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Kの向くままにおススメ映画『桜桃の味』短文紹介

【ある意味、芥川賞な映画】 

『桜桃』だから太宰でもある。

バディ :「実は僕はこの人生を捨てようと決意した。」

彼は心身ともに問題ないように見えるしお金にも不自由してなさそう。
何故自殺したいのか?理由は明かさないが、、
生きていてもその意味がよく分からないから?
何も楽しい事がなく、この先も何もないように思うから?
要するに「ぼんやりとした不安」か?しかも大量の睡眠薬で、、職業は作家に違いない。

自殺幇助を請け負ってくれる人を探すバディ。序盤の町の人は金さえ出せば何でもやりそうなのに声をかけない。断りそうな人を敢えて選んでいる様子。

少年兵士 :「人の上に土をかけるなんて嫌です。僕にはできません。」

神学生 :「自殺するのは誤りです。預言者も12人の指導者もコーランも、自殺を誤りとしています。」

↑  この口上はバディに一切響かない。。
そして剥製師。↓

剥製師 :「死は一つの解決法だ。だが初めは正しいと信じていても間違っている事もある。いつも後で間違いに気付くものだ。その時に命がなかったらどうする?あんたの目が見てる世界は本当の世界と違う。そうだと決め付けているかもしれないが、見方を変えれば世界が変わる。幸せな目で見れば、幸せな世界が見えるよ。
希望はないのか?
朝一番の澄んだ空を見た事は?
夜明けの太陽は?
茜色とオレンジに染まった夕焼け空をもう一度見たくないか?
星空は?
夜空に浮かんだ月は綺麗だぞ?
それなのにもう目を閉じてしまうのか?
全てを拒み、全てを諦めてしまうのか?
桜桃の甘さを忘れてしまっていいのか?」

自殺の理由ってどんな人でも、恋愛、仕事、お金、健康問題、それがほぼ全てと思うのね。だけど例えば「もっといい恋愛が必ずあるよ!」とか言っても多分ダメ。そういう事に絶望してる人だから。
人間社会とか男や女とか、それが世界の全てじゃないし他にも美しい事や素晴らしい事はきっとある、、けどその時の彼らにはそんなもの論外なんだよね。辛い記憶とか執着心とか、一瞬で全部消えれば心の痛みも消えるはずだけど、、、時間かかるよねぇ、実際には。

とてもストレートなお話です。「ぼんやりとした不安」がある人は必ず観てください。


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