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茄子の花がわからない!?

「なぜ、孫の手トラベルのFoodCampを推すか?」シリーズ14回目。福島の田舎に生まれ、畑や田んぼが遊び場で、祖母からたくさんの暮らしの知恵を授かって育ったこと。これは、すべて宝だったんだ!

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アパート前の畑でのこと

 私は、大学で教育学を専攻し、教師になる予定は微塵もなかったものの、教育実習とやらをやってみたくて小学校教諭1種免許を取得するために、教職科目を履修していました。

 大学のクラスメート、教師を目指していたで東京出身のMちゃんは、よく私の一人暮らしのアパートへ遊びに来てくれました。1-2年生が通うキャンパスは埼玉の郊外にあったので、アパートの前は畑でした。ある日、Mちゃんが学校帰りに立ち寄ってくれ、夜は家庭教師のバイトがあるというので、Mちゃんにご飯を作ってあげることにしました。

 一緒にスーパーで買い物をし、アパートの前の畑を眺めながら、「大家さん、じゃがいも植えてるね」と私がいうと、Mちゃんは「どこに?」と。ふざけているのかなと思って、笑いながら「ほら、そこにあるじゃん!」と畑を指さすも、Mちゃんは「どれ?」と本当にわからない様子。

 「まじでー?じゃがいもの葉っぱってそんなに珍しくないと思うんだけど、芋ほりとかしたときあるでしょ」

と呆れ気味に話しても、Mちゃんは定まらない視線を畑に向けていました。

「どこ見てんの?これだよ」

といってじゃがいもの葉っぱを掴んで、見せると、

「えー、これじゃがいものなの?知らないー」

と。そして

「すごいね、わかるんだ!!」

と、関心した眼差しで私を見つめてくれて・・・。いやーそれほどでも!なんて喜ぶどころか、これには軽いショックを受けました。Mちゃんは教師を目指していましたから、彼女みたいな人ほど、知っておくべきことじゃないかなと思ったからです。でも、わからない。さらに、私は質問しました。

「じゃあ、茄子はわかるよね?」

 7月下旬ごろでしたので、じゃがいもの先に、茄子の花が見えました。私はわざと視線をそらして、再びMちゃんに、「茄子は簡単だよ」と言って、しばらく待っていましたが、一向にわかった気配がありません。

 Mちゃんは、

「・・・わからない」と。

 これには、まさかと思いました。アパートの階段の手前に茄子が植えてあり、紫色の花がきれいに揺れていました。Mちゃんが少しバツが悪そうにしていたので、これだよと教えると、

「きれいだね。ほんとだね、紫色の花だ。確かに茄子っぽい」

と。そして、性格の良いMちゃんは、

「何でも知っているんだね、すごーい!!!」

とまたもや褒めてくれました。Mちゃんは東京出身といっても清瀬で、回りは畑もある地域です。なのに知らないなんて、そっちの方が私には衝撃でした。そして数日たったある日、また同じようにアパートの前の畑をぼんやり眺めながら、ふと思いました。私にとって当たり前のことが、当たり前じゃないこと。こっちの方が実はレアなんじゃないかと。

野菜の質問

 その一件以来、私は近くの畑を眺めては意識的に、あれは、きゅうりで、あっちはかぼちゃ、これはさやえんどうで向こうはトマトだよな・・・なんて葉っぱや花を見ながら成果物当てクイズをしながら歩くようになりました。

 そして、おせっかいな私は、教師を目指すMちゃんと畑の近くを通るたびに、葉っぱや花を見ながら何の野菜か教えました。時々、Mちゃんにこれは?と聞かれてわからないものもあり、地域や季節によって植えてあるものが違う場合もありました。しかし、たいていの野菜はわかるので、ますます尊敬のまなざしを送ってくれるMちゃんを憎めませんでした。

 よくよく考えてみれば、スーパーには、葉も根っこも処理された状態で売られており、それを見ていてはわからないはずだと納得しました。

 しばらくして、私の実家に遊びに来てくれたMちゃん。自宅前の畑で、夏野菜を楽しそうに収穫し、せっせと晩御飯の支度を手伝ってくれました。庭でご飯をたべようと、父がなぜかプールサイドに立てるようなチェアとパラソルを持ってきて、満面の笑みで待っています。そこへ、母特製の五目おこわが入った桶をルンルンでMちゃんが運んできたその時、「キャッ!」という声が薄暗い庭から聞こえて来ました。

 もしや・・・。 

 案の定、ぶきっちょさんのMちゃんは桶をひっくり返してしまいました。しかし、芝生の上だったのでセーフ。ちょっと草が付いただけで、食べるには問題ありません。私は、いつものMちゃんの天然ぶりに爆笑しながら、採れたてのトマトやトウモロコシを一緒に食べた、大学2年の夏の日の想い出です。

 そして、見事、Mちゃんは大学卒業と同時に東京都の教師になり、今も小学校の教員をしています。

(つづく)

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 しつこいようですが、孫の手トラベルのクラウドファンディング最終日まであと5日。一昨日まで実は代々木の新国立競技場第一体育館でroomsという展示会に出展していました。FoodCampの話をすると多くの方は興味を示してくださいました。中には何度もブースに足を運んでくれて、友達とどれに行こうか相談を始めてくれた人も。もちろん、今までだって限りあるリソースで精いっぱいやってきました。

 しかしながら、FoodCampが単なるフードツーリズムではなく、もう1ステップ上の可能性を示すタイミングだと私は思っています。そのためには新たに備えなけらばならないものが現実的にはあります。どうか、皆様のご支援をお願い致します。

■孫の手トラベル クラウドファンディング プロジェクト

https://motion-gallery.net/projects/magonotetravel?fbclid=IwAR0G4KpcBv2dxR8wR6cBUQzwXQM3VbSCsfvXxU7uEERNpiAFTeAgn863PJ8

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