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「浪漫ドクター キム・サブ3」 - シーズンを重ねるほど贅沢に味わい深く成長する物語

★★★★★

シリーズものとして円熟の境地を感じさせるシーズン3。1話ごとの話の山谷はもちろん、前シリーズから続く人間模様も味が滲みて「間違いない」仕上がりになっています。「ドクターX」のような天才医師無双もあり、「コード・ブルー」のような緊迫の事故現場あり、それぞれの過去を抱えた登場人物たちの群像劇でもあり、ロマンスとしての仕上がりも上々。舞台であるトルダム病院のどこかファンタジーな雰囲気が全体をシリアス過ぎない世界観で包んでくれているのでとても観やすいドラマでもあります。あとめっちゃいい場面で流れてる曲がめちゃめちゃいい曲だし聴いたことあるなと思ったらSEVENTEENのスングァンですね。OSTも良き。

シーズン3の舞台はシーズン2から3年ののち。

トルダム病院はコサン大学病院の分院ではなくなり、コサン大学財団からの干渉を受けることもなくなっていました。キム・サブは院長として残ったパク・ミングク(キム・ジュホン)とともに3年以内にトルダム病院を「政府支援の外傷センター」 にするという目標を掲げ、相変わらず慌ただしく過ぎていく日々。

ある日、海洋警察の連絡を受けて出動したソ・ウジン(アン・ヒョソプ)、パク・ウンタク(キム・ミンジェ)、チョン・インス(ユン・ナム)は、脱北し銃で撃たれた人々の救助にあたります。そこへチャ・ウンジェ(イ・ソンギョン)が探してきたキム・サブも到着。神業のような処置を披露し、その後2次手術が必要な患者を非公式にトルダム病院へ移送することになります。そしてまだ正式にはオープンしていない外傷センター第一号の患者として受け容れることに。

手術を終えたウンジェが帰宅するとそこにはウジンが。実はふたりはついに同棲を開始していたのです。そんな中で外傷センターにミングクがスカウトしてきた高名な心臓外科医であるチャ・ジンマン(イ・ギョンヨン)が訪れます。キム・サブとも知っている仲の様子のジンマンでしたが、驚いたことに彼を見たウンジェの口から出てきたのは「お父さん…」という言葉。初っ端からロマンスの波乱を含みつつ、物語は相変わらず重厚な手術シーンとどこか浮世離れしたキム・サブ、トルダム病院の面々が繰り広げる「らしさ」全開のスタートを切ります。

今シーズンは外傷センター側での描写も多いため、これまでのトルダムとはまったく違って近代的な院内の風景が増えます。それとトルダム側のレトロな空気との塩梅が飽きさせない画面づくりになっているように感じました。またキム・サブは前シーズンから手の不調を伺わせており、それもあってか彼自身が無双するというよりも他の若手医師たちが奮闘・成長する様子が強く描かれるように。より群像劇としての広がりが出ています。

ウンジェとウジンの恋も3年を経て序盤からラブラブ全開なのが嬉しいところ。恋愛ドラマでもバリバリ主役を張るふたりなので、このラインだけでも充分に楽しめます。しかしイ・ソンギョンは「恋はチーズ・イン・ザ・トラップ」のプッツンキャラのころからは考えられないほどど真ん中堂々たるヒロインに。ハンサムで優秀な女子の役がよく似合います。アン・ヒョソプも直球イケメンも良いのですが、どこか陰がある静寂を纏ったキャラクターが結構ハマる気がします(声のトーンがいい)。

過去シーズンのメインキャラクターが満を持して再登場するなど、人気シリーズならではの展開もあり、いろいろな側面から困難に見舞われ続けるトルダム病院はエピソードが尽きることがありません。キム・サブという天才を中心に据えた物語でありながら、時に助けられず亡くなる患者もおり、ファンタジー過ぎないからこそ人を救うという絶対命題が際立つ力強いドラマです。最後の最後、シーズン1のヒロインであるユン・ソジョン(ソ・ヒョンジン)が舞い戻るシーンで終わるのでさらなる続きへの期待も高まりつつ(ソ・ヒョンジンとても好きです)、まずはシーズン3の大団円を噛み締めたいところ。様々な観点で贅沢に楽しめ、安心して結末を迎えられる実に貴重な作品だと思います。

▼非常に良いシーンで流れるこの曲



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喜怒哀楽ドラマ沼暮らし

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