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8人によるポップコーン映画 / 「ヘイトフル・エイト」

ポップコーンを食べながら頭を空っぽにして楽しめる映画といえば、クエンティン・タランティーノ監督の作品が最適だろう。以前に「ジャンゴ 繋がれざる者」についての記事でも書いたことだが、タランティーノ監督は本人が映画マニアゆえ、とにかく観客を飽きさせないように暴力と会話と素早い展開で楽しませてくれる。やれ人種差別の問題がどうの、やれ現実の世界ではどうの、そういうくだらないことを言う連中を置き去りにする、究極のポップコーン映画である。

2015年の映画「ヘイトフル・エイト」は、その3年前に公開された「ジャンゴ 繋がれざる者」と同じく、いわゆる西部劇に当たる。もちろん今回の主役も黒人であるマーキス(サミュエル・L・ジャクソン)だ。このマーキスがひょんなことから賞金稼ぎのルース(カート・ラッセル)とイカれた女デイジー(ジェニファー・ジェイソン・リー)に出会い、吹雪の中で小屋へ逃げ込むと、これまた様子のおかしな連中がやってきて、あわせて8名の男女がそこで発生するトラブルに対処するーー、という、ミステリーの要素もある作品である。
ティム・ロス、マイケル・マドセン、ブルース・ダーンと、脇役も個性豊かな俳優でかためていて、168分があっという間に過ぎてしまう。何も考えなくて良いエンターテイメントである。
とにかくタランティーノ監督の作品は展開が早い。長回しもなければ長いセリフもなく、それぞれの登場人物たちが矢継ぎ早に会話をし、さっさと銃を撃ち、次から次へと問題が発生していく。深く掘り下げることなく、水面をホッピングするようにシーケンスが続いていく手法は「パルプ・フィクション」からの伝統芸だろう。きっとタランティーノ監督は、ダラダラした映画が嫌いなのだ。
そういえば、スーパーヒーロー映画について問われたタランティーノ監督は、「僕は職探しをしているわけじゃない」と関わることを否定しつつ、既成のキャラクターを撮るなんて退屈だという主旨のことを話していた。才能豊かな映画監督とは、じぶんの頭で考えたキャラクターに動いてほしいはずである。ジョーカーやバットマンのように、原作があるものを撮るなんて金か名声のためだろう。

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