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紅包と、中国の面倒な人間関係の話
義実家に戻る日取りが決まり、いろいろと準備をしなければならないのですが、なかでも我が家の悩みの種となっているのは紅包です。
紅包とは赤い袋に包んで渡されるお祝い金で、めでたいことが起きた時にやりとりされるのですが、その流通量はお正月の際にもっとも多くなります。お年玉に近い物ですが、渡すのは大人から子どもだけとは限らず、家庭単位であのおじさんのところに渡さなきゃ、みたいなこともあります。
ネットなんかで調べると、その相場は高くてせいぜい数百元程度だと出てくるのですが、なぜかうちの嫁の実家のエリアでは例外的に相場が異常に高く、数千元のやりとりになる場合もあります(聞けば、田舎のほうが金額が上がる傾向にあるらしい)。
で、誰にどれだけ渡すかみたいなことは基本的に嫁に一任しているのですが。今年はなにやら嫁がうんうん唸っており、なかなか金額を決められないでいるようです。机に紅包の袋を並べて延々と悩んでいる(その間僕は子どもを見ているので自分のことができない)のでさすがにちょっとイラッとして、「何をそんなに悩むことがあるの?」と聞きました。
すると嫁は、前の年はこの人が渡したのに一銭も帰ってこなかったから今年はやめておこうとか、この人のところは子どもが3人いて去年はいくらあげたから今年は……あと今年はうちにも子どもが生まれたからこれだけもらえると仮定して……みたいな要素がたくさんあるので、すぐには決められないというのです。
この時点で僕は呆れたような顔をしてしまい(これが間違いの始まり)、実際に呆れたような口調で「どうせ縁起物なんだから、そんな細かいこと考えるくらいだったら適当でいいじゃない。時間かけるのなんてバカバカしいよ」というようなことを言ってしまいました。そこには、そんなことよりそろそろ子どもの面倒を見てくれ、僕も忙しいんだから……という気持ちもありました。
しかし、嫁はやはり反発し、「何よ、そんなこと言ってどうせ大きな赤字になったらブツブツ文句言うくせに」といいました。それは確かにそうで、なんで毎年族柄もわからないような親戚に安くない金額の金を渡さなきゃならないんだ、ということをブツクサ言いまくります。
また、「どうせ戻ってくる」と嫁が言うのでけっこう大きな金額でも同意したのに、ぜんぜん戻ってこないという時も多々ありました。その時も僕は、恨みがましく愚痴を言いまくっていた覚えがります。今年はそうならないようにこっちで調整しているんじゃないの、とは嫁の言い分です。
そう言われてしまうと何も言い返せないので黙るしかないのですが、僕としても負けっぱなしは悔しいので「……それはわかったけど、さすがに時間かけすぎだからさっさとしてよ」くらいの負け惜しみを言いました。嫁はもちろんいい顔はしません。かくて、そこにはギスギスした空気だけが残りました。
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我が家のしょうもないイザコザは置いといて、この紅包の駆け引きって、日本のお年玉とも似ていますし、結婚式の時のご祝儀とかともそっくりですよね。もともとはめでたい席の縁起物で、金額うんぬんより気持ちが大事なはずなのに、なぜかそれをめぐって貸し借りの話が始まり、勝手に不愉快に感じる人が出てくるという。
「中国は人間関係がさっぱりしている」とか「日本のようにドロドロしていない」とかたまに言いますが、実情はこんなもんです。むしろ貸し借りということで言えば、日本人よりもよっぽど敏感かもしれません。
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