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品質を軸にした組織運営を
三菱電機の品質不正「閉鎖的風土が背景」 調査委報告書https://t.co/ko0yt8Oq81
— 日本経済新聞 電子版(日経電子版) (@nikkei) October 1, 2021
「またか…」
いの一番に漏れ出たセリフです。
何年か前にも…いえここ最近でもこうした問題がニュースで取りざたされていますね。ホント、どうしちゃったんでしょう日本は。
記憶に新しいところでは
などなど色々ありました。
これ、製造業を中心に多く取り沙汰されていますが、意外なことにIT業界でも日常的に起きています。
IT企業…ことさらソフトウェア開発業においては、「品質を保証する方法」というのがほとんど確立されていません。現場のいわゆるテストに一任、依存していてその実態を企業として把握する体質をほぼ持っていないためです。
その把握を行うためにたとえばQA…品質保証部門のようなものを形式上設けてはいますが、経営層がそうした部門の
機能のさせ方、仕組み
を理解してはいません。
一般的に言われる「大手SIer」と言われる企業の多くはソフトウェア開発だけでなく他の業態にも手を出している関係上、いわゆる製造業系の品質有識者を招聘して何とかしようと頑張ってみるものの、そもそもハードウェアの製造とソフトウェアの実装では求められる品質のあり方やプロセスもまったく異なるものですので、同じ手法を流用しようとしてもなかなか成果は得られないでしょう。
もちろん製造業で培われた品質管理手法を用いても「品質向上」に役立つとは思います。
ですが、それが「=品質保証」とならないのであれば、世に送り出すに十分な質かどうかを判断することはできないのです。
ISO 9126や25010など、国際規格や国内規格で定められてはいても、それを正しく理解し、自分たちの業務の中に取り込み、「高い品質を維持しているからこそお客様に提供できるのだ」と自信をもって開発に取り組んでいるIT企業って
「ホントにいるのかな?」
と考えることに違和感がないくらいほとんど存在していないと思います。
その証拠に…というのもなんですが、いわゆる毎年、毎月、毎週のようにニュースで騒がれている
システム障害
というのがまさにそれにあたります。Googleニュースで「システム障害」というキーワードを使って2週間分くらい検索してみてください。だいたい10件前後は出てくるんじゃないかと思います。
大抵はB2CやB2B2Cのシステムばかりニュースに取り上げられますが、それらは所詮氷山の一角にすぎません。
B2Bのシステム障害は、システムを止めたり、顧客のビジネスに損害を与えてしまう重度なものから、即日リカバリーできる軽微なものまで含めると数百、数千起きているのではないかと思います。
これらは要するに
納品前の検査(テスト)において品質に問題があっても
「問題ありませんでした」と報告して納め、そしてサービス開始された
ものです。あるいは
納品前の検査(テスト)において品質に問題があるかどうかも網羅できず
「問題ありませんでした」と報告して納め、そしてサービス開始された
ものです。
つまり、品質に対して責任ある活動ができていなかったということを意味します。ソフトウェアの多くはパッケージとして市販されるにしても、事前に契約して作成するにしても、あらかじめ決められたスペック表、契約による納品対象物に対して「質が100%であること」が暗に求められています。
当然ですよね。
みなさんも一消費者として考えてみてください。
「いやべつに、質は8割あればいいかな」
「多少事前に決めた通りに動かなくても、おおよそ動けば満足」
とはなりませんよね。定められたスペック、契約に対して、それらの質は常に100%であることを消費者、購入側は求めているものです。特にB2Bとなる場合、お客さまのビジネスに直接影響を与えます。1憶分の一の確率で起こる障害だったとしても、それで企業が倒産するような致命的な問題であったならば許容できるわけがありません。
でも、ソフトウェア業界では決して「品質」を最優先に考えられていません。
機能仕様
性能
テクノロジー
デザイン etc.
