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格式よりも、楽しさ。【伝統文化の生き残り戦略#3】

こんにちは、Studio Topitaです!
私たちは理想郷を本気で「想像」「創造」するサークルと称し、毎月テーマを決めて語り合い、議事録をアップロードしています。
ぱっと聞いただけでは「?」かもしれませんので、どうぞ是非、自己紹介をご一読いただきたいです。
(常連さんは、いつもありがとうございます!)

Studio Topia 3月 
第2回「格式より、楽しさ。」

伝統について考えて、今回の記事で3本目となりました。

「伝統」というと厳かで格式高く、なかなか触れにくい…というイメージのあるものですが、今回は、格式に囚われすぎることなく、楽しむことこそ「伝統」の最重要条件では、という結論に達しました。

前回の記事を発展させているので、よければこちらもご一読ください

議事録

「伝統って楽しい」
先週一週間のうちに考えた「伝統」にまつわって考えたことを共有するところから始まりました。
先日「だるま市」に参加したというメンバーから、「ひとつひとつ顔の違うだるまをみていて面白かった。もちろんだるまの持つ意味合いや決まりも大切かもしれないが、選ぶのにも楽しく、そういった楽しさが伝統を続かせる要件なのではないかと思った」という今回の核心ともいえる発言が飛び出しました。
お祭りもそうですし、成人式や恵方巻きといった比較的新しい「伝統」も、楽しいから受け入れられ、続いているのだとも言えます。もちろん、楽しくするうちに商業性やお金儲けの道具に成り下がってしまうのでは、という指摘は考慮する必要がありますし、それによって伝統の中身がすり替わってしまうとは大問題です。ですが、お金儲け自体が悪いわけではありませんし、限度を守れば活性化に一役買えていい、とも言えるかもしれません。まずはなにより、「楽しめる伝統」であること、それが伝統として続いていく要件なのではないか、という問いが提示されました。

伝統を変えることは許されるか、嫌でも受け継がなくてはならないか
とはいえ、受け継がれる中で「楽しいものばかり」とも言い切れないのが確かです。例に上がったのは女人禁制でした。さらには、かつての伝統が、時代の変わった現代に、グローバルスタンダードとともに見直されている、という点で捕鯨も取り上げられました。
ここで説明し切ることは難しいですが、歴史を紐解くと見えてくるものもあります。今回、女人禁制について参考になりそうな記事を見つけたので、ぜひご一読してみてください。

さて、こういった、これまで続いてきたけれども現代において見直されているような問題をどのように考えるべきでしょうか。
会では、大きく2つの指針が提示されました。
一つ目に、内野と外野の発言の重さの違いを考慮するべきという意見です。
昨今は、SNSでどんな世界にも触れ合うことができ、すぐに自分の意見を発信することができます。基本的には誰もが決まった条件のもとでアカウントを持ち、文字数の制約も一緒で、意見の重さが同じに見える世界がそこにはあります。ですが、実際はどうでしょうか。毎日伝統文化に従事する人と、通りすがりの旅行客では、本来は意見の重さが違うはずなのです。それを一緒くたにして、「今のスタンダードはこっちなんだから合わせなさい!」と一方的に迫ることは違う、ということです。
二つ目に、しかし、外野からの発言も拒否するべきではないという意見が出ました。先ほどの女人禁制の例でも言えるかとは思いますが、「それって本当に必要なことなの?」という問いかけ自体はあってもいいものです。その上で、伝統の担い手が「確かにな」と思えば変わっていく時なのかもしれませんし、そうでなくても、外野が言い続けることは大事なことなはずです。ただし、その時の姿勢も重要なポイントであると指摘されました。一方的に責めて指摘するのが良くない、というのはその通りですが、なによりも知ろうとする姿勢が大切なのではないか、という意見が出ました。「まずは教えてください」とお互いに言えるのが理想…かもしれません。
また、これまでの歴史を否定するか、それを受け止めて変えていくかも大きな違いです。「その伝統自体が間違っている。歴史も含めて恥ずべきことだ」などと完全否定するのは簡単ですが、そう割り切れないことも多いのではないでしょうか。「過去を受けいれて、本質的なことを考え直したい」という意見が出されましたが、それがその通りなのかもしれません。

