「資本主義」が悪口になる国があるらしい
突然ですが中国語の問題です。以下の( )に入る言葉を答えてください。
中国語がわからない人も、日本語訳を参考にだいたいどういう意味の言葉が入りそうか考えてみてください。
どうでしょうか。多くの人は、「狡猾」(ずるい)とか「卑鄙」(卑怯)とか「不平等」とか、なにかしらその人や事象が公正でないことを形容する言葉を入れたくなったのではないでしょうか。
もちろんそれらも正解といえますが、中国語ではここに入りうる意外な言葉があります。
それは「资本主义」、つまり「資本主義」を指す言葉です。
違和感を感じたでしょうか? 以下に説明していきます。
マイナスイメージのある「资本主义」
まず文法的なことに触れておくと、中国語は品詞の概念が他の言語よりも曖昧で、名詞であるはずの「资本主义」が、形容詞的に使われているということがあります。
そしてその「资本主义」が何を形容しているのかというと、どうやら「カネの力でなんでも解決すること」や「拝金主義」のような、それ自体が明らかなマイナスイメージを持った概念として用いられている場合があるようなのです。
もちろん公式な表現ではなく、辞書にもそのような意味では載っていないのですが、実際の運用の場面で「资本主义」がこのような使われ方をしているのを、中国人との会話の中で幾度となく耳にしたことがあります。
SNSなんかでも、「资本主义」で検索すると、それに対する怨嗟を述べるものであったり、打倒すべきものとして扱っている投稿が目につきます。
上の文は、Twitter型SNS・微博(Weibo)にあったとある投稿を少し改変したものです。日本語だと「もう何もかもしんどい。非道な資本主義め!」というような意味です。推測ですが、おそらくは毎日仕事が辛く、その諸悪の根源である「资本主义」に悪態をつきたくなったのでしょう。
このあたりは、日本語にはない感覚だと思います。もちろんいち市民として「資本主義」的なものに苦しめられることも多々ありますが、それが諸悪の根源だとはあまり思わないし、「資本主義」という単語自体に対するイメージはほとんどの人にとって、プラスでもマイナスでもないでしょう。
同じ漢字文化圏でも微妙に意味が違う場合のある、日本語と中国語の面白さであるように思います。
国の成り立ちとの関係
なぜ「资本主义」がこのような意味を持っているかを考えると、やはり中国の成り立ちであったり、そこにある思想的なものが関係しているのではないかと思います。
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