せっかく頑張ったのにやり直しになるのはなぜ?
仕事のステップ分け、すなわちWBS化が必要となる複雑な仕事や長期間の仕事では、途中でつい目先のタスクに没頭してしまい、本来の目的を見失いがちです。
どのような場合においても同じことが言えますが、仕事を始める前にはまず
「その仕事の目的」
(=なぜその仕事が必要なのか)
「その仕事の目標」
(=何を求められているのか)
を明確にしておきましょう。
目的がはっきりしていれば、もし途中で迷ったりつまずいたりしても、進むべき方向を見つめ直せるようになります。個人の仕事でも、プロジェクトでもなんでもそうですが
「目的」と「目標」
がハッキリしないまま進めて、大成功を収めた例を私は知りません。
たとえば、コンサルティング会社に入社したAくんがあるビール会社の売上向上を目的としたプロジェクトに配属され、上司から「ビール業界の動向を調査しておくように」と指示されたとします。
Aくんははりきって情報収集に臨みました。しかし、本やインターネットを調べているうちに、さまざまな情報やデータを読むのが楽しくなってしまい、いつの間にか情報収集そのものに没頭してしまっていました。
その結果、期限までに調査結果をまとめることができず、集めた情報やデータを並べただけのレポートになってしまい、当然Aくんは上司からはキツく叱られました。
一般的に、業界動向を調査する目的は、
競合相手や顧客ニーズなどを調べて整理し、
自社の方向性を考える"参考"にすること
です。そこにつながらないようでは、いくら頑張って情報を集めても結果は薄っぺらいものになってしまいます。それでは胸を張って「仕事をした」とはいえません。
こうした失敗を防ぐためには、最初に整理・設定した仕事の目的を、途中途中で
「今やっている内容は目的から外れていないか」
「今のまま進んで問題ないか」
と確認するタスクを入れ、自問自答しながらチェックしていくしかありません。これはプロジェクトでも同じですね。PDCAを小サイクルでまわし、自らの進め方が当初の目的や目標の達成につながっているかどうか評価し、見直そうとするのと同じです。
この見直しをできるだけ小さいサイクルで実施できるかどうかは、そのまま活動の成否確率に大きく影響を与えます。
先の例で言えば、期限までの間に、
「売上向上策を考える上で参考になる資料になっているか確認する」
というタスクをあらかじめ設けておくべきだったのです。面倒ではありますが、どんな仕事でも目的から外れたら成果は0点です。
どれだけ忙しくても必ず行う重要タスクのひとつとして、スケジュールに入れておきましょう。自分の判断や行動の点検は、ひとりだけではついつい後回しにしてしまいがちなので、上司や先輩にお願いしてふたり以上で確認するようスケジューリングするとより確実です。
これは「プロセス志向」のビジネスができているかどうかを見ていればよくわかります。
ちなみに。
私がマネジメントする際にはこの「面倒くさい」イテレーションをサイクルさせることもあらかじめタスクとして計上していますので、それができないスケジュールなんて決して組みません。
だから「忙しい」「時間がない」を理由に、サイクルしないとかできないということもありません(例外が発生した場合はもちろん除きますよ?)。