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日中夫婦という非合理性を超えて

猫山課長さんの夫婦関係にまつわるnoteが素晴らしかったです。

書かれている教訓をあえて一言でまとめると、「お互いを1人の人間として尊重することを忘れるな」というふうになるかなと思いました。

相手を自分に快適さをもたらしてくれる、都合のいい存在としてみなすのではなく、主体性を持った1人の人間として尊敬する。そんな、社会に暮らすひとりの大人として当たり前のことを、夫婦だからといってそれに甘えるのでなく、むしろ夫婦だからこそやっていかなくちゃならない。そんな思いを勝手に読み取りました。

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また、個人的に何より刺さったのが「婚姻関係は、等価交換ではない」という力強いメッセージです。

婚姻関係は、等価交換ではないのだ。

そして、等価交換ではなく、合理性がないからこそ、その関係は心を満たす幸せをくれる。

あなたが考えつく、納得できるような小賢しく矮小な合理性などには収まらない関係性が、夫婦にはある。

それが、全く違う個体同士が長年寄り添うことの意味であり、価値なのだ。

上掲記事より

これ、それなりに長い間(26年間も寄り添ってきた猫山課長には敵いませんが)、中国人の配偶者と連れ添ってきた人間として、とても共感しました。

合理的さ、快適さの面からいえば、国際結婚などまるで割に合わない営みです。

文化と習慣の違いから、噛み合わない会話を繰り返さなくてはなりませんし、日本人どうしなら黙っていればわかるようなことでも、わざわざ口に出して伝えなければいけません。しかも口に出した結果、思いもよらず反発されて(して)、衝突が起こることもあります。

そして衝突が起こった時、中国人のもつある種の「折れなさ」に辟易したり、消耗することもあります。「中国の人は大陸的でおおらかだから、物事にこだわらない」とかいう間違いだらけのステレオタイプを垂れ流しているのはどこのどいつだと文句を言いたくなるくらい、その衝突は苛烈を極めます。

また、そうした摩擦を経て本人どうしがうまく手を取り合おうとしても、家族や周囲の人間というファクターがそれを許さない場合があります。家族関係が現代日本のそれとは比べものにならない濃い中国人との結婚では、その軋轢は非常に顕著になります。

なんとか折り合いをつけようとする中で、また「外国人としての自分」が配偶者にうまく理解してもらえないことが辛くなってきたりして、これがまたしんどいんです。

人にもよるかもしれませんが、少なくとも自分が体験し、見聞きする範囲では、中国人との結婚に「合理性」はありません。

向き合わなければならない苦労の数と重さを考えれば、おそらくはひとりでいたほうが主観的な快適性はずっと高いことでしょう。

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でも僕は、だからといって嫁との結婚を諦めようとは思わないんですね。

「もう無理かもしれない……」と思ったことは何度かあったかもしれないけど、それでもそのたびになんやかんやで向き合い、折れかけた心を叩き直して、また一緒に歩む道を選び続けています。

それどころか、いま「嫁との結婚を諦め」とタイピングしたあたりで嫁のいない人生をふと想像すると、無性に悲しくなってしまう程度には、いまの結婚生活を手放したくないという気持ちになっています。

これってなぜなんでしょうか。ひょっとしたら、単に「いまあるものを手放したくない」という執着があるからかもしれません。でも今までに起きてきた数々の苦労を思い返し、これからも続くであろう波乱を思うと、そんな執着だけでここまで続いたかな、という自分もいます。

苦労以上の見返りがあるから、という言い方もしたくありません。ふたりでいることの経済的合理性や、中国で暮らすハードルが低くなっていること、一緒になったからこそ見えてきた中国・中国人という対象への解像度の高さなどは僕が結婚によって得たものかもしれませんが、「それがあるから結婚を続けている」というものでもありません。

なんで一緒にいるのか、本当のところはわからない。でもここから離れたらいけなような気が、なぜかする。たぶん向こうも、似たようなことを考えている。

そんな曖昧だけど、確実に大切だと思える何かのために、僕らは夫婦生活を続けているのだという気がします。

あえて具体的な場面で言うなら、ふたりでメシを食い終わった後の、何をするでもないような時間に、夫婦でいることの意義は詰まっているのではないか。

そんなことを思います。

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国際結婚がもたらず数々の煩わしさを超えて、夫婦として寄り添い生きてきた(そして、たぶんこれからも生きていく)ことの意味を考え直させてくれた猫山課長さんのnoteに感謝しつつ、今日は筆を置きます。

すべての日中夫婦、そしてすべての夫婦に幸あらんことを。


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