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仕事を実施する際の注意点

業種、職種、肩書/役割、etc.…様々な条件によってそれぞれの実務レベルの注意点というものは当然異なります。しかし一方で「異ならない」部分も存在しています。

それは

 「集団活動/組織的活動」

にける注意点です。こればかりはほとんどのケース、シチュエーションでまったく同じかあるいは似通った注意点で構成されています。

仕事を進めていく中で発生する問題の多くは

 「コミュニケーション」

関係に集中しているからです。

たとえばエンジニアリングの世界であれば、ソフトウェアでもハードウェアでも「技術的にわからないところがあった」という理由で問題になるケースというものはあるでしょう。ですかこれは根本的な原因ではありません。ただの課題です。

その課題を解決するためにはどうしてもコミュニケーションの質と量が必要になってくるのですが、そもそもここでつまづいたまま実行させているからその先の仕事まで影響が出てしまっているにすぎません。

では、「ミスを防ぐ」だけではなく「周囲からの支援をうまく引き出す」ためのコミュニケーションとはどのようなものがあるでしょうか。

わかったつもりの報連相

ビジネスコミュニケーションのもっとも原始的なフレームワークは「報連相」です。
もっとも原始的な割に、あまり使いこなせている人が多くのないのは以前から申しあげてきたとおりです。

私も過去に散々言ってきました。

過去在籍していた企業組織でも声を大にして言ってきました。

ですが、その言葉に耳を傾けた人というのはごくわずか、おそらく片手で数え切れる程度の人しかいません。それくらいコミュニケーションの基礎をおろそかにしているビジネスパーソンは多いのです。

  1. 指示された仕事のゴールイメージを明確にした。

  2. 大きな仕事については段取りもつけた。

じゃああとは実行あるのみです。

実行する仕事の中身は人によってバラバラですが、どのような職種・仕事であっても実行する際には共通点があります。それは前述のとおり「コミュニケーション」が大切ということです。

 「わかっているよ。つまり『報連相』でしょう?」

多くの人はこう思うかもしれません。たしかに「報連相は仕事におけるコミュニケーションの基本」とよく言われています。

初めて聞いた人のためにちょっと補足しますと、「報連相」とは「報告・連絡・相談」の頭文字をとったものです。これらは一般的に以下のように解説されています。

〔報告〕依頼や指示に対して,その経過や結果を依頼(指示)者に知らせること。
〔連絡〕関係者に仕事上の事実や情報を伝えること。適切に、確実に。
〔相談〕困ったときにアドバイスを得ること。一人で悩まずに早く相談する。

ところがこの「報連相」、わかっていてもなかなかうまくできていないのです。

そもそも報連相という言葉だけを知っていてもあまり意味はありません。

職場での会話には「報告のような連絡」や「報告や連絡という名目だが、実は相談」というものもたくさんあります。報連相の3つのうち、どれか1つに切り分けられるものではありません。

他にも「確認」や「依頼」という言葉を使ったほうがぴったりするコミュニケーションだってあるでしょう。

肝心なのは「報連相」という言葉ではなく、実際にコミュニケーションをスムーズに実施しつつも、齟齬を発生させないために「何を」「どのように」行うかです。

仕事を前に進めるためのコミュニケーションとは何で、どのように行うのかをよく理解していないと、以下のような事が起こります。

  • 「どうしてもっと早く報告しないのか」と上司に叱られた。
     でも「もっと早く」と言われてもタイミングがわからない。
     あまり早すぎると「もっときちんと仕上げてから報告しろ」と言われる。

  • 困っていたので相談したら「自分で考えろ」と言われた。
    相談せずに自分で考えていたら「なんでもっと早く相談しないんだ」と言われた。

  • 連絡しておいたはずなのに、催促したら「そんな話聞いていない」と言われた。

  • 他部署との共同作業。順調だったはずなのに終盤になって上司に

  • 「向こうから『話が違う』と文句言われたよ。どうなっているの?」
    と問い詰められた。

  • 相談する必要性はわかっていても、なかなか行くことができず、時間だけが過ぎてしまった。

  • みんなの予定を確認してミーティングを設けたのに、何もアイデアが出ず、何も決まらなかった。

このような事を繰り返してると、少しずつ、しかし確実にあなたの「信用」は失われてきます。

信用が失われると...

  • 「何やった」「次は何するんだ」「まだか」「いつ終わるんだ」
    「ちゃんと間に合うか」「本当に大丈夫か」
     ...息苦しくなるほど、必要以上に仕事を細かくチェックされる。

  • 納期が2週間後の仕事でも、信用されていないせいで「1週間後に提出してね」と言われる。

  • 指導するより自分でやったほうが早いと思われて「もういいよ、後はやっておくから」と仕事を取り上げられる。

  • 誰でもできるような無難な仕事しか任されなくなる

こういう人をたくさん見てきました。
こうなってほしくありません。

ですから、これから「仕事を前に進めるためのコミュニケーション」は正しく理解しておいてほしいのです。

ここでは、上司や顧客を相手にした内容を例示していますが、上司が部下や他部門とコミュニケーションをとる場合も同様ですし、同僚とのコミュニケーションだって基本的な部分は何も変わりません。

以下は、仕事を実行する中で行われるさまざまなコミュニケーションに共通する、大切な「前提」です。

目的は「仕事を前に進める」こと

報告や相談などのコミュニケーションは、"言われたからやる義務的な対応"でも"念のためのアリバイ工作"でもありません。「仕事を前に進めるための手段」です。

どれだけ多くの言葉を交わしても、その仕事が前に進まなかったら意味がありません。

それだけに最も怖いのは、独りよがりになって一方的なコミュニケーションを図ろうとしてしまうことです。目的が「仕事を前に進めるため」意外だと感じた場合は要チェックです。巻き込まれているなら早々に離れましょう。自身が過ちを犯しているのなら早々に目的外のコミュニケーションを止めましょう。

相手の立場に立ったコミュニケーション

コミュニケーションには必ず相手がいます。

「自分が言いたいことを言うだけ」
「伝わっているはず」
「わかってくれているはず」

というような自分の立場でしか考えていないコミュニケーションでは、思うように仕事は進みません。

自分の伝え方が適切かどうか、相手の立場に立って考えたことはありますか?