愛国心、「ナショナリズム」「パトリオティズム」と伝統
さて、皆さんは「愛国心」と聞いてどのようなイメージを持つでしょうか。
全体主義や戦争と結びつけたり、政治的に考えたり、忌避されやすい言葉かもしれませんね。また、国を意識することがないから、愛国心を持つことがそもそもないという意見も存在します。
とはいえ、伝統が文化として「国」と結びつき、国を好きになったり誇りを持ったりするきっかけになる可能性があるため、一考してみました。
「国は人がなければ存在しないもの。そういった存在に愛を持つと言うイメージが持ちにくい。制度や恩恵に感謝するくらいかもしれない」という意見はその一つです。また、「国に対しても、好きな部分とそうでもない部分がある」と言う言葉をきっかけに、「ナショナリズム」「パトリオティズム」の違いを考えてみました。どちらも、日本語では「愛国心」ですが、「ナショナリズム」はより政治的な響きをもち、「国粋主義」などとも訳されます。国、というものが中心にあるイメージでしょうか。一方で「パトリオティズム」は郷土愛と言い換えることもできます。「国」というのは「郷土」よりも広い概念ですし、特に近代的な国家だと人工的な部分も多いので、どうしても文化が「つくられ」「利用される」部分を感じます。どちらがいい悪いではないですし、比べるものでもないかもしれません。が、伝統文化の生き残り戦略を考えるにあたって、国ではなく伝統を中心に考えていく必要があるのだと考えると、「この国の伝統だから素晴らしい」「この国の伝統だから受け継がなくてはいけない」という考え方よりも、「自分が楽しいと思ったから」「良いと思ったから」という方が自然な感じがしませんでしょうか(郷土愛がそうであるかもまた微妙ですが、より実体験に根付いている感じは受けます)。少なくとも、その伝統をいいと思ったから残すのだ、という継承の仕方の方がより人々に根付いていくように思われるのです。

「楽しい」ことが伝統の要件;「すべての文化は遊びだった」
さて、冒頭で「伝統は楽しい」という話が出ましたが、さらに進んで議論されていきました。
以下の「すべての文化は遊びから始まった」という学説を一例として取り上げながら、今回は、「楽しむこと」こそが伝統に重要なのではないかという話になっていきました。「遊び」の定義なども面白かったので、よければ見てみてくださいね↓↓↓

さて、伝統(文化)と遊び、楽しさの話です。
楽しければ、やりたくなる、というシンプルなお話で、楽しくないものを無理に残そうとするから拗れ、廃れていってしまうのではないか、という意見が出ました。「伝統を残したい」と言った時に、残したいのは伝統なのか、それとも別のもの、例えば誇りのようなものなのかは、常に考えていくべき問題でしょう。もちろん、伝統を保守的なイデオロギーの存続のために手段として使う場合はまた別の話となりますが、「伝統」の存続そのものを考えた時、「格式」や「誇り」よりも「楽しい」ことを優先することは、一つの大きな戦略でしょう。

まとめ:伝統は思ったよりも身近で、取りつきやすい
最後に、「自分が思っているよりも伝統の幅は広かった」「重々しいものばかりではなく、日常に入り込んでいるものもあると気づいた」などの意見を交換しました。
伝統が生き残るには、その本質は大事にしないといけないけれど、実際のところの格式は、紐解いてみるとつくられたものだったり、中核ではなかったりと、そこにこだわりすぎる必要はない、と言えると思われます。まずは楽しいかどうか、それが残していきたい伝統に求められる要件として大切にされるべきなのかもしれません。
次回以降はそこを中心に、さらに掘って、具体的に想像していきたいと思います。

面白かった話

今回の本筋と離れますが、面白かった意見・話を載せています。

ドラえもんと伝統
長く続くコンテンツの場合、それが受け継いでいる「伝統」というものもある。ドラえもんの伝統もあるんだと思う。声優さんが変わる時に話題になったりするのもその一環か。

人類の伝統?
そういうものはあるのか?
また、食肉など、これまで続けてきた一方で、テクノロジーによって代替品が出てきたものは、今後どうなっていくのか考えていく必要もある。

日本の伝統には駄洒落が多い?
おせちの中身の理由や、各種行事の中に潜む言葉に言葉遊びが多い。 それもまた「楽しさ」の一環かもしれない。

編集後記

ここまで読んでいただき、ありがとうございます🏮

今回は前回よりも「伝統文化の生き残り戦略」を考えるに没頭できました。
「伝統」って案外幅広くて柔らかい、というのが面白い気づきでした。

そして、タイトルにもあるように、「格式より楽しさ」が伝統文化が生き生きと生き残っていくのに大切な要件であると思わされました。もちろん格式は伝統の本質の一つだと思うので重要なのですが、楽しさを排除して格式に固執する必要もないし、その格式自体、本当に守るべきものなのかあやふやですから、それを精査するきっかけとして「楽しいかどうか」はすごく大事なポイント、きっかけなのだと思います。

また、「愛国心」の話が途中で出てきましたが、正直、まとめるのが非常に難しい部分でした。笑
国が好きだから文化を好きになる、という順序が、本当はないのでは?ということが言いたいのですが、、皆さんはどう思われますでしょうか。

次回以降、「伝統」と「楽しさ」に注目し、生き残り戦略を具体的に考えていきたいと思います。久しぶりのポップな想像会になりそうで、楽しみです!!お楽しみに!(奈都)

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Studio Topia 3月テーマ「伝統文化の生き残り戦略」
第2回「格式より、楽しさ。」
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