本気の生産者たち
「なぜ、孫の手トラベルのFoodCampを推すか?」シリーズ19回目。華やかなダイニングテーブルでも、タクシー送迎でもなく、FoodCampの醍醐味はここにあったのです。ラスト目前です。
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再び、FoodCampとは
猪苗代湖でのグランピングツアーは大満足に見えたのですが、その一方で実は惜しいなと思うこともたくさんありました。ここでは省略しますが、可能性を大いに秘めたコンテンツであるゆえに、余計にその歯がゆさが目立った、という方が正しいかもしれません。
そして、私は再び、FoodCampへ参加します。12月の上旬、秋冬野菜の収穫体験付ツアーでした。今回は友人を誘っての参加。自宅送迎にはすっかり気を良くし、そのつもりで迎えがくるのを悠々と待っていました。
今回のキャンプ地は、安子ヶ島町。郡山市の西部、磐梯熱海温泉の近くです。ここで郡山ブランド野菜を栽培する藤田さんの畑にお邪魔しました。実はこの時、初めて郡山ブランド野菜なるものを知りました。
お話上手の藤田さん、一般的に販売されている人参より長めの御前人参(ごぜんにんじん)折れないように専用の人参掘り器具を使って掘り方をレクチャーしてくれました。もともと阿武隈アボリジニー、採取欲がメラメラと燃えてきました。お次は、これまた郡山ブランド野菜の「冬甘菜(ふゆかんな)」というキャベツ。一玉かなりの大きさです。少し外側の葉が紫に色になっているのはいいキャベツの証拠。寒さにあたり、キャベツが抵抗してアントシアニンを出すそう。その結果、葉っぱがほんのり紫色になるのだとか。よく野菜や果物は寒暖差があるところの方が良いものができると聞きますが、そんなメカニズムを知ると、紫がかったキャベツをどうしても採りたくなるもの。
立派な人参3本とかなり大きなキャベツ1玉。持って帰るにはなかなかの重量ですが、そこは心配無用。タクシーで送ってくれるので、楽チンです。飲まなくてもやっぱりタクシー送迎はありがたい。
そして、この時、最も楽しみにしていたのがお料理。実は猪苗代でのグランピングモニターツアーではビュッフェスタイルで、最初に見た鮫川のツアーが頭にあったので、ちょっとイメージとは違っていたのです。しかし、今回はこの郡山ブランド野菜を使ったコース料理で、しかも郡山ビューホテルの料理長が作ってくださるという回でした。
天気は良かったものの、風が強く、外でのお食事は断念。悪天候時のために予め許可を得ていた安子ヶ島町の集会所に場所を移し、コースランチが始まりました。やっぱり、フォークとナイフ、そしてバターケースまで並ぶテーブルはウキウキします。お酒も、勿論いただきます。得意のスパークリングワインで乾杯。
この時、特に驚いたのは、御前人参のクレームブリュレ。思わず料理長にどれくらい人参を使用したのか尋ねると、ほぼ半分とのこと。カスタード風味の濃厚なブリュレがとても軽い舌ざわりで、そして柑橘系を思わせるフルーツ感。一体この正体は何か尋ねると、それが御前人参だと。野菜、しかも人参がこうにも表情を変え、楽しませてくれることに、料理オタクの私は、「これだー!」と心でガッツポーズをとりました。
生産者の話を聞き、現場を見て、触れて、そしてプロの料理人のよる素材を生かした料理の数々。私がFoodCampにピーンと来たのはまさに、これでした。
もっと多くの人に広めたい
私は、やっとFoodCampが何たるか、その真髄に触れたような気がしました。そうとなったらこれを広めたい。でも、最初の通り、いまだ申し込みは電話とFAX。参加者を見渡せば、40代の私と友人でも若い方。決してシニアの方々の参加が悪いわけじゃないんです。60代、70代でも一緒の楽しめるのはとても素晴らしい。でも、も少し若い世代が参加しても十分楽しめるはず。むしろ、その世代にこそウケるはずだと思いました。
そこで、私は強行手段に出ます。
前回の猪苗代のツアー、そして今回の郡山ブランド野菜のツアーの写真を切り貼りして、覚えたてのCMSで勢いのままにFoodCampのホームページを作ってしまったんです。情報発信する手段がなさ過ぎる、どんなにいいことをやっていても知られないのでは意味がない。そう思っていました。頼まれたわけじゃないけど、もうおせっかいを承知で、即興で作ったホームページを孫の手トラベルさんに見てもらいました。
私は、ホームページを作るのことは専門ではありません。Webデザイナーでもありません。ただ、文章を書いたりまとめたりすることは比較的、これまでの仕事でもやっていましたし、デジタルマーケティングの世界を少しかじっていたので、何をどうすればいいのかはわかっていました。
そして、担当の寺井さんは、「それでいいから、使いたい」と言ってくれました。そして、翌年からFoodCampのレビュー担当として、すべてのツアーに参加することになりました。
本気の生産者たち
2018年のツアーは、親子イベントなども含めて全11回。ここで福島の本気の生産者たちに出会います。度肝を抜かれたのは、郡山ブランド野菜の発起人である鈴木農場の鈴木光一さん。鋭い眼光は、ほんわりしたイメージの農家のおじさんではなく、まさに経営者であり、技術者でした。年間300品種もの野菜を栽培し、ブリーダーからも一目置かれる存在。実は、以前、開成柏の裏手にあるフクケッチャーノが好きで、しばしば食べに行っていて、「鈴木農場」という言葉は何度となく聞いていました。
その頃は、福島なんて・・・といういけすかない人間でしたから、所詮、田舎の農家さんくらいにしか思っていなかったのです。本当に私としたことが失礼極まりない。
そして、その鈴木光一さんを筆頭に、FoodCampに登場する生産者の凄いこと。自己満足に終わるこだわりではなく、土地へのリスペクト、仕事への情熱、未来への責任、そのようなものをそれぞれに熱く、そして確固たる想いがありました。もちろん、想いだけではありません。そこには必ず、その人なりの哲学がありました。しびれました。
こんなに素晴らしい人たちが福島にいたなんて。心が震えました。私はこの生産者たちを、生産者のつくる作物を、そしてそれを大事に大事に料理に仕立てるシェフたちを、何か形に残したいと思うようになりました。
最初はレビュー用の写真も、Webに掲載するくらいならスマホでもいいかと思っていましたが、やっぱりちゃんとしたカメラで撮りたい気持ちが湧いて来ました。正直、お金のかかるカメラには手を出したくなかったのですが、思い切って一眼レフを購入。そこから取材をさせていただく機会を得て、よりリアルな生産者の声を聞くことになりました。
知れば知るほど、このテーブルに出てくるまでのストーリーに胸が熱くなりました。そして、FoodCampに参加する人たちの笑顔、感動、時に涙。こうした1つ1つのシーンが心に響きました。
もはや単なる食のツアーではない。そう確信した私には、もう一つの大きな夢が出来たのです。
(つづく)
■孫の手トラベル クラウドファンディング プロジェクト
代表の山口社長が、このクラウドファンディングに寄せる想いを綴っています。本当にこのチームは最後まで諦めない。みんながいつも本気です。
https://motion-gallery.net/projects/magonotetravel/updates
詳細は👆です!よろしくお願いします。
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