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業態力を上げる努力が勝敗を分ける


宇宙一外食産業が好きな須田です。

さて、今日は具体的に業態力を上げるポイントの残り二つについてお伝えしたいと思います。

業態力の大きな3要素はQSCです。
QSCとは、
Q=QUALITY 品質のことを指します。
S=SERVICE おもてなしのことを指します。
C=CLEANLINESS 環境を整え維持することを指します。

前回はQ=商品について解説しましたが、今回はS=サービスとC=クレンリネスについてです。

先ずサービスですが、一般的にはおもてなしとか具体的なやり方のお話をする方が多いのと思いますので、私は違った方向性でお話しをさえていただきます。

これは、実際に私がホールに立っていて、その後は多くのアルバイトさんのトレーニングを担当して気付いたことです。

それは、サービスにおいて一般的なマニュアルはほぼ機能していないということです。


特に、店舗オペレーションを、作業内容を伝えるようなマニュアルでは実効性が低いということです。

姿勢と発声と、接客用語をただ伝えるだけでは、優良なサービスを提供することと程遠い作業員しか育ちません。

サービスの基本は微に入り細に入り心配りを行動でお伝えすることです。


そこで、理念教育を始めにシッカリと行わないと、作業員になるのが関の山です。

理念を落し込まないとサービスマニュアルは作業マニュアルになってしまします。


その作業を行う本質的な意味と、意図と成果を落し込まないと作業としての身体的な行動をのみを覚えて、アルバイト本人も教育をした担当者も“良し”としてしまいます。

そこで間違ってしまいます。


作業をする意味と意図を具体的に伝えて、その次に身体的な行動を伝えます。
すると、完成度が短期間で高まっていきます。
その行動の要求されている本質を理解してから具体的な行動を起こすので、ゴールが明確な分、早く身につきます。

例えば接客用語を例にすると多くの企業は、“笑顔で明るく大きな声でハッキリと”、と、伝えると思います。

これでは、発生する声の事ばかりに行動も意識も集中しており、本質的な意味と意図が伝わっていません。

すると現場では何が起きるのかと言いますと、ただ大きな声を張り上げて


「いらっしゃいませ~」と、


感情もなく大声をあげるようになります。

最初は笑顔もありますが、疲労が蓄積されていくとドンドン笑顔は無くなってきます。

時間にすると21時あたりから、笑顔が消えて無表情で作業のみとなり、何故か従業員同士では抜群の表情と笑顔で話しだします。
つらい状況を共有している同士の慈しみあいの感情の笑顔が溢れて来ます。

その笑顔をお客様に!と何度想ったことか。

接客用語で必要なことは言葉の強弱ではなく、おもてなしの気持ちをお伝えすることです。


席について楽しくお酒と料理を楽しんでいるときに、隣でアルバイトさんが無表情で大声で
「いっらっしゃいませ~」と叫ばれると、一瞬イラっとしませんか?

私はそんな無表情でどちらかといえば不機嫌そうに“いらっしゃいませ~”と言われても、このお店に来てよかったぁ~ 暖かくお迎えされたぁ~ とはならないと思います。


業態力を上げるサービスに必要な要素は、理念の浸透です。


作業精度を上げたいのであれば、理念を浸透させ何故その作業を行うのか、その作業の本質的な意味と意図は何かを理解して頂き、行動に移すことが業態力を上げるサービスとなります。

テーブルを拭いているところを頻繁に見かけますが、テーブルのセンターだけを拭く、上に乗っていたゴミも食べ残しもテーブルの下に落す、テーブルに汚れが残っていてもお構いなしにお客様を通すシーンを何度も見ています。

きっとこのお店の教育担当者は、テーブルを拭くことを教えてはいますが、テーブルを拭く本質的な意味と意図を教えていないから、このようなことが発生してしまいます。

テーブルは拭いていますが、テーブルはきれいにはなっていません。

これでは本末転倒です。

きれいにするつもりが、汚れが残りお客様には悪感情が発生しリピートになる可能性は低くなります。

お客様に綺麗な状況のテーブルで楽しくお酒を楽しんで頂きたいと思っていたにも拘らず、教育担当者が作業の意味と意図を正しく伝えていないので、どんどん作業の質は下がり雑になっていきます。

業態力を上げるためのサービスはまず理念を落し込み、その一つの作業の意味と意図を浸透させ正しく身体行動に連動させることです。

仮に3,000円の業態で5,000円の業態が行っているサービスを行うと、業態力は上がっていきます。

次はC=クレンリネスについてです。

実は飲食業に従事する方でも意味を間違って捉えているかたが多いのがクリンネスです。

クリンネスは汚れの無い清潔な状態を指しますが、クレンリネスは汚れが無く清潔な状態を維持することを言います。

クレンリネスとは清潔で安全な環境を維持していくことを指します。

このことを勘違いしている方が多いですが、環境を整え維持することは思っている以上に大変ことです。

理由は毎日同じ景色を見ているので、脳が多少の変化を認知しなくなってくるためです。

テレビで30秒とか1分かけて画像の一部が変化するのに気づくかという番組を見たことありませんでしょうか。

あれが答えです。

テレビでは、変化前と変化後をすぐ表示して変化した場所がわかりますが、お店でそれをやってくれる人はいません。

以前、クライアントの常務と臨店した際に、常務が会計を澄まして店長と業務伝達と注意するポイントを指示していましたが、その常務が今支払いをしたレジ台に蜘蛛の巣が張っていること、ケーキケースの上の天井にも蜘蛛の巣が張っていることには全く気付いていませんでした。

