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イタリア&フランス映画in伏見ミリオン座
おはようございます。先日4Kリマスター版で、映像が美しくなって映画館に帰ってきたイタリア映画の「イル・ポスティーノ」を母と観に行きました。
名古屋の伏見ミリオン座は世界の映画を取り扱っていまして、ラインナップが全国系の内容とはひと味違う作品を観たかったらここ、という映画好きのための映画館のひとつです。
「イル・ポスティーノ」はひとりのいい年になって無職の青年が、イタリアに亡命してきたチリの大詩人と出会い、郵便配達夫に就職して詩人への手紙(主にファンの女の人からのラブレター)を届けながら、恋をし、詩人とも友情を結び…、というイタリアの海、島の田舎の風情ある自然とひとの姿とともに綴られる愛の映画。
母との映画の後の語らいも、亡き父とのロマンスになったり思い出になったり。
主人公の郵便配達夫役の方、マッシモ・トロイージさんは、この作品を最後に病死してしまっているのですが、命の輝きは映画となって永遠であること。
うちの父もがんで先立っているので、そのことも鑑賞に深みを増したのかもしれません。
そのときの予告にて、気になった作品ふたつ。
イタリア&フランス合作の、巨匠ナンニ・モレッティ監督「チネチッタで会いましょう」と……。
世界で初めて動きを、描くcinema、のもとになった映像の機械から作って19世紀に当時のひとびとや風景や、さまざまな記録やコメディなどの演出された動画、映像を、残したリュミエール兄弟の「リュミエール! リュミエール!(英題 Lumiere! The Adventure Continues、映画で見たタイトルはリュミエールのあとにla cinema だった、ような??)」を。
昨日伏見ミリオン座で上演になったのを、さっそく見に行ってきました。
この「イル・ポスティーノ」で昔の第二次世界大戦後、それほど間もないイタリアでの共産党に関わる描写と雰囲気を、受け止めておいてからの現代において、同じ共産党時代の映画を作ろうとする人生急にプライベートも仕事も上手くいかない監督が主人公のストーリー「チネチッタで会いましょう」の順番で、ほんとに良かったと思いました。
事前に「チネチッタで会いましょう」のほうの場所や時間を調べていたところ、映画サイトでのこの映画の評価が、試写会で観たけど映画に出てくる共産党のことはよくわからん、という2.5がひとつだけ付いていまして。
なんと言ってもフランス映画のワケワカメとか意地悪さでとんでもない流れだったらどうしよう……。
ハズレでも本命の映画は「リュミエール! リュミエール!」(こちらもフランス映画にはなるのですが、映画としての超・原点のリュミエール兄弟の記録ものなので)を見たいから大丈夫だろう、などという巨匠ナンニ・モレッティ監督に対して大変フトドキな思いで見に行きまして……。
「チネチッタで会いましょう」はイタリア映画としての不思議な温かみに包まれる、イル・ポスティーノから受け継ぐDNAと、フランスの洗練された皮肉も含むディテールのこだわりと、が融合した傑作でした、私にとっては。
確かに共産党のいろいろは馴染みがないというか、現代によく分からない、ということもあるんですが。
決して政治政党の宣伝映画という話ではなく、ヒューマニティ、を描くとは何かを、主人公の映画監督を通じて主題にしています。
詩的表現としての暗喩や隠喩や、比喩に多少なりとも通じていると、これほどに今ここで危うすぎるチャレンジ、とも思えます。危うすぎてそれは何かを言えませんが、ロシアの戦争、という今の現実に対してこの映画のメッセージは、よくよく考えてみるとかなりのチャレンジ。
最近のフランス映画では、実話系のアルジェリアの女性指揮者を目指し、オーケストラを作っていく「パリのちいさなオーケストラ」でも感じたのですが。
現在にも残る差別感情を隠さずに表現し、なおかつその先の融和、融合を理念として描くこと、の気骨を感じます。
差別はある。世界のさまざまな問題もある。それを恐れずに、どう描くか……は、最も作品を描くときに細心の注意を払わなければ世界展開なんてできない核の部分で。最近ハリウッド映画も変わってきましたけど、ほんの少し前まで白人優位で当たり前、な、その価値観で描けば崩れる難しいところです。ユーモアもとっても大事。
そして、記録映画の「リュミエール! リュミエール!」は……ほんとに実写がまずは機械を作ったから、まわりを映像として残してみよう、という今のスマホで短い動画を撮る感覚と同じ素朴さがあり。
そのあと、こうやったら面白いかな、見てもらって面白いと思ってもらえるかな、というアレンジも加わっていく映像の原点が分かります。
しかしながら、それまでの絵画の美しさに影響を受けたであろうと思われるリュミエール兄弟の洗練された、映像としての俯瞰図は、100年以上の時を超えても綺麗だなあ、と思えるものを残しています。
馬車、汽車、汽船、水辺の風景、当時はパリで当たり前のひとびとのシルクハットや燕尾服、ドレス、ピエロの大道芸、家族友人の団らんや赤ちゃんのケンカ、なんか、どこか、のどかで遊んでるぽい訓練中の軍人さんたち、チャップリンにも通じる創作コメディ、子どもたちの遊ぶ姿、猫動画……。
日本の明治に入ったばかりのときの映像もあります。ジャポニスムのニュアンスを通じた着物を着たひとびとの演出や、江戸から東京になったころの貴重な動画……。
100を超えるリュミエール兄弟の元祖動画を、抑制した愛のあるナレーションで綴る「映画」を観られて大満足でした。
今のスマホ動画を集めて、なんかのコンテストで厳選された世界の映像を、リュミエール兄弟の時代の最初の枠でもあった50秒づつ、でまとめて地球の「今」を未来に残すなら、また面白い「cinema」にもなりそうだなあ、て思います(*^^*)
地球の気候激甚化や、戦争や、飢餓や、天変地異や環境悪化、経済格差で起こるさまざまなことを乗り越えた地球人たち、200を超えるすべての国や地域が笑いながらその映画を観ている未来を願って。
いや〜、映画って本当にいいものですね。
これからの冬場は伏見ミリオン座で温かい映画がどんどん始まるようなので、良かったらこころも温めに、名古屋に来たらええがね、なのです。
まだ見ていないですが短編映画、ミッキー・カーチスの「運命屋」も気になっていて……。行けるかどうかは未知数ですが映画熱、かなりこの秋は熱いです。
全国放映系の「八犬伝」も観たい、昨日の帰りに電車に乗っていたら、となりの席に来た男子学生たちの見に行った良かった、て話が聞こえてきてしまったものですから……。たまたま聞いちゃったおばちゃんとしては 笑
ここまでお読みいただき、誠にありがとうございます。