ちゃんと伝わらないと、相手もどうしたらいいかわかりません。
「伝える」方法なんて何でも構わないのです。
重要なのは

「確実に伝わる」

ことです。

コミュニケーション自体は必ず聞き手がいて成立するものですが、周囲の支援をうまく引き出せない理由の多くは「伝える内容」ではなく「伝え方」にあります。

特に、お客さま相手であればちゃんとできるのに、社内の人間相手になった瞬間、どこか気が抜けるのかフランクなコミュニケーションを図ろうとする人もいますが、これはNGです。

お客さまにそうしないと伝わらないレベルのコミュニケーションは、社内の要員であっても同じです。これは、どこか「わかってくれるはず」と言う甘えが出てしまっているために起きる悪癖です。


話し合いを始める前に

企業や組織の中で毎日のように行われるものの1つに、会議・ミーティング・打ち合わせといった「話し合い」があります。

仕事の中には、直接顔を合わせて話し合う局面がたくさんあります。

しかし「とにかく会って話し合えば、何とかなる」というものでもありません。それは話し合いという場を隠れ蓑にして、自分以外の誰かに解決を丸投げしていることにしかなりません。

 「そこそこ盛り上がったが、何も進展しなかった。上司になんて報告しよう...」
 「全然意見が出てこない。みんな白けている。早く終わらないかなあ...」

このような話し合いを避けるためには、何に気をつければいいでしょうか?
以下は、話し合いをする際の留意点です。

新人や若手社員の場合は、たくさんの人が集まる話し合いの主催者・進行役になる機会はまだ少ないかもしれません。それでも、参加者の一人として知っておいたほうがいいことがありますし、進行役をする準備をしておいて損はないはずです。

ゴールイメージの共有

話し合うこと自体が目的ではありません。
話し合いは、仕事を前に進めるための手段として行われるものです。

では、"いい話し合い"とはどのような話し合いのことを言うのでしょうか?

話し合いのゴールイメージ、つまり「この話し合いが終わった時、何がどのような状態になっていれば、いい話し合いだったと言える」のでしょうか?

 「○○について参加者全員が理解できた状態」
 「△△に関するアイデアが10個以上出た状態」
 「☆☆の役割分担をして、各自がこれから何を実行すればいいか明確になった状態」

... 話し合いにもゴールイメージがあります。

時間の無駄になっている話し合いの多くでは、ゴールイメージを共有しないまま「まず○○の件ですが...」と話を始めてしまっています。

ゴールイメージを共有しやすい話し合いには、アジェンダやレジュメが用いられることも多くあります。打合せの内容、主旨、ゴールを明確にして、事前に参加メンバーに通達することで、話し合いの目的をブレなくする効果が期待されるからです。

問いの共有

話し合いの目的が何かしらのアイデア・意見・結論を生み出すことである場合、何を話し合うかを「問い」の形で共有すると、参加者の意識がそろいやすくなります。

たとえば複数人で進めていた仕事でトラブルが発生し、話し合いがもたれたとします。

問1:「なぜ、トラブルが発生してしまったのか?」(原因の究明)
問2:「解決の仕方にはどのような方法があるか?」(解決策を出す)
問3:「誰がどのようにトラブルを解決すればいいか?」(役割分担)

参加者の持っている問いがあいまいすぎたり、バラバラだったりすると、話し合いはうまく進みません。

進め方の共有

話し合いの途中で下記のような発言が出て、進行が乱れてしまうことがあります。

 「そもそもこんな事を話し合って意味あるの? まずは○○について話さないと」
 「これ以上意見を出してもしょうがないよ。他に話すべきことがあるのでは?」

進行が乱れるならまだいいのですが、このような事を思っていても口に出さない人のほうが多いかもしれません。それで終わってから全員が「結局何だったのかねえ」と後味が悪くなってしまいます。

話し合いの初めに、ゴールイメージだけではなく"進め方"についても共有しておく必要があります。

 何から順番に話し合うのか
 時間が限られているなら、どの議題を優先させるのか

同じテーマであっても「大枠から話すのが好きな人」もいれば「細かい所から話すのが好きな人」もいます。進め方を合意しておけば、参加者の不安やストレスを減らすことができます。

こうしたコミュニケーションのいろはをしっかりと身につけておけば、多少の技術力や仕事能力の差は簡単に埋まります。Doにおいて、Planで立てた計画通りにしっかりと進めたいのであれば実力不十分な自分、実力十分でも思い込み等で誤るかもしれない自分を過信することなく、周囲との協調や支援を受けやすい環境づくりが重要であることを知りましょう。

相手に何かを求めるだけのコミュニケーションというのは、ただの傲慢でしかありません。信用や信頼もいずれ失われていきます。そうなれば、仕事のいたるところにひずみが生じ、いずれは何も進まなくなっていくかもしれません。

「コミュニケーション不良」はビジネスの柱を食いつぶすシロアリのようなものです。

気が付いたら組織内外での情報共有すらままならなくなっていた…なんてことにもなりかねませんので注意しましょう。

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