「医師ヨハン」 - 無邪気で孤独な天才医師のエンタメ度高め医療ドラマ
★★★★+
観るとしみじみかっこいいなと思わされるチソン。このドラマもなんとなく見始めましたが、早々にチソン演じるヨハンのキャラクターにどっぷりハマってしまいました。しかもヒロインがイ・セヨンなのもツボ。チソンの存在感に負けない強くて華やかな演技が素敵でした。
原作は「神の手」という日本の小説で日本でもドラマ化されたようですが、もともと「安楽死」にフォーカスした社会派な感じのサスペンス作品なのかな?と思います(未見なのでなんとも言えませんが)。この「医師ヨハン」は、その基本線は保ちつつ、ヨハンの天才医師ぶりや特殊な背景、患者たちの抱える難しい病、ヒロインとのロマンスなどドラマっぽい要素が多分に盛り込まれているので恐らく別物な仕上がりという気がしました。医療ドラマの中でもファンタジー寄り。私は結構その感じは好きです。日本のドラマでも「最上の命医」とか好きでした。
あらすじは以下。
父の友人から刑務所の医療スタッフとしてアルバイトに誘われたシヨン。彼女はまだレジデント2年目ですが、とあることをきっかけに医師の道を諦めようとしていました。一旦その刑務所にやってきて仕事を始めたシヨンが突然倒れた囚人を前に診断を下せず困っていると、脇にいた別の囚人が病名を呟きます。どう考えても医者、それもかなりの実力者であることを感じさせるその囚人は、3年前に患者を安楽死させた罪で服役している医師のヨハンでした。
変わり者だが天才的な診断能力を持つヨハンの指示で患者の命を救ったシヨンは、その経験に感じるものがあり再び医師として病院に戻ることになります。するとそこでヨハンとまさかの再会を果たすことに。医師免許を再取得したヨハンのもとでシヨンのレジデントとしての生活が始まります。
物語の特に中盤までは病気の「診断」にスポットがあたっています。難病や珍しい病気に対して、症状や状況から病名を特定していくまでの過程でヨハンの卓越した能力が表現されるのですが、必ずしもひと目見て判断してしまうようなわけではなく、周囲にいるシヨンたちレジデントや他の医師たちも巻き込んでいくのです。その姿は無邪気ですらあり、「診断オタク」みたいな雰囲気も。ヨハンは内心があまり見えない上に刑務所にいたので謎が多いですが、基本的には患者を救うことが全てに優先する自由人といったキャラクターです。
次第に彼の背負う独特な孤独についても明かされていきますが、それとともに今度はシヨンとのロマンスが芽吹いていくことに。始めは反発していたがやがて尊敬、そして愛情に変わる王道パターンではあるのですが、シヨンがヨハンに抱く感情の変化はとても納得みがあって私はこの恋愛ラインもなかなか好きでした。結構ブレないヨハンのスタンスもまた良し。シヨンを物珍しそうに、でもなんだかんだ愛しそうに見つめるときのヨハンは魔性っぽいというか沼落ちの気配がすごいあります…。
難病・奇病がたくさん出てくるのでリアリティのある医療ドラマが好きな人にはちょっと合わないかもしれませんが、全編とおして語られているのはやはり「安楽死」についての考え方でもあり、もちろん簡単に答えが出る話ではありませんが、その局面については多様な視点から真摯に描かれていると思います。誰しもを救えるわけではない医療現場の過酷さも感じました。
最終盤は医療ドラマ特有のラッキー展開もある気がしますが(笑)、いずれにしろキャラクターが良くエピソードの個性も豊か。全部見終わると最初の刑務所のシーンをもう一度観たくなったり、あとから何かとちょいちょい観返したくなりそうなドラマです(ついでにチソンが同じ"ヨハン"という役名を演じていた「悪魔判事」ももう一度観たくなりましたw)。
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