見出し画像

雑談は一問三答

採用現場でも、実際の職場でも「コミュニケーション能力」を重視する企業は、世界的に見ても、国内でも非常に多いことをご存知でしょうか。

 「雑談なんて不要。
  静かな方が仕事に集中できる」

と言う人もいると思いますが、そうやってコミュニケーション量を減らすと、一番困るのは上司やマネージャーだったりします。

だって、わざわざ会議体を開くほどでもない情報のやり取りは、普段の雑談の中で補填できますし、なにより一人ひとりの状況や状態を正確に把握するのに、雑談ほど詳細にわかる術はありませんから。

もし、私が「雑談禁止!」と言われたら、そこでは最大限のパフォーマンスを出せないかもしれません。

雑談力が今、求められている

しかし、日頃の会話の中で、業務連絡や仕事上のやりとりはできても、雑談を『悪』だと思い込んでいる人がいたり、ちょっとした会話に困るという人、あるいは飲み会やランチ、出張や外出時の移動中に上司や取引先の人と何を話せばいいのかわからない…と言う人も多々いるように思えます。

しかも、これからは忘年会などもあり、なれない人たちと仕事以外の話題で「場をつなぐ」機会は増える一方です。そんななか『雑談力』が今、再び注目を集めています。本屋のビジネス書や啓蒙書を見に行けば、こうした書籍も数多く出ていることからも、その注目の度合いが見てとれるでしょう。

 「雑談 書籍」「雑談 本」

でググってみてください。「え、そんなにあるの!?」ってくらい、様々な本が出ています。まぁ、雑談推進派で、雑談好きな私は、頼る必要が無いので読んだこと無いんですけど。

画像1

ですが、そういった書籍を見ればわかると思います。

 「今、雑談力が求められている!」

と言うことに。日頃からコミュニケーションをスムーズに行おうと思った時に、機械的な応対だけでは本当に重要な情報を見逃してしまいかねません。「口が滑る」ではありませんが、少しくらい滑らかに動いた方がいいですし、私に言わせれば、文句や愚痴さえ心の中に堆積させるのではなく、さっさと吐き出してほしいくらいなんです。

そんな時にも、雑談が活きてくると思います。

いまや雑談力は「社会に出てから身につけるべき必須スキル」と言われ、営業などのビジネスパーソンの中では"常識"とまで言われているほどになっています。私自身も、雑談だからこそ引き出せる情報も多いことを理解しているので、部下やメンバーになる人には、極力習得してもらうよう、日頃から働きかけています。


沈黙は怖い。でも雑談は苦手

世代の違う年上の人と話をするのは気詰まりで面倒くさい。
会社の上司とも、仕事の報告や連絡事項以外の話は極力したくない。

そんな人、多いですよね。

昨今では、30代ですら若者と認識していたり、自分をまだ若手と思い込んでいる人もいるようですが、れっきとしたいい歳こいたオジサンです。若作りもいいですが、年相応のスキルは周囲から求められるので気をつけましょう。そして、そう言った気持ちはわかりますが、「苦手」を苦手なままオジサンに突入してしまう人たちが、実にもったいないと思うわけです。

たとえば、部下を連れて取引先に出かけるような状況になると、何時間も黙ったままになってしまい、気疲れしてしまいます。ですから最近では、上司のほうが気を使って部下に話しかけるケースが多いといわれてます。


一問一答では、思春期の子どもと同じ

しかし、上司から話しかけてはみたものの、会話は長く続きません。
こうした場合によくありがちな会話の例を挙げてみましょう。

「キミは何かスポーツやってるの?」――「別にしてません」
「お酒は飲めるクチかい?」――「普通です」
「仕事には慣れたかい?」――「まあまあです」

うーん…一昔前の沢尻エリカのインタビューを見ているみたいです。

実際のところ、そこまで淡白に応えるかどうかはともかく、問題なのは『聞かれたことだけに答える』と言う、いわば「一問一答スタイル」が非常に目立ちます。すなわち、会話を広げられるようなコミュニケーションとなっていないということです。

「学校はどうだ?」と親に聞かれて、
「普通」「まあまあ」としか答えない思春期の子どもと同じです。

あとはウンでもなければスンでもない(スンって何!?)。
当然、話はそこでおしまいです。

これではいくら話を振られても、会話が広がるわけがありません。自身に子供がいて、子供にそういう対応をされているときは、大抵自分も誰かに同じようなことをしています。それを子供に真似されているだけなのです。つまり、やってるレベルが子供と大して変わっていないということです。

たとえば、上司が「最近、休みの日は何をしてるの?」と聞いてきたとします。ひょっとしたら聞かれた側のあなたは、自分のプライベートに踏み込まれたような不愉快さを感じてしまうかもしれません。仕事以外のことを話す必要はないとドライに割り切りたいと思うかもしれません。

しかし実際のところ、上司もあなたの休日の過ごし方に興味があるわけではありません。多くの場合、話をつなごう、打ちとけて雑談を楽しもう、本題に入る前にきっかけを作ろうと思っているだけなのです。

