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トレーラーハウスの企画開発 No.04【ハウス工法と脱着機能】

本記事ではトレーラーハウスの企画開発について解説をしています。第4回目のテーマは【ハウス工法と脱着機能】です。

 

ハウス工法はブランドをつくる?【ハウス工法と脱着機能】

ハウスの構造体をどのような工法でつくるかによって重量、サイズ、コスト、デザイン等が変わります。それぞれの長所短所を比較して、自社の事業計画に対して最適な工法を選択する必要があります。

工法を選択することと並行して、シャーシとの脱着方式についても検討が必要です。既存のコンテナをハウスに使用する場合はコンテナの脱着機能をそのまま展開することになるかと思いますが、木造や鉄骨造などの一般住宅用の工法でハウスを作る場合は、もともと脱着を想定した工法ではありませんので新規に開発を行うことが必要になります。

以下、ハウス工法の分類と脱着方式の検討事項を、私の所感を交えながら解説をしてゆきたいと思います。シャーシにつきましては車検付き(ツイストロック方式)のシャーシをベースにしています。

 

ハウス工法の分類

①住宅用工法でハウスを作る場合

住宅用として構造的なエビデンスとサプライチェーンが整っている工法を、そのまま利用する方法です。材料も一般的に流通しているので、ハウス製作においては比較的に作りやすい方法であると思います。住宅用工法でトレーラーハウスへ展開できる工法としては3つの候補が考えられます。

1、在来木造工法
2、ツーバイフォー工法
3、軽量鉄骨工法

この3つの候補の中でどれを選択するかの理由は様々であると思います。コスト、デザイン、開口部の大きさ、屋根形状、等の理由も考えられますが、まずおさえていただきたいことは、「躯体重量の軽さ」です。シャーシの最大積載荷重内で構造体、内外装、設備を構築してゆきますので、構造躯体の軽さが最優先に求められます。

室内寸法も重要です。なるべく壁厚が薄い方がプラン設計の自由度が上がります。例えば木造系工法の比較で比較しますと、在来木造の壁厚は105㎜、ツーバーフォーの壁厚は89㎜ですので、ツーバイフォーの方が室内寸法を広くとるには有利です。

その他にもそれぞれの工法の特徴を比較検討したうえで、事業内容にとって最適な工法を選択する必要があります。

②トレーラーハウス用に新規の工法を開発する場合

①で解説した重量と壁厚の問題を解決するために、壁を薄くして重量を軽くした専用の工法を開発するという方法もあります。

重量と空間的には非常に有利ですが、開発経費や開発期間がかかるかもしれません。また、ハウスを構成する構造部材が一般流通品ではない場合、コストアップや生産リードタイムが伸びてしまう恐れがあるかもしれません。

オリジナルの工法ゆえ、設計したハウスの間取りを規格型にせざるを得ない場合もあります。開口位置などを自由にできる新規の工法が開発できれば問題ありませんが、新規の工法を開発する場合、開口位置などを固定したうえで構造計算をしなくてはならない可能性があります。

しかし、軽くて広いということは大きなアドバンテージがあります。私もいつかはチャレンジしたいと思っています。

③既存のコンテナをカスタマイズする場合

ハウス側へツイストロックの機構を追加する必要もないので、最も展開しやすい方法であると思います。しかし、デザイン性は限定されますのでデザインでの差別化を図る場合は他の工法との比較検討が必要かと思います。

また、①の場合は住宅産業で培われた建材や設計仕様をそのまま展開することで、住宅とほぼ同等の仕様とすることができますが、コンテナをカスタマイズする場合は独自に建築的な耐久性、防水性、断熱性などを検討して付加する必要があるかもしれません。

設計仕様にもよりますが、市場規模としてはるかに大きい住宅産業で培われた設計仕様と比べると、居住性能とデザイン性には見劣りがあるかもしれません。しかしそれは、トレーラーハウスに何を求めるかによると思います。住居系ではなく店舗系であれば、むしろコストパフォーマンスとしてはコンテナをカスタマイズする方が販売戦略的には優れていると思います。

