これもノンフィクション / 「グッドフェローズ」
ご無沙汰しました、私事もようやく落ち着きまして、また映画について徒然なるままに書いていきます。そういえばこの間に映画「ジョーカー」の続篇が公開されて大コケし、box office bomb(興行が大失敗した作品)になること確実のようですが、あの映画を罵倒していた僕としては当然の結果だと感じています。
さて、久しぶりの投稿はギャング映画の名作、1990年に公開された「グッドフェローズ」だ。マーティン・スコセッシ監督のさすがの手腕によって146分という長さをあまり感じさせない物語になっている。この映画はもともとニコラス・ピレッジという作家の書いた Wiseguy: Life in a Mafia Family という1985年に出版された伝記が原作である。ヘンリー・ヒルという名のアイルランド系かつシチリア系の男がマフィアの構成員からやがて捜査機関の情報提供者になるまでの経緯を描いた作品だ。アメリカはこうしたノンフィクションが本当に充実している。「アイリッシュマン」も原作はノンフィクションである。
ヘンリー・ヒル役は本作が出世作となったレイ・リオッタ、ジミー役にロバート・デ・ニーロ、トミー役にジョー・ペシと、出演する俳優は実力ある者ばかりだ。ちなみにジョー・ペシは本作の数年前に「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」にも出演しているが、アカデミー助演男優賞は「グッドフェローズ」で受賞した。
スコセッシ監督は主人公ヘンリーの人生をじっと追いかけていき、エピソードの時系列を入れ替えたりしないので観やすい作品に仕上がっている。ギャングという立場ゆえ、殺すか殺されるかの瀬戸際まで追い詰められていく過程はまさしく"映画向き"の展開だ。「ゴッドファーザー」のようにボスが主役ではなく、ヘンリーという若者のパシリが成り上がっていきつつ没落していく様子が描かれているので、「グッドフェローズ」の方がやや感情移入もしやすいだろう。コルレオーネ家はあまりにも銃弾が飛び交いすぎた。しかし、実際のマフィアとはそんなものなのかもしれない。
ロバート・デ・ニーロの演技は明らかに「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」の方が良かった。マフィア役にも慣れてきたのか、「グッドフェローズ」ではジミーという男にはあまり見えず、ロバートが演技しているという印象だ。
原題は GoodFellas である。悪さをはたらく者が使う"身内"という表現だ。邦題がグッドフェラズにならなかった理由は何となく察していただけるだろう。ギャング映画で5本指に入る佳作である。
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