中国で見つけた「パンダのマーチ」の謎
中国で生活していて、前から気になっているお菓子があったんです。それがこちら。
画面左の、「HELLO PANDA」というお菓子。ちょうど隣に写っているのですが、これって日本ではおなじみの「コアラのマーチ」にそっくりじゃないですか?
せっかくなので買ってきました。
チョコの入ったビスケットに、可愛らしいパンダの絵が描かれている。意匠がまんまコアラのマーチと一緒です。
開けてみて、実際のお菓子を手に取ってみると……
形状にこそ違いがあるものの(ただ丸っこいやつとパンダの頭っぽくしてるやつがある)、まんまコアラのマーチに見えます。
食べてみても、コアラのマーチよりもビスケットが柔らかいものの、食べた感じはよく似ている。
いや、もうこれ「やってる」じゃん、「パンダのマーチ」じゃん、という疑惑が高まるばかりです。
とはいえ、これを「中国がまたパクリ商品を作ってるよwww」と嘲笑するのはまだ早い。冷静な僕は、パッケージに書いてある「meiji」というロゴに気づいていました。
ロゴがパクリでなければ、これは明治製菓という大企業が出しているちゃんとした商品ということになります。
箱の裏の製造者表示を見ても、製造者は明治製菓のシンガポール法人ということが書かれています。
コアラのマーチの製造販売はロッテですが、まさか明治が堂々とコアラのマーチのパクリを作って売っているということもあるまい。謎です。
というわけで調べてみると、意外な事実がわかりました。というのも、そもそもこの「HELLO PANDA」は日本発祥で、かつては「こんにちはパンダ」という名前の商品だったそうです。
日本ではすでに廃盤だが、世界中で販売されており、むしろ明治のお菓子では世界で一番売れているらしいことまでわかりました。
この時点で、ただの意識の低いパクリ商品ではないということは分かりました。慌ててSNSにアップロードしなくてよかった。
ただ、ちょっと不思議だったのが、この「ハローパンダ」の元となったという「こんにちはパンダ」と、ロッテの「コアラのマーチ」のどちらが先に販売を開始したのかという点について、情報が錯綜していることです。
「コアラのマーチ」の発売は1984年。対して「こんにちはパンダ」は先ほどの公式サイトの情報によれば1987年に販売開始とありますが、海外サイトの情報などでは1979年だとするものもあります。
たとえば、英語の「BISQUIT PEOPLE」というビスケットの総合情報サイト(なんだそのサイトは)をみると、こんな記述があります。
公式サイトが1987年と言っている以上、そちらのほうを信じざるを得ないのですが、情報としては1979年とするもののほうが多く見つかります。
果たして「かわいい動物のイラストが描かれたチョコ入りビスケット」というコンセプトを最初に世に送り出したのは、結局明治とロッテのどちらだったのでしょうか。
日本も当時はおおらかな時代ですし、ライバル企業の商品のコンセプトを丸ごと拝借したものをぶつけるというのは珍しくなかったと思われますが(ポカリスエットとアクエリアスとか)、「こんにちはパンダ」と「コアラのマーチ」に関してはどちらが先かはっきりしません。
パンダ対コアラの起源争いは、僕の中でモヤモヤした決着になりました。何か情報をお持ちの方がいたら教えてください。
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なんにせよ、「HELLO PANDA」を見つけた時点で反射的に「はい中国のパクリ商品〜www」などといってSNSで騒がなくて本当によかった、と思いました。間違いに厳しい今どきのSNSのこと、きっと消し炭になるまで燃やされていたでしょう。何事も立ち止まって考えることが大切です。
今日はそんなゆるめの話題でした。たまにはこういうのもいいでしょ。ではまた。
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