見出し画像

価値観の変化に揺れる、中国の現役世代のリアル

昨日に引き続き、中国人の嫁がらみの話題で書いていきます。

+++++

我が家ではいま春節(旧正月)に向けて義実家への帰省の準備をしているわけですが、僕はあまり気乗りがしていません。

嫁のご両親はともに優しい方ですが、いかに直近の親戚とは言え他人(というと嫁に怒られるのですが)の家に何日も厄介になるのは緊張が伴うし、いっぽうで特に何をするでもなくただダラダラすることを強制させられるような、独特の空気感がとても苦手です。

そのほか、春節ともなれば親戚が一堂に会するわけで、そこへの挨拶回りなどもあるわけですが、これもちょっとしんどいです。

嫁の実家の周辺にはある程度親戚が集まって住んでいるのですが、春節となると「今日は2番目のおじさんの家で食事、きょうはあっちの大おばさんのところで遊ぶ」などと、いろんなところをたらい回しになります。

それぞれの場所の大量の人と聞き取れない方言、騒ぎまくる子どもたち(春節期間中は、子どもが何をやっても叱ってはいけないみたいな風習もあるそうです)に囲まれ、めちゃくちゃ疲れます。あと、ぶっちゃけ苦手で会いたくない親戚もいます。

なので、中国人にとって春節の集まりはとても大事なのだと言うことを理解はしつつも、正直に言えばあんまり行きたくない、行ったとしてもできるだけ期間は短くしたいというのが本音だったりします。

+++++

愚痴が長くなりましたが、本題はここからです。

気乗りをしない僕をよそに、嫁は「家族や親戚に会えるぞ」とノリノリで実家に帰る準備をしている……かと思いきや、僕ほどではないものの、やはりそれなりに気が重い様子です。

いわく、もちろん両親には会いたいものの、毎回帰るたびに親戚中から子どもや将来のことについて聞かれるのが面倒だということであったり、やはり会いたくない親戚がいることであったり、自分の仕事も忙しいのにあまり家を空けたくないことなどを理由に挙げます。

果ては、来年からは日本やその他どこかの国に行きましょう、「今年は旅行してるから里帰りに行けないよ」と実家に言い訳ができるから、などと言い始めます。

そこまで思ってるんなら、そもそも行かなくてもよくない? 行くとしてもちょっとの期間でいいんじゃないの? と僕は言うのですが、すると「でも……」と言われ、なぜ帰省しなければならないのかという説明が始まります。

春節の里帰りとは融通を効かせられるようなもんじゃなくて、「そういうもの」だから行かなければならない、ということは理屈としてはわかります。

しかし、もはや自分の親とも疎遠になり、接し方がわからなくなっている僕から見れば、そこまで思うのになぜ帰らなければならないという義務感を持つのだろう、と不思議に思いました。

++++++

濃い家族づきあいに代表される伝統的価値観について、ぶっちゃけ煩わしいとは思っているものの、かといってそれを無碍にもできず、ある程度きっちり従う。

これは、いまの中国の現役世代——特に20代から40代前半くらいまでが持つ、一般的なバランス感覚のように思います。

ここから先は

1,244字

月額マガジン「中国を言葉にするマガジン」の読み放題版はこちらからどうぞ。購読期間中は500以上の有料…

中国を言葉にするマガジン 読み放題版

¥800 / 月

いただいたサポートは貴重な日本円収入として、日本経済に還元する所存です。