見出し画像

上流工程ほどいいかげんな品質管理

ソフトウェア開発の世界では、よくいわれる格言に、

 「上流工程のバグは、下流工程で増幅する」

というものがあります。これは、どんなに頑張ったかとか、どんなにまじめに取り組んだとかは関係ありません。もちろん、SIerが「OK」と言ったからとか、顧客がそれでいいと言ったからと言うのも、ただの言い訳でしかなく、上流フェーズの品質が保証できていなければ、そのツケはすべて下流フェーズで支払わなければならないことに変わりはありません。

これは"絶対"です。

誰が良いと言ったところで、不良や欠陥があったままリリースしてしまったら、それは利用者に被害が及ぶということです。QMS(ISO 9001)でいうところの「特別採用(特採)」にしても、よほど被害が出ないようなものでない限り、認めることはできません。

仮に、コスト面についてはお客さまと調整できたとしても、みなさんが支払う人生のツケ(高稼働(残業、休日出勤等))には必ず影響が出てきます。

要件定義や基本設計で間違いがあった場合、最終テストの段階でその間違いに気付き、プログラムを修正すると、相当大きな工数がかかってしまうということです。この工数は、詳細設計よりも基本設計、基本設計よりも要件定義と言った具合に、(バグの発生が)上流フェーズになればなるほど大きくなります。

画像1

このグラフでは、赤線がその工数(コスト)の積みあがっていく様を示したものになりますが、下流フェーズ…主に製造以降のテストで発覚してからが大幅に積みあがっているのがわかるでしょうか。バグ(不良、欠陥)が多数見つかるからですが、その見つかる理由は「仕様が甘い」「設計に不備がある」と言ったものが半数以上を占め、しかもそういった上流フェーズに問題がある場合には、修正範囲(手戻りコスト)が大きいことを意味します。

従って、理屈上では、上流フェーズほど品質チェックを厳重に行わなければならないのです。

しかし、実態を見てみると、上流フェーズになればなるほどチェックがいいかげんであることが非常に多いのが実状です。

ここから先は

3,204字 / 1画像

¥ 500

いただいたサポートは、全額本noteへの執筆…記載活動、およびそのための情報収集活動に使わせていただきます。