耳ざわりのいい分野であったり、あるいはクリエイティブな部分にばかり目が行きがちです。また変にかぶれた経営層ならKPIやらKGIやらわかりやすい数字ばかり追いかけたくなるでしょう。
収益は企業継続性にとても意味があるものですしね。
よくわかります。
でも、そうした数字ばかりに着目することで
「じゃあ、数字化しにくい領域を見なくていいか?」
「数字化したとしても、収益と結びつけにくい領域は不要か?」
というとそんなことはないのは自明の理です。ただ見たくないだけ、視る能力が無いだけにすぎません。結果、見ようとしない企業が続出します。
そうして「品質」はおざなりにされていきました。
そもそも、
「要求仕様に対して提供・販売してもいい質になったから売る。
そしてその結果として収益が上がる」
そうなるための仕組みを構築するのが企業の務めです。
そうでなければビジネスにしてはなりません。
「質が低くても高いように見せて売りつけ
その結果として収益が上がればいい」
というものではありません。
それはただの詐欺です。
だからニュース沙汰になり、世間から非難されるわけです。詐欺でもなんでもない真っ当なビジネスであればニュースにもなりませんし、非難されることもありません。
それもこれも、
収益が大事なのはわかるけど
— Takashi Suda / かんた (@kanta0526) October 2, 2021
それは「=質を悪くしていい」とはならない。
『コストをかけず
質が悪くてもいいから
とにかく収益をあげろ』
口に出さなくても
そんな選択の自由を与えているから
そういう文化が醸成されるってことを
自覚しないといけない。
経営でもプロジェクトでも同じ。
ってことに集約されるのではないかな?と思います。
どの企業、どのチームにおいても、よほど悪意を持つ人でもない限り、プロジェクトマネージャーにしても、管理職にしても、経営陣にしたって
「質なんてどうでもいいから、とにかく収益をあげろ!」
と口にはしないでしょう。
今回問題となった三菱電機においてもおそらくはそうだったのではないかと思います。でも、現場では品質軽視のビジネスが横行した…なぜか。
『現場にそう判断させられるだけの自由度があった』
からです。そうさせない仕組みやルール、監視方法などが確立されていて、そうした環境自体に強い権限を持たせ、「不正を働く自由」という選択肢を設けていなければ、わざわざそうした問題を起こす組織や従業員は出てこなかったことでしょう。
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個人の裁量で自由にできる範囲というのは、このような構成で決められます。国のルール…法などはわかりやすいのではないでしょうか。性善説で「やってよいこと」しか決められていない…なんてことはありませんよね。
・やってはならないこと
・やった場合の罰則
も明確ですし、完璧ではないにしても実際にさせないための監視体制やチェックポイントが設けられていて、常に問題を起こしにくい環境が構築されています。
翻って企業ではどうでしょう。
・高い品質を維持する体質の構築
・品質を正しく測定するルールや手順の構築
・その通りに実施していることの確認や監視
など、「品質が低い状態」で出荷、販売させないための最大限の取り組みをしているでしょうか(三菱電機はそれができていなかったのでしょう)。
収益さえ上げてくればやり方は現場任せ…となってはいないでしょうか。
開発の仕方は現場任せでもいいかもしれませんが、企業の名を背負ってプロダクトなりサービスなりを出荷する以上、それらの品質だけは現場任せにすることが本当に正しいビジネスと呼べるのでしょうか。
「品質を上げようと思ったら金がかかる」
という言い訳をする人がたまにいます。前職にも自信満々で宣う人がいました。それを実際に売りつけるお客さまに対して言ってほしいものです。
「だから質は低くてもいいんだ!」
といいたいのか
「だからもっと金をくれ!」
といいたいのかはわかりませんが、少なくともそのまま出荷しても良いという理由にはなりませんし、それをビジネスとして認めることもできません。
そもそも受注生産という形式をとる以上、受注時の契約で「質」について明言されることはありませんが、当然ながら質は100%であることを求められていますし、そうするための見積りをしているはずです。
最初から「80%でいいや」と割り切って見積もったりはしていないはずです。であれば、100%にするようプロジェクトマネジメント義務を果たすのは至極当然のことです。それは受注した側の責務です。その責務を果たさずに売上や利益にしか興味を示そうとしないこと自体が問題なのです。だから、現場ではどうしても100%にならないまま出荷することをヨシとしてしまう風土が醸成されてしまっているのです。
組織全体にかかる課題であれば企業責任として、プロジェクト活動にかかる課題であればマネジメント責任として
限られたリソースの中できちんと品質水準を満たした
プロダクト/サービスを提供し、そのうえで収益をあげる
という仕組みや大勢の構築、環境を整えることが必要なのではないでしょうか。
そんなこともわからないマネジメントなんて「最初から100%の質にするつもりはない」と言っているように聞こえてしまうのですがどうなんでしょう。
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