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ブラック・ジョークの世界に近づく中国
今日も中国で話題のニュースから取り急ぎ。
9月に発売され、話題になっていた「崇禎:勤政的亡国君」という本が、「印刷の問題」で回収になったと言う話です。タイトルは日本語にすれば、「崇禎帝:勤勉なる亡国の君主」というような意味でしょうか。
崇禎帝とは、中国民朝の最後の皇帝です。政務には熱心だが臣下を信用せず、優秀な人物を排除してしまい、民の滅亡を招いた人物として評価されているようです。
崇禎帝は天啓帝らと違い、政治に熱心であり、色事にふけるようなこともなく、倹約を心がけていた。しかし猜疑心が強く、臣下を信用できない悪癖を有していた。即位直後から重臣を次々と誅殺し、特に山海関で満州族からの防衛を一手に引き受けていた名将袁崇煥を誅殺したことは致命的であり、明が滅亡した原因として必ず崇禎帝の猜疑心が挙げられる。
今回回収されてしまった本でも、その崇禎帝がいかに能力がなく、むしろ勤勉に政務に手を出せば出そうとするほど状況を悪くしていったと言うことが論じられていたようです。
この本が一部で話題になっていたのは、そのような崇禎帝の治世が、いまの習近平政権を連想させるものとして扱う動きがあったことがその理由のようです。たしかに習近平氏も政敵を徹底的に排除し、周囲をイエスマンで固め、個人のカラーを色濃く反映した施政をおこなっているとみなされています。
事実、冒頭の記事によると、以前から習近平氏を崇禎帝になぞらえる向きは以前から存在していたようです。
そのような文脈があった上に、今回は本の表紙デザインに首吊りを思わせる縄が描かれていた(崇禎帝は最後に首を吊って自害したと言われています)ことや、タイトルや帯文が扇情的かつ暗喩的であったということから回収の憂き目を見たという話が出ていますが、真相は定かではありません。
ただ、版元が言うような「印刷の問題」だけが回収の理由ではないことは確かでしょう。
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僕は歴史に明るくないので、習近平氏を崇禎帝になぞらえるということにどれほどの妥当性があるのかは正直に言ってわかりませんが、ともあれ今回の件は、「当局が習近平氏への暗喩的な批判を思わせるタイトルの本を回収させた」というように見えています。
その前提のうえで、以下に所感を述べていきます。
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