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Kの向くままにおススメ映画『アメリカの伯父さん』短文紹介

【男女の行動を分析する実験映画】 

脳とストレス学の権威、アンリ ラボリ教授によると、生物の自衛の手段には《逃亡》《抑制》《闘争》がある。マウスの実験が人間にも当てはまる事を説明する為、3人の男女を分析するお話です。

■実験①
マウスをカゴに入れる。扉の付いた壁で仕切られた2部屋の床には合図の後、交互に電気が流れる。初めは気付かないが、間もなくマウスは合図を認識するようになる。扉の存在にも気付き、電気ショックを逃れるには合図の後、隣の部屋に《逃亡》すれば良い事を理解する。
しかしマウスに簡単でも、言語によるコミュニケーションを確立した人間には難しい。言語の役割は支配の動機を隠蔽し、社会の為だと相手に信じさせる事。支配者の悦びや打算は言語によるアリバイで隠蔽されている。要するに《嘘》や《方便》である。多くの人間は支配されている事に気付かない為、《逃亡》が不完全となる。

■実験②
2部屋の間の扉は閉まっており逃げられない。マウスは電気ショックを回避できずに甘んじる。やがてあらゆる行動は無駄と悟る。これが《抑制》であり、マウスにストレスや高血圧などの深刻な生物学的変調をもたらす。

■実験③
逃げられない部屋にもう1匹のマウスを入れる。この場合もやはり電気ショックは回避できない。しかし実験②とは違い、マウス同士の《闘争》が起こり、《抑制》によるストレスを回避し健康を保つ事ができる。
ところが人間においては自衛のための暴力を法律が禁じている為か、《抑制》状態に抗う手段を他に持つ。それは自身に対する攻撃、すなわち自己免疫疾患や発ガン、精神の疾患などで、最も効果的な自衛は自殺である。他人に攻撃を加えられなくなると人間は自らを攻撃する。

…マウスの実験映画 ではなく、しっかりとしたヒューマンドラマです。ただ、マウスと人間の行動を重ねる事により新しい視点が生まれるという意味では実験的な映画。

『アメリカの伯父さん』とは、「莫大な遺産」「黄金の王」などのセリフからも解る通り、遠い国に見る夢や願望のようなもの。これも1つの《逃亡》ですね。
Kの『アメリカの伯父さん』も「莫大な財産」持って帰ってこないかなー。


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