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「迷信」と「風習」の差ってなんだっけ、と中国の爆竹に思った話
2月10日、中国は旧正月の新年を迎えました。今回のマガジンはそういう意味では「新年一発目」に当たります。
今回は新年の爆竹や花火を見て考えた話を。
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年明けから、そこかしこでとてつもない勢いで爆竹が鳴り響いています。2月10日の深夜から絶え間なく爆竹の音が鳴り響き、眠れないほどでした。
朝が来ても爆竹は5分に1回くらいのペースで鳴り続けます。外に出ると街が全体的に白みがかっており、煙が目にしみるレベルです。至るところに燃えカスが放置されていて、ときおり不発弾が「パン!」と音を立てて、道ゆく人を驚かせています。
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花火もすごいです。街中の狭い公園や小区(団地)の中でも、その場に似つかわしくない大きさの打ち上げ花火が上がりまくっています。元日の朝には、河原に大量の使用済み花火が捨てられていました。
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2000年一桁台を彷彿とさせる花火ですね🤩 pic.twitter.com/bm5hRobuoP
— 主夫まぬか (@syufumanuka) February 10, 2024
これはいま僕がいるのとは関係のない別の都市の映像ですが、こんな光景もあったようです。こういってはなんですが、まるで戦場ですね。
こうした光景は、近年はあまり見られなくなっていたはずでした。環境への影響や騒音の問題への配慮から、爆竹や花火は取り締まりの対象になっていたからです。
しかし、今年に限ってはその取り締まり・規制に緩和傾向が見られます。最近になって日本テレビなど日本のテレビ局がニュースにしていましたが、僕は西暦の元日の時点でこのような動向をキャッチしていました(自慢)。
緩和された理由は、庶民のガス抜きのためと言われています。不景気が鮮明になり生活に不安を抱える人が多い中で、せめて娯楽としての花火・爆竹くらいは解禁してやろうということで規制が緩まっている。それが大筋の見方です。
みんな存分にその「緩み」を楽しんでいるようですが、別に緩和傾向だからといって何をやってもいいわけではなかろうし、調子に乗って結局は逮捕されたりする人がいないかどうか、少し心配です。
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ところで、中国の人々が花火や爆竹を好むのは、その派手な音や光によって邪悪なものを遠ざける、つまりは魔除けや厄払いなどの効果があるとされているからです。
近年はただ単にめでたい雰囲気を演出するためという意味合いに成り下がっている気もしますが、由来としては魔除けというのはおそらく間違いありません。
他方で、中国では「非科学的な」民俗・習俗を「迷信」であるとして規制する方向にあります。
代表的なものとしては、葬儀が挙げられます。
広い中国ではさまざまな習俗を持つ人が存在しており、葬儀の形もさまざまですが、中国ではこれらの葬儀の形式を一本化し、それに沿わない形のものを「時代に合わない、正しくない葬儀」として、改革せねばならないものに位置づけてきました。
とりわけ国としては火葬を推し進めたい意向があるのですが、一部では土葬をよしとする習俗が根強く残っており、時として大きな対立や問題を生んでいます。
あとは、占いなども挙げられるでしょうか。中国では近年、占いへの風当たりが強くなっており、「迷信」として唾棄すべきものであるという意見が少なくありません。
特に最近ではネット上での占いを導入にした詐欺が流行しており、その文脈で「迷信」としての占いを信じるべきではない、という話がよく聞かれます(ただ、これもそうした論調とは裏腹に、占いを好む若者が増えていたりもします)。
さて、ここで考えてみたいのですが、「爆竹や花火を鳴らすと魔除けになる」というのも別に科学的根拠のあることではなく、いってしまえばひとつの「迷信」に過ぎません。にもかかわらず、これらへの規制は緩和傾向です。
では、なぜ一部の風習が「迷信」扱いされ、禁止の憂き目にあういっぽうで、爆竹や花火に関しては「迷信」認定を逃れ、再び庶民のまっとうな「習慣」として認められるようになりつつあるのでしょうか。
それはつまり、
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