八識(はっしき)
「現代科学に足らないものを埋め合わせるものがあるとすれば、それは仏教だ。」by A・アインシュタイン
お釈迦様は、”全ては人間の心が作り出すもの”として、人間の心理や教えについて「お経」という形で膨大な量を書き残しました。その中で、人間の認知、あるいは存在、心を八つの側面に分けた「八識」についてお話します。
「識」とは、「心」のことです。
①眼識(げんしき) 色や形を見分ける心
②耳識(にしき) 音を聞き分ける心
③鼻識(びしき) 匂いを嗅ぎ分ける心
④舌識(ぜっしき) 甘い、辛い、酸っぱいなど、味を分ける心
⑤身識(しんしき) 寒い、暑い、痛い、快いなどを感じる心
まずはここまで、「前五識」と言われるものです。「五感」のようなものと思われるかもしれませんが、仏教では心の作用によるものだという教えなのです。体の各感覚器や脳の認識も、心のあり方によって変わってきます。
⑥意識(いしき) 前五識を統制し、記憶、判断、思考、命令をする心
意識は普段よく使う言葉ですね。反対語に「無意識」がありますが、心理学者のフロイトは意識は心の氷山の一角であり、もっと深く無意識の存在があると言いました。しかしお釈迦様は2600年前に深い心の存在を教えていたのです。この先はその無意識的領域です。
⑦末那識(まなしき) 執着する心、プライド、エゴ
⑧阿頼耶識(あらやしき) 過去、現在、未来を貫く永遠の生
「阿頼耶」とは、サンスクリット語の「蔵」を意味する「アラヤ」に漢字を当てたものです。その蔵には、「カルマ」(業)が蓄えられます。つまり、私たちの行為です。それは無くなることのない、永遠の生命なのだというのです。
はてしない過去から、永遠の未来に向かって流れる川のような阿頼耶識に、肉体は川面にできた泡のようなもの。阿頼耶識は私たちが自覚できる意識よりもずっと深いところで、強い力で私たちを動かしているのです。
冒頭の言葉のアインシュタインをはじめ、物理学、量子力学、哲学、言語学、心理学、あらゆる学問の研究者たちは、研究の先には仏教に辿り着きました。最近でもアップル創設者のスティーヴ・ジョブズ、AI研究のマービン・ミンスキー教授、ロボット工学の森政弘教授など、多くの研究者たちが仏典を勉強しています。
お釈迦様は私たちの幸せのために、深い心の世界を説かれました。これからの私たちの生活、加速するDX化の行く末を見る上でも、学ぶ価値のあることかもしれませんね。