もちろん、住宅仕様と見劣りしない商品を開発されている会社様もあるかと思います。

 

脱着方式の検討事項

脱着方式の検討事項としては、
・ハウスとシャーシを接合させる際のハウス側の脱着機能の設計
・ハウスをシャーシから離脱させる際の吊り上げ(持ち上げ)方式の選択
・吊り上げ(持ち上げ)の際のハウス側への機能設計があげられます。少し複雑になりますが解説をいたします。

①ハウス側への脱着機能の設計

ハウスの下部にはツイストロックを受ける接合機能を持つ金物が必要になります。コンテナにはあらかじめ下部の四隅にコーナーキャスティングが配置されており、ツイストロックで勘合するようになっていますが、住宅用工法によるハウスの場合、新たにこの機能を付加させなければなりません。

軽量鉄骨工法の場合はコーナーキャスティングを溶接するという手段も考えられるかもしれませんが、在来木造工法やツーバイフォー工法の場合は、木の構造体へコーナーキャスティング又はその代わりになる箱金物のような金物を開発して設置する必要があります。

②吊り上げ(もしくは持ち上げ)方式の選択

車検更新時などでハウスをシャーシから離脱させる際には、ハウスはシャーシの上に‟浮いて”いなければなりません。そこで、どのような方法で‟浮かせる”かを検討する必要があります。

方法は大きく分けて2つあります。吊り上げるか、持ち上げるか、です。吊り上げる場合はクレーンで吊ることになりますので、ハウス上部の四隅にフックやシャックルなどを受ける金物が必要です。持ち上げる場合はジャッキもしくはフォークリフトで持ち上げることになりますので、ハウス下部にジャッキもしくはフォークの爪を掛けるための穴加工が必要になります。

コンテナのカスタマイズ仕様では、そもそも吊り上げや持ち上げを前提とした製品でありますので問題は少ないかと思いますが、住宅用工法で設計されたハウスに対しては、いくつかの技術的な課題の検討が必要になります。

③ハウス側への吊り上げ機能設計(住宅用工法の場合)

住宅用の工法で製造された構造体の場合、そもそも吊り上げ用に設計されていないので、補強を含めた設計検討が必要です。構造的な補強はもちろんのこと、防水処理の検討も必要です。例えば吊り金物を屋根の上に取り付ける場合は、屋根材に穴を開けることになりますので周辺の防水処理が必要です。壁側に取り付ける場合は、外装材に穴を開けることになるのでこちらも周辺の防水処理が必要です。

屋根と外装、いずれから吊る場合でも仕上げ材から金物が飛び出しますので、デザイン性を阻害する要因が発生する恐れもあります。

④ハウス側への持ち上げ機能設計(住宅用工法の場合)

持ち上げる場合においても、補強を含めた設計検討が必要です。ジャッキで持ち上げる場合は、持ち上げ支点間のたわみに対する補強が必要です。フォークの場合は、ハウス中央付近に掛かる爪を支点とした場合の左右スパンのたわみに対する補強が必要になるかと思います。

ジャッキを差し込むための穴加工、フォークの爪を差し込むためのフォークポケットの加工については、住宅用工法の構造床への加工が難しい場合があります。その場合は、床レベルの下に土台フレームのような補強材を入れる方法もあるかと思います。

 

まとめ

ハウス工法の選択は、脱着機能の仕様設計を十分に把握したうえで検討をすることをお勧めします。ただし、商品コンセプトとして例えば脱炭素等の打ち出しをする必要があり、国産木材を使用することが初めにありきの場合には、逆に木造にどうやって脱着機能を開発してゆくか、という方向で新規開発に取り組んでゆくことも大いに有りだと思います。

次回更新は11月18日(土曜日)AM10:00を予定しています。

 

本記事はトレーラーハウスの企画開発に向けたアウトラインをテーマにしておりトレーラーハウスに係る全ての法律技術要件を解説しているものではありません。トレーラーハウスには多くの法律技術要件が関連しています。開発を行う際はご自身で十分ご確認のうえ開発をお願いします。

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