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【#4】一隅を照らす

〈この記事を書いた人〉
Kai Nishitomi
1988年生まれ。兵庫県神戸市出身。
大学在学中の21歳で起業し学習塾を設立するも、力不足により廃業。
改めて自身の指導や塾経営を磨き直し、26歳で新たに塾を設立。
コーチング型個別指導という新しいスタイルを開拓し、プロ講師として自塾や大手塾で授業を担当。
現在は指導者向けの研修、社会人向けの学習サポート、20代向けの起業・独立支援など活動の幅を広げる。

こんにちは。今回は「新しいことを思いつくための第一歩」という内容で書いてみたいと思います。

僕は最近20代の方へのキャリアサポートにも力を入れていて、キャリアに悩んでいる人からご相談を頂く機会があります。
そこでよく聞かれるのが

「漠然とやりたいことはあるのに、まず、何をしていいのかわからない」という言葉。
うん。ありますよね。
今いる場所でさらに力をつけようとしている時でも、
転職・独立・起業などで活躍の場を移そうとしている時でも。

自分自身がやっていることに自信が持てなくなることや、この先どんな方向に努力をしていけば良いのかがわからなくなることは僕も多々あります。

今回はそんな時に僕が大切にしている言葉。考え方をご紹介したいと思います。もしかすると、考え方の方向性を定めたり、心のあり方を整理する一助になるかもしれません。

一隅を照らす

それがこの「一隅(いちぐう)を照らす」という言葉です。
かの有名な最澄の言葉だそうです。

「一隅」が「隅っこ」という意味と「自分が今いる場所」という2つ
「今いる場所を照らすような人になりなさい」
という意味です。

僕はこの言葉を大学生の時に知ったんですが、
たまたまというべきか、必然というべきか、
僕のこの業界での師匠みたいな人も大切にしている言葉だったようで。
その師匠は元号が令和になったのと時を同じくして亡くなってしまったのですが、そういうご縁もあり、折に触れて思い出す言葉になっています。


あくまで僕の場合ですが、やるべきことを見失う時というのは
いきなり結果にワープしようとしている時
です。

僕は塾業界の人間なので、例えば自分の指導技術についてだったり、塾の雰囲気や経営状態であったりなんですが

「こういう状態になりたい」
(でも、今、そうでない)

という感情が先走りすぎて、一手でその状態に至ることを狙ってしまっている自分がいます。そんなことできるワケがないんですが笑

そういう時はこの言葉を思い出して

「目の前のたった一人の生徒の役に立つ」

ということに意識を集中するようにしています。
一度脳みそを空っぽに、頭を柔軟にして

「この生徒は何のためにウチに通っているのか?」
「自分がこの生徒に注げる時間の使い方は、本当にこれでいいのか?」

みたいな根本のところから問い直して、本当の最善を探すようにしています。その時には既存のサービスとかコスパとかは度外視します。
これから新しい学習塾を立ち上げるかのように考えます。
すると

「指導にこういう手法を取り入れた方がいいかな?」
「こういうアプローチをした方がいいかな?」
「こういうフォーマットを作ってあげた方がいいかな?」

みたいなアイディアが出てきます。
そして、それらを片っ端から実行します。

生徒にも

「こういう意図でやってみたんだけど、どうだった?」

みたいなことを聞きまくります。

目の前のたった一人に、徹底的に向き合う

すると、10発中1発ぐらいは

「めっちゃやりやすくなりました!」
とか
「めっちゃ使いやすいです!」

みたいな感想を貰えることがあります。

そして不思議なことに、たった一人のために考えたはずの指導スタイルやツールは、他の生徒にもウケが良いのです。

たった一人の最善を追い求めてつくったものは、意外と蓋然性がある。

というのは僕はよくあることだと思っています。
むしろ僕がやっているサービスはそうやって作り上げたものばかりで、
繰り返していくウチに
・周りがやっていないことをやっている
になり
・差別化の強み
になりました。

自分のスタイルは自分で作れるか?

僕は塾業界において独自のスタイルを持っています。
多分業界内では珍しい技術を使って珍しいことをやっています。

それを構築するためにたくさんの努力や試行錯誤をしてきた自負があります。教材も専門書も論文もたくさん読みました。
実は硬派で理論派なので、ありとあらゆる領域から知識をインプットしまくりました。

でも、今振り返ってみても、僕の持っている技術やスタイルは結局
生徒に教えてもらってできたもの
だと思っています。

「周りと違うことをしよう」
とか
「自分のスタイルをつくろう」
とか思ったことは一度もなくて、

ただ目の前の生徒に
「何に困ってるの?」
「どうなりたいの?」
「俺は何をしたらいい?」
と尋ね、そこから対話を重ねていったら自然に出来上がっていたものです。

硬派で理論派なわりにアホな僕は、その事実をよく忘れます。

これを忘れてしまうと途端に自分がやってることに自信が持てなくなって、自分がどこに向かって努力すべきなのかわからなくなってしまいます。

それを思い出すための
「一隅を照らす」

僕にとってのこの言葉は
「今いる場所で、精一杯周りの人たちの役に立てるようにしなさい」
という意味に留まらず
「お前が持っているものは、誰にもらったものか忘れるなよ」
という意味も持っているような気がします。

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