「恋愛ワードを入力してください」 - 平行線を辿る恋の酸いと甘いを噛み締める
★★★★+
「今、別れの途中です」を観始めたところ、単純なので「チャン・ギヨンめっちゃかっこいいな!?」となってしまいこちらも観始めました。これまたバリキャリ女子と年下男子の恋愛モノで(どちらが先かは置いておいて)既視感のある作品ではありますが、期待以上のときめきを供給してくれる一本でした。
ポータルサイト業界1位の「ユニコーン」でサービス戦略本部長を務めるペ・タミはまさにバリキャリな38歳です。しかし、会社が急上昇ワードを恣意的に操作した疑惑を向けられ、その渦中で不本意に解雇されることになります。しかしちょうど業界2位のライバル会社である「バロ」の社長からスカウトを受け、「バロ」を1位にするべく転職。一方でゲームセンターで知り合って意気投合した男と酔った勢いで一夜を共にしてしまいます。この男が実はゲーム音楽会社の代表をしていて、まさかの仕事場で再開を果たすことに。この男・パク・モゴン、タミより10歳も年下なのですが、すっかりタミが気に入ったようで「キープでいい」なんて言いながらズカズカとタミの心に入り込んできて…。
まさに王道な設定と展開である意味もう間違いがない感じなのですが、お仕事ドラマの側面もわりとしっかり描いているので邦題から受ける印象と実際に観ると違うという韓国ドラマあるある(原題は「検索ワードを入力してください WWW」)。
重要な登場人物のひとり、チャ・ヒョン(イ・ダヒ)は見た目から気の強い美女で「バロ」のソーシャル本部長であり、初めはタミと正面からぶつかるのですが、芯のある正義感の持ち主でもあるので次第にタミとバディのようになって行きます。痴漢をボコボコにして前科がついてしまっているくらいの喧嘩っぱやさを誇るヒョンが、タミに呼ばれてタミを陥れた相手に復讐すべくバットを担いで登場するシーンが大好きです(そして相手の車をバットで破壊するふたり)。強くて逞しくてちゃんと大人な女性たちが、大人なりの計算をしながらも無茶をする姿は見ていると胸がスッとしました。
一方でロマンスもユーモアとウィットに富んでいて、モゴンのアプローチに揺れながらも見た目はどっしり構えているタミはカッコよく、普段は切れ者な感じのモゴンがタミを慕う様子は急に可愛らしく、年下男子との理想みたいな恋愛模様。
ただし、ふたりはわりと決定的な価値観の違いに苦しむことになります。ここがリアルというか、お互いに間違いなく好きなのだけど、本質的な考え方が完全に平行線で詰んだ状態になってしまっているときの恋の辛さが途中からずっと描かれていくのです。もちろん年の差もあって、今を楽しむのか、それとも未来を思って断ち切るのか。明確な答えが出るわけではないのですが、それでもやっぱりこのふたりはお互いでないとダメだと思える主役カップル。良い結末にたどり着いて安心しました。
サイドで展開するその他のロマンスも、色合いは違いますがそれぞれ愛があってなんだか癒されます。基本的には女が強くて男は度量が大きい印象なせいもあるかもしれません。
音楽はMAMAMOOなどが参加しており全体にスマート、アメリカっぽさを感じるというか、IT業界という舞台に似合う仕上がりです。そのあたりも含めて、地に足のついた人物描写と後味の爽やかさのバランスが良く、思いのほかお気に入りの一本になりました。
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