「The Storied Life of A.J. Fikry」by Gabrielle Zevin / レビュー
The Storied Life of A.J. Fikry
by Gabrielle Zevin
【作品情報】
ジャンル:フィクション、コンテンポラリー、ロマンス
出版:2015年(Abacus)、初版2014年
ISBN:9780349141077
キーワード:本、書店主、本屋、本が登場する物語、マサチューセッツ、島、恋愛、子育て、中年男性、家族愛
【あらすじ】
本好きによる本好きのための本屋をめぐる本と人々の物語。
島に1つしかない小さな本屋さんの店主AJは、妻に先立たれて39
歳にして独りぼっち。島の人々とも疎遠になり、気難しい性格になっていた。さらに、売って退職金にしようと思っていた貴重な本も盗まれてしまう。そんな彼のもとに、ある日2歳の赤ちゃんが突然現れた。その子をMayaと名付け、養子として育てていくうちに、AJは少しずつ自分を取り戻していく。
【感想】
本屋は、本と人とをつなげるだけでなく人と人ともつなげる場所であり、地域にとって必要な場所なんだと思いました。突然舞い込んできた赤ちゃんのMayaは本に囲まれて育ち、作家に憧れ、AJを取り巻く島の人々はAJを通して本に興味を持ち、読書の幅が広がり、本屋ではイベントが開かれるようになり、数多くのブッククラブの集会が開かれるようになる。AJが変わっていくうちに、少しずつ本屋を取り巻く環境も変わっていくところが魅力だったように感じました。本筋は「妻を亡くして塞ぎ込んでいたAJが、女性と出会い、赤ちゃんを育てながら再生していく物語」ですが、「本と本屋と人々の関係」が私は魅力に感じました。
各章のタイトルが小説の名前になっていたり、その本を娘のMayaに薦めるAJのひと言が各章の冒頭に書かれていたりするところもよかったです。島の人たちそれぞれが多かれ少なかれ、本で人生が変わり、本屋によって結び付けられていたのが素敵でした。サスペンス的な要素も少しあり、本をめぐる温かい会話もあり、友情や愛を感じる物語でした。
【印象に残った言葉】
【訳書情報】
邦題:「書店主フィクリーのものがたり」
著者:ガブリエル・ゼヴィン
翻訳:小尾 芙佐
出版:2017年(早川書房)
ISBN:9784151200939
洋書レビューの記事をまとめています↓↓↓