だから気楽に行きましょう。
過度に自意識過剰になる必要などないのです。

普通に話せる人はそんなところで自意識過剰になりません。相手がよほど胡散臭いのであればまだしも、そうでないのならば警戒する必要性すらないからです。


一問には二答以上でこたえよう

たとえば、「最近、仕事以外で何かハマッていることは?」と聞かれて、ただ「映画です」だけでは、即会話終了です。でもそのあとに

 「この前見た○○はよかったですよ。
  あまり期待してなかったんですけど、いい意味で裏切られました」

といったプラスαのひと言を入れて返すだけで、そのやりとりはちょっとした雑談に変身します。そして今度は、最初に質問した上司が再び、「誰が主演してるの?」「知らなかった。今度行ってみようかな」という具合に返事をする。

またそれに答える──。
そうすることで、話は心地よく転がっていくのです。

そこで、私は二答(二文)ではなく、三答(三文)にします。

 「この前見た○○はよかったですよ。
  いや、マジで期待してなかったんですけど、裏切られました。
  裏切られてハァハァするなんて、実はMかもしれない…(真顔」

たぶん、こんな流れにします。いや、Mかどうかは置いておいて。

 結論(質問に対する回答)→内容(深掘り)→ボケ
 結論(質問に対する回答)→内容(深掘り)→一人ボケ一人ツッコミ

なんかで広げます。二答でも十分会話は繋がりますが、繋げてくれるかどうかは相手次第だったりするので、そのままスルーされるとちょっと悲しい気持ちになりますよね。

ですので、私は三文目にそのまま放置しておけないようなツッコミどころを作ったり、自分で勝手に自己完結して、無視できないレベルに相手の興味を引き出したりします。まぁ、それでもスルーされたらさすがに凹みますが。


雑談そのものにあまり価値を見出していない人は、自分が雑談をするときは本当に無価値な雑談をしているからこそ、価値を見出せないのであり、だからこそややもすると他の人が雑談をしているのを見かけると『邪魔をしている』『遊んでいる』と嫌がります。

しかし、「雑談」と言う手段でさえも、目的と意義を見出だせば、その使い方によって、情報伝達や共有のしやすい環境を作れたり、コミュニケーションスキルを育成する場を作れたり、フィジカルやメンタルの状況をつぶさに観察することが出来たり…と言った副次的な効果も期待できることを知っておくといいでしょう。


余談

とは言え、(飲み会や休憩時間を除く)ビジネスの場における雑談では、こんな私ですら、雑談そのもののストーリーをそれなりに厳選します。

必ず本人たちの仕事に対する『気付き』を与えるような内容にしていたり、なんとなく漫然としていた仕事に意義や意味を見つけさせたり。私の中で仕事中の雑談は(たまに脱線することもあるけれど)、基本的にOJTの一環と言う認識です。

さらに、日頃の雑談だけだと、部下やメンバーじゃない子たちにまであまり効果が及びません。他部署の子に雑談しに行くと、そこの上司から「邪魔しに来てる」って言われちゃうもので。

なので、そういう子たちとは、雑談に始まり、最小限の接点でOJTによる意識改革や啓蒙をさせたりもしています。

たとえば、未だにFAXで注文書や発注書を送ってこられる取引先があったりしますが、これをそのまま受信した複合機の上に置きっぱなしで、誰も処理しようとしなかったら、社外の方(外注や業者の方)が見てしまうかもしれませんよね。

ですから、周囲にいる若手の子や新人くんをつかまえて、こう言います。

「ほら、アレ見てみ?FAX置きっぱやろ?
 あのまま社外の人に数字とか、依頼内容見られるとインサイダーに発展す る可能性もあるし、誤発注やと相手業者に早々に教えてあげんとあかんや ん?これを放置してると…ほら、うちの会社ISMS(情報セキュリティ マネジメントシステム)の資格持ってるし、インシデントにでもなったら 一番身近にいながら無視決め込んでた君らの責任にされかねへんで?

 …と言うわけでゲームしよか。

 俺、よくここ通るから、俺が先に見つけたら5回でジュース1本な。俺が ここ通った時に5回連続で見つけられんかったらジュース奢るで」

1年ほど続け、良い感じに相手の意識付けができつつ、4:6くらいでこちらが奢る機会が多くなるように誘導するのがコツです。

あまりにその子たちの意識が薄い頃は、あらかじめ内線で「今から1時間以内に行くでー。マジいくでー。具体的にいつとは言わんけど、今書いてるメール送ったらおくかもなー。1時間以内やからなー。これで俺が先に見つけてしまったら、知らんで―」なんてわざわざ意識させたりします。まぁ、たまたま用事が無くなったりすると、用事もないのにFAXの前を通りに行かなきゃいけないので、面倒なんですけど。

1年も続くと…いや半年もすれば、だいたい何もしなくても意識できるようになっていたりもします。パブロフの犬的な。「癖」に昇華させてしまえば、集中や意識が割かれることなく対応できるようになりますしね。

指示や命令ができなくても、雑談からならこうしたOJTも可能なのです。

いただいたサポートは、全額本noteへの執筆…記載活動、およびそのための情報収集活動に使わせていただきます。