時間を常に奪われないようにするために
と書きましたが、ちなみに私は時間管理をするにあたって必ず、すべきアクションプランに対して
「専念する」
「専念できる時間を把握する」
を徹底します。これは自分自身に対してであっても、マネージャーとしてメンバーを抱えている場合でも、です。
マネージャーの手抜き
たとえば、多くのマネージャーが管理している一般的なスケジュール表を見てみてください。その中に「会議体」はスケジュールとしてすべて組み込まれているでしょうか。おそらくは…記載されていませんよね。これを私は「マネージャーの手抜き」と認識しています。
なぜなら、3日かかるアクションプランに対して、スケジュール上『3日』を設定されていても、ある定例会議が実は存在していて、その間作業ができなければ2時間の遅延になるからです。しかも、場所まで指定されていて、その移動時間も含めると半日は仕事にならないかもしれません。
そんなずさんなスケジュールであるにもかかわらず
「そんなのいちいち書いていられない」
「面倒くさい」
という理由でスケジュール管理上から抹消しているわけですから、手抜き以外の何物でもありませんよね。そのしわ寄せは、すべて現場作業者に圧し掛かります。しかも、それで遅延すると、「アイツは仕事が遅い」なんてレッテルを貼られます。マネージャーがそう進言して、上司がそれを認めるようなことがあったら、最悪ですよね。マネージャーが時間管理を正しくしていないだけなのに、現場作業者にその責任を擦り付け、その作業者の評価…ひいては人生まで貶めようとしていることになってしまいます。
管理対象外となる会議体は時間管理の敵
他にも、たとえば
「会議体を絞り込む」
「会議体に参加させる人員を最少となるようにする」
「マネージャーはなんでもかんでも会議に参加しない」
と言ったことをします。先の例と合わせてみても、私の場合は兎にも角にも会議体が大嫌いというのが見て取れると思います。だって、無駄ばかりですから。正直、無駄のない会議体って見たことがありません。
会議体の99.9%は誰かの自己満足のために開催されています。「それが無くては以降のアクションプランが進まない」なんていうクリティカルな会議というものはほぼ存在しません。
にもかかわらず、先述のようにスケジュール管理の対象外としているものですから、定例…と呼ばれる会議体だけでも相当スケジュール進行の邪魔になっているのに、お偉いさんたちの勝手な都合で「ちょっといい?」とか「じゃあ、定例のあと関係者だけちょっと残って…」みたいな突発的な打ち合わせを開きたがって、そんなことをしていても
「スケジュールは守れ」
とか意味不明なことをのたまいますよね。こういうことが日常茶飯事で発生するから、プロジェクト活動は失敗しやすいと言われるわけです。
逆に、こうした会議体をほとんど必要としないプロジェクト現場では、よほど想定外や事故、あるいは計画杜撰でもない限り、なかなか遅延しません。
そんなどうでもいいものが多いため、どうしても「したくしてしたくてしょうがない」「しないと何一つ自分では情報を集められない」というステークホルダーたちのために、ごくわずか、最低限の会議体はあってもいいと思いますが、極少人数、極小単価で済ませるべきだと思っています。
また、3つ目のテーマも相当大きな問題です。
おそらく、多くの現場では、『会議』というと、必ずと言っていいほど「保護者同伴なの?」ってくらい、マネージャーが参加します。したがります。実際に話をするのは現場の担当者であったとしても、必ずマネージャーが同伴します。
これって、まったくの無駄じゃないですか?
一言も発しないのであれば、その場にいる必要もありませんよね。「何かあった時(下手なことをしゃべってしまった時)にフォローするため」と言えば聞こえはいいかもしれませんが、いつまでもそうやって過保護にしていたら担当者はいつまで経っても一人で説明ができません。無駄です。
私なら、あらかじめ会議に参加される他の人たちに
「〇〇くんが説明できますので、1人で参加させますが、
決して説明が上手というわけではありません。
もし、疑問等が発生し、〇〇くんで答えられないようでしたら
ペンディング(保留)として持ち帰らせてやってください。
緊急性があるテーマであれば、その場で私をお呼びください」
って言います。というか、いつもそうしてきました。そうやってあらかじめフォローしておけば、それだけで高単価人材であるマネージャー職の人間をむやみに会議漬けにする必要がなくなります。
会議体に参加したがるマネージャー
起きる会議体一つひとつ、なぜか可能な限りすべてに参加したがるマネージャーと言うのは後を絶ちません。そして、それが理由でマネージャーは「忙しい、忙しい」と常に口にしています。
そして、「忙しい」という理由を口実に、本来は自らが担当しなければならない管理資料の作成や更新、あるいはそのどうでもいい打ち合わせ資料の作成などを
「ちょっと次の打ち合わせ行かないといけないから…、
申し訳ないけど、これ作っといてもらっていい?
明日の〇〇会議で使わないといけないから、今日中で」
みたいなノリで、残った現場担当者たちに押し付けることが往々にしてあります。そうすると、また現場担当者たちのスケジュールにしわ寄せが起きます。そうしたら、また遅延です。
そして、遅延すると評価を下げられたり、叱責を受けたりする可能性があるので、担当者たちは残業や休日出勤を使わなければならなくなります。
このような感じで、想定外の何かが起きたわけでもなく、突発的な事故が発生したわけでもなく、日常のありふれたワンシーンの中にタイムマネジメント…時間管理の害になるものがたくさんあります。
もしも、最初に述べたようにすべきアクションプランに対して
「(自分の作業に)専念する」
「(メンバーの作業は)専念できる時間を把握する」
「(メンバーの作業に)専念させる」
ということを徹底するための最大限の取り組みをしていれば、こうした問題が介入することはありません。絶対に起きないのです。
専念するために、己がすべき努力は何か?
専念させるために、マネージャーがすべき努力は何か?
たったそれだけのことを重要視する気があるかないかで、マネージャー自身の負担、メンバーへの負担は言わずもがな圧倒的に低減できることでしょう。そしてそうやって「時間」という資源を有効活用できさえすれば、プロジェクト成否は大きく変わってくると思います。
さらに、無駄が減るということ、負担が減るということは、そのまま「コスト(主に人件費)」の冗長的な流出が減るということでもあります。言い換えるなら、『利益に還元される』ということです。
成功をおさめ(顧客が満足し)、負担が低減し(従業員が満足し)、そしていつも以上に利益が出るとなれば、上司としても企業としても、これほど嬉しいことはありません。
・顧客が満足する → リピート率の上昇、口コミなどの宣伝効果
→ 受注増
・従業員が満足する → 離職率の低下、内部統制のしやすさ向上
採用などにも副作用、外注満足度も向上
・負担が低減する → プロジェクトサイクルが短くなる
→年間に受注できる数も増加 → 売上増
・利益率が向上する → 企業の拡大に寄与
というように、様々な点に貢献できるからです。
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