別の部署で同じような失敗を繰り返す
人はあるものごとについて理解するとき、一つひとつの小さな要素に分解して考えます。ごく少数の天才をのぞき、ふつうの人は系統立てを行い、下図のような「樹木構造(ツリー構造)」に一つひとつの要素を整理しなければ
なかなか全体像まで理解できないものです。
樹木構造は頭を整理して理解する方法として、すぐれたものです。
樹木構造とは
リストの場合はデータが横1列に並んでおり、各データには「前のデータ」と「後ろのデータ」がありますが、これに対して、樹木構造というのは、1個のデータ(根 root)から枝分かれしていき、各データにちょうど1個の親(parent)と複数の子供(child)があるようなデータ構造を言います(ただし根だけは親を持たない)。
プログラムの世界では、二分木とも言われ、データベースアーキテクチャの基礎中の基礎にもなっているため、度々お目にかかることもあるでしょう。
また、マネジメントにおいても、仕事(Work Package)の構造化では、同じ樹木構造を用います。
このような人間の思考パターンに対応して、一般的に組織づくりも樹木構造に基づいて行われます。
樹木構造の組織のなかでは、部署ごとに役割を限定して、意図的に横のつながりを分断することがよく行われます。部署ごとの役割だけに焦点を絞って理解していれば仕事の遂行ができるという効率を最優先した考え方…たとえば、営業担当者は製造に関する知識をもたず、逆に製造担当者が営業のことをまったく知らないということが効率優先の組織では見られます。
さらに部署間での競争で業績を上げようとすることも行われたりするため、同じ系統のすぐ隣の部署間でも情報が伝わらなくなることも。この組織構造で上に立つ者には、部署という役割ごとに整理した組織構造は全体像を理解しやすく、命令系統がはっきりしているので、コントロールが楽になるなどのメリットが多々あります。
ところが、失敗情報を共有する対策を打たなければ、別の部署で同じような失敗をただ繰り返すという欠点があります。
今までも幾度となく説明してきたように、
人間は「情報」と「(情報に基づいた)判断」がなければ
正しい行動が起こせません。
(行動そのものが起こせないケースもあります)
「盲目的」「無計画」、そういった行動なら起こせますが、そうして起こした行動の結果は、様々なトラブルを見てきたみなさんであれば、お分かりになるかと思います。
そのため、組織が樹木構造であったとしても、それゆえの弱点を逆手にとって、「失敗」も「成功」も共有できる仕組みや風土ができれば、正しい成長を遂げることが可能になるのです。
しかし、大抵の場合は、評価を気にしたり、自尊心が邪魔したりと言った理由で、情報の伝達や共有に否定的であったり、懐疑的な人も多いことでしょう。ちょっとしたインシデント1つ取っても、報告したがらない人もいます。
「失敗を活かす(活かさせる)」と言う貢献に前向きでない人が、組織の各楔のポジションについていると、組織はそこから腐りはじめ、成長阻害を起こしていってしまいますので、気を付けてください。