導入でしか成立してこなかったからです。
もちろん、どちらをどの程度重視するかはケースバイケースです。
当然、速さが優先される仕事もあります。
「速くこなす力」があれば、時間がない中でも最低限の質を保って成果物を出せる可能性が高まります。コンサルティングなどはそういった求められ方をすることは珍しくありません。
たとえば、コミュニケーション手段であれば、わざわざ清書した格式ばった手続きを取らなくても、口頭で伝わるのであればその方が早い…というのは、誰でもわかることですよね。
最後に、顧客や上司が求めるアウトプットの「量」についてです。
どれくらい必要かというのは一概にいえませんが、成果を出すうえではアウトプットの量は多いほど有利です。
たとえば、営業などの仕事では、アポイントをたくさん取れる人のほうが、成約数が上がります。企画や提案などの仕事では、一つの課題に対して3つの案を出せる人と、1つしか案を出せない人とでは前者のほうが期待値は上がります。
アウトプットの量が極度に少ない人は成果につながりにくく、なかなか顧客や上司に認めてもらえません。
たとえば、先ほどのコミュニケーションに当てはめてみると、細部まで説明されるのと、言葉少なく単語だけから読み取ることを強制させるのと、どちらの方が嬉しいですか?
限られた時間でアウトプットを一定の量出すには、「速さ」が必要です。
「速さ」が足りない人は、最初のうちは時間を度外視して量をこなさないと、必要なアウトプット量を出せないということです。量をこなすことで「スピード」がついてくるようになりますし、成果を出すために必要なアウトプット量がおおよそわかってきます。
仕事の成果は「質」「速さ」「量」どれが欠けてもいけませんが、「目的」によって何を重視すべきかの比重は変わってきます。このバランスをとりながら最良の結果を出せる人にどんどん仕事の依頼が来るのです。
逆に、自分の仕事の進め方を固定化して頑なに変わろうとしない人は、仕事の依頼がしづらくなっていきます。
冒頭で"ビジネスで「自分ではいいと思っている」は通用しない"と言いましたが、そもそも「自分が」「自分は」と言う主語が付いている時点で、ビジネスとしては2流/3流と言えます。
これは主語を明示していても、暗示していても同様です。
「〇〇だと思う」
という言葉も、裏には
「(自分は)〇〇だと思う」
と言う主観が控えられています。
これは、すなわち根拠がないということです。
根拠は常に客観的事実の上に成り立たなければなりませんから、このように(自分は)(自分が)と添えてみた時に、文章が成立するような説明のしかたでは相手の心に響くこともなく、相手の理解を得ることも難しく、ビジネスが難航することになるでしょう。
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