そのことを常務にお伝えすると、店長に対して烈火のごとく怒っていましたが、ここは怒る場面でなく、このような状況が再発しないようなルール化を再構築するべきであるとお伝えしました。

クレンリネスとは何かを再認識して、
仕組み化することが大事であるとお伝えしました。


勿論、蜘蛛の巣はその場ですぐに取りましたが、ランチ営業中でしたから、ピークが過ぎたとはいえ多くのお客様がいる中での作業にヒヤヒヤしました。

クレンリネスとはルール化が肝になります。


清掃作業の基準を設定している企業も多いと思います。
トイレを利用すると、清掃チェックリストが貼っていることがありますが、チェックはついていますが、清潔な状況ではないことが多々あります。

小便器の周りには的を外した残骸があり、大便器には汚物がこびりついていて、洗面台は水浸し、ゴミは溢れている、でも、10分前にチェックされているトイレ。

10分でここまで汚れたのかと思うようにしていますが、恐らくそんなことは無いと思います。

形式的にトイレチェックはしますが、忙しいと清掃までは手が届かないのが本当のところです

ですから、無意味なトイレチェックをするのでは無く、ポイントを決めて行うことをおすすめしています。

漠然としたトイレチェック表を、清掃する箇所を表示したチェックリストにすることで、解消できる場合が多いです。

小便器・大便器・洗面台・蛇口・鏡・ゴミ箱・異臭などと明記して、時価帯ごとにチェックする個所を決めて、清掃することを推奨しています。

7時には小便器と大便器と、8時には洗面台まわりと便器廻り、9時代には又小便器と大便器にするなど、1度に全ての箇所ではなく、利用頻度に合わせた汚れ具合を鑑みてチェックポイントを変えていきます。

他の箇所も同様に行います。

キッチンを集中的、ホールの床を集中的、窓を徹底する日など、ポイントを明確にして重点的に行う日を決めます。

全ての個所を全力で毎日の清掃は現実的には相当無理があります。
多くの時間が必要になりますし、人件費もかかります。
厨房の清掃が長くなればなるほど仕込み作業の時間が短くなります。

かつて、チェーン展開していた企業をサポートしていた時に、面白い取り組みをしたことがあります。

1店舗限定徹底清掃活動をすることです。


これは、ある1店舗を指定します、そのお店に全店の店長・副店長に集まってもらいます。
人数にして数十名になりますが、その全員が手分けしてその1店舗を隅から隅まで掃除します。
時間は1時間限定、9時に始めて10時には完了、移動して11時は自店を開けることを行っていました。

たった1時間で集中して数十人が一斉に清掃をして、綺麗にならなかった店舗は1店もありませんでした。

グリストラップは底が見えるほど透き通った水が貯まり、グリスフィルターはピカピカになり排気もスムーズになり、店内も店頭も店前の道路も綺麗になります。

担当店舗の店長は、清掃に集まってくれた他の店長に対して最大限の感謝を表現し、集まってきた店長達は、次月は自分の店と考えると、他の店長に恥ずかしく無い様にきれいにしておこうと思うようになっていきました。

それまでは、グリストラップを開けると真っ赤なラー油がびっしりと浮かんでいて、麺も沢山沈んでいる状態でした。

私は、ある店舗でその状況を確認しましたが、清掃を指示するアルバイト君も社員もいませんでした。
オーダーの電話がバンバン入ってきて、とても清掃に時間を避ける状態ではなかったので、私は腕まくりをして、アルバイト君から金ザルを借りてグリストラップをさらいました。

すると、アルバイト君も私の行動に気付き「自分がやります!」と言ってくれましたが、オーダーがバンバン来ていますから、君の仕事の本質はお客様に向き合うこと、今この状況で一番手が空いているのは私なので私がやると、私の仕事の本質は現場のスタッフの環境を整えることなので、私がやると伝え、グリストラップをきれいにしました。

この経験から、店長の一人が一斉清掃を思いつき全店で行うようになりました。

クレンリネスの本質は維持すること、そのことを仕組化することです。


常にお客様をお迎えする環境が整っている、これがクレンリネスの本質です。

業態力を上げるためのサービスとクレンリネスの本質と仕組化についてお伝えしました。

恐らく、QSCについてはこれまでも何度も何度も聞いていることでしょうし、社内でも伝えていることと思います。
しかし、本質を正しく理解すること、組織的に仕組化すること、それが出来なければお題目で終わってしまいます。


組織的な仕組化が出来て初めて業態力は完成度が高まります。

これからは業態力が問われる時代です。

業態力を上げる努力が勝敗を分けます。


明日は、儲けるポイント創りのお話しをさせていただきます。

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